印象的な人工魚礁で陸と海をつなぐ、水中彫刻美術館がキプロスにオープン
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 今年7月末、美しいエーゲ海の島国キプロスのアヤナパの海に待望の水中彫刻美術館MUSANがオープンした。ここは訪れた者を異世界にいざなう特別なエリアだ。


 無重力気分になれるダイビングを楽しみながら、印象的な彫刻群と海洋生物を同時に鑑賞できる水中アート。それらはサンゴが消えた海に魚を呼び戻し、にぎわいをもたらす人工魚礁でもある。

 環境保全も兼ねた新しいダイビングスポットMUSANの神秘的な光景をのぞいてみよう。

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Cyprus' new underwater museum is helping a party town's seabeds to recoverまるで異世界!陸と海をつなぐ彫刻美術館MUSAN キプロスのアヤナパ沖にオープンした水中彫刻美術館MUSANのコンセプトは「陸と海のシームレスなリンク」だという。[画像を見る]  このミュージアムは「魅惑的かつ超自然的な異世界」を表している。その世界が人工物と自然の組み合わせでできているのも象徴的だ。[画像を見る]  数々の彫刻は水中彫刻家として有名なイギリスの芸術家、ジェイソン・デケアーズ・テイラー氏が手がけている。[画像を見る]  海底に設置された93点もの作品の中には、有機物でできた高さ8メートルを超える彫刻もあり、落ち着き先を探している魚たちに住み家を提供する。

 ところどころにある複雑な造形も、天敵を恐れる魚たちにとってはちょうど良い隠れ家になるだろう。海洋保全と観光スポットを兼ねる大望の美術館 海洋生物に居場所を提供し、繁殖にも役立つ水中の森。MUSANはこのプロジェクトアートを「サンゴ礁の再植林」と称している。[画像を見る]  そしてMUSANをきっかけに、このような彫刻が置かれるほど環境破壊が進んでいる海洋保護区の現状をより多くの人に知らせたいと考えている。


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 なおこのアートの魅力は海洋保全だけではない。近年観光に熱心なキプロスでは年間5万人以上の観光客が見込めるMUSANのオープンを2014年から待ち望んでいたのだ。

 長年の希望が叶った7月末の開会式にはアヤナパの前市長まで駆けつけ「世界的に有名な芸術家テイラー氏の作品が観光で訪れる人々にユニークな体験をもたらすでしょう」とスピーチするなど、現地でもかなり期待が高まっている。ダイビングはもちろんシュノーケルでも彫刻が鑑賞できる オープンしたてのMUSANは予約制。現地の水深は6~12メートル程度と浅く、海の透明度も平均20メートルと高いことからダイビングの初心者でも簡単な講習を受ければ彫刻を見に潜れるそうだ。

 またシュノーケリングがメインの人々も海面からのぞくツアーに参加できるという。

最近のMUSANの様子

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MUSAN Museum of Underwater Sculpture Ayia Napa

 時が経つごとに遺跡のような趣になるジェイソン・デケアーズ・テイラー氏作の海底彫刻スポットは他にもある。

 以下は2020年の世界海洋デーにちなんでテイラー氏が公開した過去の水中プロジェクトのまとめだ。メキシコ、グレナダ、ノルウェー、モルディブ、バハマ、イギリス、オーストラリアなど各国の海に沈んだ彫刻の様子をざざっと見られるぞ。

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World Oceans Day 2020 Overview of projects by Jason deCaires Taylor

References:designtaxi / greekreporter / instagramなど /written by D/ edited by parumo

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