
オーストラリア、シドニーにある醸造所が、藻を利用したビールの醸造に取り組んでいる。通常、ビール醸造のプロセスでは大量の二酸化炭素が放出され、気候変動の原因となり得る。
そこでこの鋳造所では自然の持続可能性資源である「藻」を使用した新たな技術でビールを醸造。藻は、二酸化炭素をたっぷり吸収してくれるという。
【藻類を使用した新たな技術でビールを製造】
通常、6パックのビール1本の製造から放出される二酸化炭素を吸収するには、約2日かかるとされている。世界で毎日どれだけのビールが生産されているかを考えると、地球の生態系に多大な損害を与えることは明らかだ。
シドニーにある醸造所『Young Henrys』は、自然の「藻」を使った新たな技術を利用したビールを鋳造し、気候変動と闘うために取り組んでいる。
【排出される二酸化炭素を吸収し、酸素を放出】LIQUID GOLD... or should we say liquid green?
— Young Henrys (@younghenrys) May 28, 2021
Our partnership with UTS Science allows us to house two algae tanks at our Newtown brewery, which bubble away, producing oxygen which offsets the CO2 from brewing.
To learn more head to: https://t.co/qybuTrqsua pic.twitter.com/1x2rS1cTGv
時に藻は、赤潮(アオコ)を引き起こしたり、地元の水源に感染したりする可能性があるため、有害とされることもあるが、その二酸化炭素の吸収力は素晴らしく、木の最大5倍の効果があると言われている。
光合成生物である藻類には、主に2つのタイプがある。マクロ藻類は昆布と海藻で、微細藻類は淡水と塩水の両方で成長できる小さな微細な植物だ。
Young Henrysのプロジェクトで使用されているタイプの藻は微細藻類であり、自社栽培されたその藻類は、放出された二酸化炭素を吸収するだけでなく、約1万平方メートルのオーストラリアの森林全体と同じくらい多くの酸素を生成するという。
同醸造所に収容されている輝く緑色の「バイオリアクター」は、各ミリリットルに約500万個、全体で2400兆個の微細藻類細胞が含まれている。[画像を見る] Young Henrysは、このシステムの有効性を実験するために、2つのバイオリアクターを使用して藻類を培養。
発酵プロセスで追加の二酸化炭素が生成されると、有害な温室効果ガスはバイオリアクターに流れ込み、1日の終わりにはもう1つのバイオリアクター内の藻類がそれをうまく消費してくれる仕組みになっているという。【気候変動に対応できる持続可能なビール醸造を目指して】
現在、Young Henrysは世界中の他の企業に倣い、藻類を食品や医薬品、バイオプラスチックに組み込む実験を行っている。
藻類の生産を拡大し、これらの新製品を開発するため、Young Henrys共同創設者オスカー・マクマホンさんこのプロセスを拡大展開しようと、エンジニアリングおよびビール業界グループと協議しているところだそうだ。[画像を見る] 既に1年間実施されているこの特別プロジェクトについて、マクマホンさんはメディア取材でこのように目標を述べた。
私は、この取り組みがビール生産の排出を抑制する可能性があると考えています。written by Scarlet / edited by parumo
これはユニークなプロジェクトですが、同社の利益を上げるためではありません。
他者と共有して適応させ、継続して使用していくことができるものを作成することが目標です。
近い将来、地ビール醸造所と国内醸造所の両方で、ビール生産に藻類を簡単に組み込むためのインフラストラクチャと技術が必要になるでしょう。
現在、二酸化炭素集水システムを醸造所内部に配置できるよう、策を練っています。
最終目標としては、このシステムがビール発酵時に放出される二酸化炭素排出量を削減するだけでなく、最終的にそれを酸素に変換できることです。
記事全文はこちら:藻を使ってビール醸造。排出される二酸化炭素を削減する取り組み https://karapaia.com/archives/52303889.html