美肌になりたい願望は昔から。1930年代から美容目的で使用された顔に電気を流す「ジアテルミー療法」のマスク
 昔から、綺麗な肌になりたいという願望は人類共通の願いだったようだ。現在では、高周波電気治療全般を意味する「ジアテルミー療法」だが、1930年代より美容目的で使用されていたようだ。


 熱分解法としても知られるジアテルミー療法は、余分な体毛やクモ状静脈(毛細管拡張症)、ニキビ、イボ、ホクロなど皮膚の傷を永久に除去するために行われた。

 当時は独特なマスクが使用されていたようだ。

美容目的で導入されたジアテルミー療法 医療用ジアテルミーと同様、顔や体を温める美容治療にも高周波電流が使われる。美容文化で初めてジアテルミー法が使われたのは、アリザベス・アーデンのウィーン・ユース・マスクだ。

 1928年に顔の皮膚組織を通る血流を刺激することによって、若返り効果があるとして紹介された。

 その他の美容サロンも、アーデンにならったため、1930年代には、熱分解で脱毛する機械を使用することができるようになったこともあって、熱を取り入れたフェイシャルトリートメントが一般的になった。
このトリートメントは、洗顔してティッシュで乾かし、マスクをつけることから始まります。調節可能なゴムのストラップで、顎の所定の位置に電極が固定され、同様にして両頬と額にも電極のバンドを取りつけます。

次に、しっかり絶縁されたケーブルが接続され、回路がつながります。与えられる刺激は心地よく、体の底まで温まり、10分もすると、皮膚と皮下組織に持続的な刺激が伝わります。

このような集中的な刺激は、マッサージやローションの塗布ではなく、完全にコントロールされた操作でしか得られません
(『The Hairdresser and Beauty Trade』1936年)


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コイン式ジアテルミーマシン。25セントを払い、大勢の人が汗をかいた、バイ菌だらけの温かいマスクを顔につける
 ウィーン式マッサージとして知られる間接的な高周波トリートメントも見逃せない。
これは、フェイシャルマッサージと高周波トリートメントを組み合わせたもので、セラピストの指先で肌を温める方法だ。

 今日、血行促進と称して、温熱ジアテルミート治療を提供しているサロンもあるが、これらは一般的ではない。

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高周波ジアテルミーの代わりに、簡単な温熱パッドが使えるようになった。このマスクは、1938年に発売されたThera Therm Electro-Velour フェイスマスク。電気毛布に使われているような調整可能な加熱パッドで作動する
 美容文化において、もっとも一般的に行われている最近の医療ジアテルミーは、セルライト治療だ。

 これは、単独ではなく、ほかの施術と組み合わせて使用されるもので、ジアテルミーによる深部の熱が、コラーゲンの生成を促し、血管を拡張させて血液循環を良くすると言われている。

 たまっている脂肪沈着物のリンパの流れを改善し、脂肪細胞を分解する効果があるという。

 昔の美容器具はいろんな意味で興味深いものがある

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ニキビや吹き出物を取り除くための、外科的ジアテルミー治療、1933年


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シルクのマスクと電極法、1936年


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ニキビの膿疱を固めるための外科的ジアテルミー治療(写真のモデルは、ニキビの問題を抱えているようには見えないが)1939年


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このゴムのマスクには、細かいほうれい線や小じわを"溶かす"とされる加熱コイルが内蔵されている。1939年

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