イギリスで、ロブスターやタコなどを生きたまま調理することが違法になる可能性

 イギリスでは今年5月、政府の公式サイトで、全ての動物は意識や感覚を持つ衆生であることを認める条項を動物福祉法に加えることを発表した。

 しかし、この法案はあくまでも「背骨のある動物のみ」を対象だったが、英政府は甲殻類や頭足類、などの非脊椎動物も法案に含めることを検討しているという。

 つまり、改正された法案が可決されれば、ロブスターやエビ、タコやイカなどを生きたまま茹でる調理方法が完全に禁止され、違法となる可能性があるようだ。

【エビやタコにも意識があり痛みを感じるとの主張を考慮】
 スイス、ノルウェー、ニュージーランドでは、既に生きたままロブスターを調理する行為は違法となっている。

 イギリスでも今年5月に可決された動物愛護法案の改正審議が行われ、議会は「全脊椎動物が感覚と意識を有していると法的に認める」という動物福祉(感覚)法案を検討した。

 だが、エビやカニ、イカやタコなどの甲殻類や頭足類も意識を有し、痛みを感じると主張する団体が法律の拡張改正を支持するよう促したことから、適用範囲を拡大するか否かの審議を行っているという。 【生きたままの調理は非人道的。冷凍や電気ショックなら人道的】
 以前、生きたままロブスターを茹でることにおいては、解決策としてマリファナ(大麻)のような薬物で鎮静させることで痛みを和らげることができるという主張があったが、科学者はこれはほとんど効果がないことを指摘している。

 動物福祉の慈善団体は、電気機器で非脊椎動物にショックを与えて気絶させたり、冷機で凍結したりする方が、生きたまま沸騰して死なせるよりもまだ人道的な方法であると主張している。

 拡張された動物福祉法案が適用されることになれば、ロブスターやタコは生きたまま調理されることが違法となる可能性を持つ。[画像を見る] 【科学的証拠に基づいて真剣に検討される予定】
 2006年の動物福祉法には、甲殻類と軟体動物が意識を有しているという感覚の「十分な証拠」が発見された場合、それらを含めるべきという条項が既に規定されている。

 このほど英国獣医協会は、「痛みを感じる能力の説得力のある科学的証拠」があると主張した。
3年前の2018年、私たちはキャンペーンを当時の環境長官に届け、エビやタコなどの甲殻類と軟体動物も痛みを感じる意識があるという「十脚甲殻類および頭足類軟体動物における感覚の証拠に関する報告」という論文を提出しました。
 また、十脚甲殻類の人道的な対応を求めて活動する動物福祉団体『Crustacean Compassion』の共同創設者メイジー・トムリンソンさんは、メディア取材で「これらの敏感で魅惑的な生き物が、痛みを感じて苦しむ能力については十分な証拠があり、彼らは食品業界で恐ろしい扱いを受けています」と法案拡張に強い賛成を示している。  更に、イギリス環境食糧農村地域省(DEFRA)のスポークスマンは、このように話している。
私たちは、世界で最も高い動物福祉基準のいくつかを持っていることを誇りに思っており、全ての動物が不必要な痛みや苦痛を回避できるように、そして動物福祉の基準を更に強化することに全力で取り組んでいます。

利用可能な科学的証拠によって、この法案は慎重に検討されることになるでしょう。
 ちなみに、Twitterでは6割ほどのユーザーが、「十脚甲殻類および頭足類軟体動物も法律で守られるべき」という意見を投票した。  だが「こんな細かいことを議論するより、国民の高い税金を調整することに集中しろ」「もっと最優先させなければならない重要事項があるのでは?」「ここまでくると、漁ももうすぐ禁止になるね」といった賛否両論の声があがっているようだ。

References:Evening Standard / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:イギリスで、ロブスターやタコなどを生きたまま調理することが違法になる可能性 https://karapaia.com/archives/52303943.html
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