
太陽の動く方向を追うように花が回るることから、ひまわりは”日回り(日廻り)”とも表記されるが、実際に太陽の動きを追うのは生長が盛んな若い時期だけだ。完全に開花すると、基本的には東を向いたままほとんど動かなくなる。
これまでその理由は諸説あるものの定かではなかったが、『New Phytologist』(21年7月27日付)に掲載された研究によってついにその謎が解明されたようだ。
その理由はミツバチと密接な関係があったようだ。
若いひまわりは太陽の動く方向を追うように動く 夏の風物詩でもあるキク科の黄色い花、ひまわりが、太陽の方向へ顔を向けることはよく知られている。以下の動画でも確認できるように、昼間の間、太陽の動きにあわせて、花を常にそちらの方向へ向けている。
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Young sunflowers follow the sun's rays | Science News
だがそれは若い頃の話だ。最初は柔軟なひまわりも大きくなると茎が太くなり、徐々に太陽を追いかけることが難しくなってくる。完全に開花すると、東に花を向けた姿勢で落ち着くことがほとんどだ。なぜ成長しきったひまわりは東を向きっぱなしになるのか? これまで大人になったひまわりが東を向く理由は謎だった。たっぷりと日の光を浴びたいのなら、なんとなく南向きが有利な気がしないだろうか? あるいは西向きでもトータルで日差しを浴びる時間はそれほど変わらないのでは?
何かを行っている理由を解明する方法の1つは、状況を変えてみることだ。ひまわりが東を向いているのなら、西に向けてみればいい。そのとき違いがでれば、それが東を向いている理由を説明してくれるはずだ。
そこで米カリフォルニア大学デービス校をはじめとする研究グループは、実際にそうしてみた。
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東を向いているとミツバチが群がり、花粉の放出がはやい まず最初に判明したのは、東向きのひまわりの方が、朝にミツバチをたくさん引きつけることだった。だがそれ以外の時間帯は特に変わりなかった。このことは朝の時間帯が鍵であることを示唆している。
また東向きのひまわりは30分ほど花粉を放つ時間が早かった。この時間差は群がるミツバチの数がピークに達する時間帯と一致していたという。
さらなる分析によって、こうした違いは花の温度と関係していることが明らかになっている。花粉が放出されるのは、太陽によって花が暖められたときなのだ。
試しに西向きのひまわりを人工的に温めてみると、東向きのものと同じように花粉を放出したという。
だが面白いのは、人工的に温めても寄ってくるミツバチが増えたりはしなかったことだ。
その理由ははっきりしないが、研究グループの推測によると、太陽の紫外線が関係しているそうだ。ミツバチは紫外線を見ることができる。だから太陽の光を浴びているひまわりは、ミツバチの目にはより目立って見えると考えられるのだ。
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東向きのひまわりは生存戦略に有利 こうした違いは、ひまわりにとっては非常に重要であるようだ。東向きのひまわりは、西向きのものに比べて、重たい種をたくさん実らせるからだ。
それだけでなく、放出した花粉も成功しやすい。周辺のひまわりの遺伝子を解析してみたところ、東向きのものの方がたくさん子孫を残していたことがわかったのだ。
そんなわけでひまわりが東を向くのは、子孫を残すために有利な条件を得るためであるようだ。
早起きは三文の徳というし、みんなも朝日を浴びるために少し早く起きてみるといいかもしれない。運が良ければ、こんな神々しい風景を見られることだってあるかもだ。
References:Flower orientation influences floral temperature, pollinator visits and plant fitness - Creux - - New Phytologist - Wiley Online Library / Researchers find out why sunflowers always face east / written by hiroching / edited by parumo
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