土星の衛星「タイタン」の生命体探しがはじまる!2034年、NASAの探査機が史上初の地表調査を開始予定


image by:Johns Hopkins/APL
 土星最大の衛星「タイタン」は、太陽系の衛星としては唯一大気があり、地表には液体をたたえた湖まで存在する。メタンではあるが、地球のように雨が降り、生命の存在すら期待されている場所だ。


 そしてついに2034年、NASAのドローンのような探査機「ドラゴンフライ」が送り込まれ、地表の様子が詳しく調査されるのだ。

 『The Planetary Science Journal』(7月19日付)で報告された内容によれば、そのミッションは「メタン循環の調査」、「大気および地表にある前生物的な化学物質の探査」、そして生命に由来する化学的痕跡の捜索」であるそうだ。タイタン星人(いるとすれば)の痕跡がわかるかもしれない!

これまで調査できたのは大気だけ NASAの探査機「カッシーニ」は13年間にわたり土星を調べたが、タイタンは分厚い大気でその試みを拒んだ。レーダーによって、地球のような砂丘・湖・山脈があることまでは観察できたが、それが何で構成されているのまでかはわからなかった。

 2005年、カッシーニ本体から分離され、タイタンに突入して着陸に成功した探査機「ホイヘンス・プローブ」は液体のメタン、エタンで出来た湖・海の発見を発見した。

 また、液体メタンが雨となって降る気候であることを確認、液体メタンの海があること、大気中にアルゴン40があることなども発見したが、詳しく地表の状態を調べるにはいたらなかった。

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タイタンに突入したホイヘンス・プローブ Titan Touchdownタイタンで史上初の地表調査 そこで「ドラゴンフライ」だ。このドローンのような探査機は、史上初となる、タイタンの地表を主な調査対象としている。

 ドラゴンフライはまず1つのエリアを1日(地球の16日)かけて調査する。それから、その調査結果にもとづき、別の調査エリアへと向かう。これは火星のローバーがやってきたことと同じだ。

 だがタイタンは重力が小さく(地球の7分の1)、大気が濃い(地球の4倍)。
一方、風は弱く、大気が比較的安定している。

 だからドラゴンフライは地上を走るのではなく、8つのローターを使って飛行する(ちなみにドラゴンフライとはトンボのことだ)。

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image by:Johns Hopkins/APL
生命の痕跡を探れ! そのミッションの1つはメタンの循環を調べることだ。タイタンは地球のように複雑だが、その進化の原動力は、メタンと地表・大気との相互作用、あるいは地表と地下とで交換される物質などであると考えられる。

 だがおそらく一般人に関心があるのは、過去あるいは現在そこに生命が存在するかどうかだろう。

 ドラゴンフライはこれも調べることになっている。

 たとえば初期の地球がそうだったように、有機化合物のような生命の前段階と考えられる化学物質がタイタンにも存在するかもしれない。

 またより直接的な証拠となる生命の化学的痕跡(バイオシグネチャー)も見つけられるかもしれない。

 だが、それは私たちが知っている水をベースにした生き物ばかりとは限らない。タイタンの湖や海には液体炭化水素が含まれている。

 もしかしたら、これをベースにした、私たちとはまるで違う生物も存在している(あるいは、していた)かもしれないのだ。

 ドラゴンフライの打ち上げは2026年、タイタン到着は2034年が予定されている。


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ドラゴンフライ:土星の衛星タイタンを探索するNASAの新しいミッション
References:Dragonfly mission to Titan announces big science goals | Cornell Chronicle / written by hiroching / edited by parumo

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