
イギリスの民家の庭には、リスだけでなくハリネズミやアナグマ、イタチやキツネなどの野生動物が姿を現すことは珍しくない。
しかしこのほど、海岸から約30kmも離れたリンカンシャー州のとある住宅に、予期せぬ侵入者が現れた。それは1頭のハイイロアザラシで、アザラシは驚く住民にかまう様子なく、庭でまったりとくつろいでいたという。
アザラシは哺乳類なので肺呼吸だから長いこと海(種類によっては川や湖)入らなくても平気かもしれないが、いったいなぜ、こんな場所に?
民家の庭で寛ぐハイイロアザラシが発見される 7月20日の午前7時半頃、イギリスのリンカンシャー州ビリングベイに住むアン・ペイジさん(72歳)は、庭の花に水をやろうとして、そこに予期せぬ光景を見た。
1頭のハイイロアザラシが、芝生の上でまったりとくつろぎながら日光浴をしていたのだ。
アンさんの家は海岸から約32kmも離れた場所にあり、アザラシがやってきたことなどかつてなかった。Seal gets into back garden in Lincolnshire https://t.co/TsIMKA3qwc
— BBC News (UK) (@BBCNews) July 21, 2021
驚いたアンさんは、息子のロブさんに助けを求めた。ロブさんはRSPCA(英国動物虐待防止協会)や地元のアザラシ保護区に連絡を試みたが繋がらず、友人の警察官へ連絡することに。
スリーフォード警察の野生生物担当マーティン・グリーン巡査がアンさん宅にやって来た。保護されたアザラシ、生息地に近い川へ解放 ロブさんがアンさんの家に来た時には、アザラシは日陰でくつろいでいた。
母は、その光景に驚きを露わにしていましたよ。アザラシが庭にいるなんて、日常的なことではありませんからね。RSPCAにアザラシの保護の協力を要請したグリーン巡査は、板を使ってRSPCAのバンに積んだケージにアザラシを誘導。アザラシは無事に保護され、生息地近くのウェランド川へと解放された。
アザラシはとても人馴れしているように見えました。母によると、芝生の上で太陽を浴びて日光浴していたようですが、私が来た頃には気温が上昇していたので日陰に移動していました。
グリーン巡査が到着するまでの間、一定の距離を保ちながら、母と私はトマトソースに入った缶詰のイワシをアザラシにあげようと試みましたが、どうやら気に入らなかったようで食べませんでした。
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地元じゃ有名なアザラシだった 後に、このアザラシはここ1年以上地元でよく目撃されていた「ダンディ」という名前まで差づけられたハイイロアザラシであることがわかった。
ダンディは60~70㎏ほどで、健康状態は良さそうでした。今回、ダンディはスカース川から岸に上がったようですが、ここ1年以上はウィザム川を上下に泳いでいて、橋の近くで魚を捕えている姿がよく目撃されています。とはいえ、やはりアザラシが民家の庭に出現することは非常に稀であり、これまで23年間野生生物を担当してきたグリーン巡査でさえ、アザラシの対応経験はたった3頭のみだそうだ。
RSPCAは、ダンディについての目撃報告をよく受けていますが、毎回現場へ駆け付けるとその頃にはダンディはどこかへ移動してしまっていました。
スカース川は、海と繋がっているウィザム川の支流なので、海からウィザム川を泳いできたダンディは、スカース川へ辿り着いたのでしょう。
ですが、今のこの時期はスカース川は水が少なく、幅2.4メートル、水深45センチしかなく、アザラシには適していません。
きっと、ダンディはスカース川を迂回しようと岸に上がって、アンさんの庭へやって来たのでしょう。
グリーン巡査は、野生のアザラシを目撃した場合の注意をこのように促している。
アザラシに噛まれると厄介な傷を負う可能性があるので、万が一見ても近寄らず、専門家に連絡してください。ダンディは、水の少なくなった川を迂回しながら、アドベンチャーを楽しんでいたようだ。もしかしたら、ダンディを見た住人たちが、ダンディの好物を与えたりしていた可能性もある。
過去にも民家をさ迷っていたことがあるというので、もしかしたら今頃またどこかの民家の庭にふらりと現れて、住民を驚かせているかもしれない。
written by Scarlet / edited by parumo
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