
隣の土地の植木の枝が境界線を越えて自分の家の敷地内に侵入してきた。これは良くありがちなご近所トラブルのケースだ。
隣同士仲良く暮らしていくためには、角が立たないよう円滑に解決していくことが望ましいが、とんでもない事態に発展する場合もある。
イギリスのサウス・ヨークシャー州郊外にある住宅地で、25年間隣同士の家で、この植木問題がが勃発した。
この木はずっと立っていたのだが、25年経った今、木の半分が自分たちの敷地内に侵入していると、老夫婦が苦情を言い始めたのだ。
木の所有者は妥協案を提案するも受け入れられず、老夫婦はついに木の枝を真っ二つに切り落としてしまった。
【何の相談もなく、ある日突然木の半分を切り落とされる】
サウス・ヨークシャー州シェフィールド郊外ウォーターソープにある住宅地に、妻と娘2人と暮らすバーラト・ミストリーさん(56歳)は、25年隣同士だった家の老夫婦との間に勃発した問題に悲しみを隠せない。
事の始まりは、2020年3月。ちょうどイギリス全土がコロナのロックダウン(都市封鎖)になった頃、隣家の70代の夫婦、グラハム・リーさんと妻のアイリーンさんから、バーラトさんの敷地内にある高さ5メートルのもみの木について、苦情が寄せられ始めた。
老夫婦いわく、「木に鳥が止まり、その鳴き声がうるさくて仕方ない。糞を私道にまき散らし、駐車の弊害となる」という。
そしてついに老夫婦は、敷地内に侵入した枝の半分を全て切り落としてしまったのだ
‘Petty’ neighbour saws tree exactly in half after complaining birds were making a mess of the drive pic.twitter.com/sXBWdClPEs
— The Sun (@TheSun) June 25, 2021
これまで25年もの間、そのもみの木はずっとそこにあり、隣人(老夫婦)との合意に基づいて、球状の形に整えました。このように話すバーラトさんは、リーさん夫妻が取った抜本的解決策に悲しみの声をあげている。【ぱっくりと半分に切られたもみの木は地域で観光名所に】
そうすれば、枝が車を出入りさせる私道の邪魔にならないからです。実際に、この25年間何の問題もありませんでしたし、車のボンネットが鳥の糞まみれになるという状態も目にしたことはありません。
ですが、去年になって初めてリーさん夫妻は、毎年この時期にやってくる鳥に我慢ならなくなったのか、文句を言い始めました。
最初、彼らはゴミ箱入れに使う黒いゴミ袋で、枝に鳥が止まらないよう覆いました。
確かに、隣人は自分たちの所有地に侵入する全てのものを排除する権利はあります。でもそれは合意の上だし、敷地内に1メートル未満の範囲で突き出ている枝がどうしても邪魔だというのなら、切る前に私たちに相談して欲しかったです。
私たちがネットで枝を覆って鳥が止まらないようにすればいいのでは、と提案してもその妥協案は拒否されました。
6月18日、バーラトさん一家は家の前にあったもみの木が、無残に半分に切られる様を目撃した。
リーさん夫婦は、私たちに「育樹専門家を呼んでこっちの敷地に突き出た部分を切ってもらう」と言ってきたので、それだけはしないでとお願いしたのですが、とうとう木は半分に切り落とされてしまいました。1本の木が原因で、隣人トラブルに発展したバーラトさんの悲しみをよそに、この1件はSNSであっという間に拡散した。
でも、なぜ25年経って今更なのでしょう。リーさん夫妻と我が家は、以前は何の問題もなく仲良くしていました。
私の娘たちも、小さい頃はリーさん夫妻の孫と一緒によく遊んでいましたし、普通に過ごしていたんです。
以前は、ゴミの日に大型ゴミ箱を車道脇に出せば、夫妻が私たちのゴミ箱まで敷地内に一緒に持ち運んでくれていたほどでした。
それが、去年の3月から突然木の苦情を訴えられ始めて。今回、木が半分切り倒されてからは、私は夫妻と全く話をしていません。
こんなふうに隣人と亀裂が入ってしまったことは、ただただ悲しいです。
半分になった木は、ちょっとした観光名所になってしまったのである。Why would people argue about such a nice tree. Humans are so depressing sometimes.
— Alexander (@KaymakAlexander) June 23, 2021
Row over overhanging tree becomes a saw point between neighbours - The Telegraph https://t.co/60IwbqUzC7
地元の住民らが、面白がって通りすがりに写真撮影し、それをネットでシェアしていることを知ったバーラトさんは、「プライバシーの侵害にあたるのでは」と複雑な心境だ。NOT FIR - A tree has become a "tourist attraction" after it was chopped in half as a result of a "petty" dispute between neighbours.
— SWNS Leeds (@SWNSLeeds) June 24, 2021
Bharat Mistry was "gutted" when his neighbours of 25 years cut half the branches of his16ft tall Fir Tree.
✍ - @pemberton18
- @MLofthousePJ pic.twitter.com/dhAovmF8vv
一方、近所に住む女性(本人の意思により匿名)は、このように話している。
わざわざ、半分になった木を見に行ったりはしません。そんなことすれば恥ですからね。でも、とても素敵な木でした。バーラトさんの家と通りの特徴的存在になっていましたから。
こんな結果になり、本当に残念。鳥が原因だったのなら、ネットを張るなりして別の解決方法があったのでは。
更に、この木の写真は匿名でチャンネル5の某テレビ番組にまで投稿され、司会者は「本当に取るに足らないことなのに。ここまでエスカレートした隣人紛争は手に負えない」と事の顛末を残念がった。‘Petty’ neighbour saws tree EXACTLY in half after becoming frustrated over branches of trees hanging over driveway. https://t.co/yqNm2Gu7p1
— ELLIOT IN THE MORNING (@EITMonline) June 24, 2021
肝心のリーさん夫妻は、メディア取材を拒否しているということだ。【隣の家の植木が自分の家の敷地に侵入してきたら】
日本でも同様のケースはある。民法ではどう定義されているのか?西川法律総合事務所のホームページによるとこうなっている。
民法では,「隣の土地の植木の枝が境界線を越えるときは,その植木の所有者に、その枝を切除させることができる」と定められています(新民法233条1項)。Top image:The Sun/twitter / References:The Sun / written by Scarlet / edited by parumo
ただし,隣の土地の植木の所有者に枝を切除するように催告したにもかかわらず,相当の期間内に切除しないなどの場合には,自分で枝を切り取ることができることになりました(新民法233条3項)。
他方で,民法では,枝と根の取り扱いについて,異なった規定をしていて,「隣の土地の植木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」と定めており,植木の所有者に根を切除するよう催告するなどの手順を踏むことは不要とされています(新民法233条4項)
記事全文はこちら:隣の家の木の枝が自分の家の敷地に侵入しているので真っ二つにカットした隣人 https://karapaia.com/archives/52303553.html