人に怯え、目を合わせることができなかった保護犬。運命の飼い主と出会い、心を開くまでの物語


image credit:Dogspotting Society/Facebook

 その保護犬は、いくつもの健康問題を抱えていた上に、トラウマ的な経験を抱えていたようで、人に怯え、目を合わせようとせず、壁に向かってうなだれて座る日々を過ごしていた。

 この犬は安楽死が予定されていた。
だが運命の出会いが訪れる。ある女性が、犬のこれからの人生を少しでも幸せなものにしたいと、永遠の家族となることを申し出たのだ。

 女性が毎日愛情を注ぎ、献身的にお世話を続けた結果、犬は7か月目にしてようやく心開くようになった。犬は人間への愛情と信頼を取り戻したのである。

安楽死が決まっていた犬と運命の出会い アメリカ・ワシントン州シアトルに住むチェルシー・エリザベス・コーサートさんは、今年1月にネットで1匹の保護犬の画像を見て、強烈に惹きつけられた。

 その犬はクレメンタイン(メス 3歳)という名で、数週間前に南カリフォルニアの路上にいるところを動物管理局員に発見されて保護されたという。

 その後、動物保護施設「Ginger's Pet Rescue」へと運び込まれたが、複数の健康問題を抱えていたことから安楽死処分が決まっていたそうだ。

 チェルシーさんは、2日後に処分となるはずだったクレメンタインを偶然にも見つけ、「この子を引き取りたい」と決心。

 同施設へ連絡し飼い主になることを申し出て、早速自宅へと連れ帰った。

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目を合わせようとしなかった犬が心開くまでの7か月 施設スタッフからこれまでの経緯を聞いたチェルシーさんは、クレメンタインが何らかのトラウマを抱えていることを悟った。

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 事実、人に怯えたクレメンタインはチェルシーさんに引き取られても一切目を合わせようとせず、体を震わせ、壁に向かって座り項垂れたり、体を丸めて隠れるようにしたりして何か月も過ごした。

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 しかし、クレメンタインはチェルシーさんが飼っている他の2匹の保護犬には割と早くに馴染んだ。
それを見たチェルシーさんは、希望を感じ、根気よくクレメンタインに接し続けた。

 その間、獣医の元で複数の感染症や脱毛症、アレルギーの治療を繰り返していたクレメンタインは、徐々に体調が回復するとともに、少しずつ変化を見せた。

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クレメンタインは、我が家に来て2週間目にようやくぐっすり眠るようになり、壁に向かって座るのを止めるのに3か月、おもちゃでの遊びを覚えるまでには5か月かかりましたが、その頃にはようやく体の震えが止まるようになり、7か月目になって、初めて私と目を合わせてくれるようになりました。

初対面の人にはまだ少し怯えて警戒しますが、今では好奇心旺盛な素振りを見せたり、リラックスしたり、遊びまわったりするようにもなり、体重も20kgだったのが31kgに増えて大きな進歩を感じています。


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 クレメンタインが心身ともに少しずつ回復していく姿を間近で見ていて、チェルシーさんはこの上ない喜びを感じたようだ。

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19回、獣医院に通い治療を続けた結果、8月1日には感染症を克服しました。

クレメンタインは、ウチに来て8か月目でやっと愛と信頼を学んだのです。今は、私が仕事中の時には足元に寄り添って眠り、ハグをされるのも大好きになりました。

8か月前、安楽死が2日後に迫っていた時には目は虚ろで抜け殻のようだったクレメンタインですが、尻尾をちぎれそうになるほど振って感情を表すまでに変化しました。

私は、これまで3回保護犬の世話を経験していますが、毎回犬がこんなふうに愛と信頼を取り戻す姿を見ることは、最高の喜びです。

今では、クレメンタインのいない生活は考えられません。


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 チェルシーさんは8月4日、Facebookのグループアカウント『Dogspotting Society』にクレメンタインとの出会いと現在について画像と共に投稿し、多くのユーザーの心を熱くした。


 Facebookの投稿を読んだ多くのユーザーらは、クレメンタインの変化に感動。献身的な愛情と世話を注いだチェルシーさんに対しても「あなたのような素晴らしい人がいることを知って感激しているわ」「犬を救ってくれてありがとう!」「長い道のりだったけど、犬が心開いてくれてよかった」「途中から涙溢れて投稿が読めなくなったよ」「あなたとクレメンタインにこれからも幸福が訪れますように」といった声が寄せられている。

written by Scarlet / edited by parumo

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