
Illustration by Lars Fields/Royal Ontario Museum
今から約5億4200万年から5億3000万年前、無数の奇妙な生物たちが突如として出現した地球史上きわめてユニークな時代があった。
この「カンブリア爆発」と呼ばれる現象により、現在見ることができる「門」(生物分類学上の一区分)がすべて揃ったことで知られているが、その中に一際大きなクリーチャーがいたようだ。
カナダで新たに化石が発見された「ティタノコリス(Titanokorys gainesi)」は原始的な節足動物のグループに属し、その体長は推定50センチ。
当時ほとんどの生物がその5分の1以下の大きさでしかなかったことを考えると、カンブリア紀では最大級の生物と考えられると、ロイヤル・オンタリオ博物館の古生物学者ジャン=ベルナール・キャロン氏は語っている。
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Massive New Animal Species Discovered in Half-Billion-Year-Old Burgess Shale新たに発見されたカンブリア紀の古代生物 ティタノコリス(Titanokorys gainesi)の化石は、カナダ、ロッキー山脈クーテネイ公園の「バージェス頁岩(けつがん)」から発見された。
この地層は非常に細かい粒子の堆積粘土であるために保存性に優れ、そのおかげでティタノコリスの細部まで調べることができた。
『Royal Society Open Science』(21年9月8日付)に掲載されたその調査結果によると、ティタノコリスは、すでに絶滅した原始的な節足動物「ラディオドンタ目(放射歯目)」の「フルディア科」に属しているという。
特徴的なのは、3つのパーツで構成される硬い甲皮でおおわれたやたらと長い頭だ。それに比べると胴体は短く、研究者いわく、その姿はほとんど「泳ぐ頭」のような感じだった。
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Photo by:Jean-Bernard Caron, Royal Ontario Museum.
アノマロカリスの仲間 カンブリア紀は、先カンブリア時代に形成された海洋が地球上のほぼ全てを覆い尽くし、海中では様々な種類に至る海洋生物が現れた時代である。
突き出た眼柄の先についた複眼、放射状に歯が並ぶ円盤のような口、体の前から生えた2本の付属肢、複数のヒレで構成された胴節、エラなど、ティタノコリスはラディオドンタ類(アノマロカリス類)に共通する特徴をすべて備えている。
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credit:Caron & Moysiuk, doi: 10.1098/rsos.210664.
ラディオドンタ類は大きさのバラエティに富んだ種で、10センチにも満たない小型種がいるかと思えば、体長1メートル(諸説あり)の最古の大型捕食動物と称される「アノマロカリス」も含まれている。
獲物を捕食する大型種と堆積物を濾過して食べる小型種が、同じような身体的特徴を備えていた理由はよくわかっていない。
しかし大きさにバラエティがあることから、ラディオドンタ類の仲間がより大きな獲物を食べていた可能性がうかがえるという。
大きなタイプも小さなタイプも同時期に生存することができたのは、そのためかもしれないそうだ。
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Photo by:Jean-Bernard Caron, Royal Ontario Museum.
その領域では支配的な存在だった ちなみにティタノコリスの場合、外背甲が平均的なラディオドンタ類よりも幅広だ。これはこの種が海底付近の環境に適応していた(ネクトベントス型)らしいことを示唆している。研究グループによれば、その領域では支配的な地位にあったと考えられるという。
その手足は熊手を重ねたような形状をしており、細かいトゲでとらえたものを口に運ぶのに便利だった。また巨大な背甲には、鋤のような機能があった可能性もあるとのことだ。
References:“Absolutely Mind-Boggling” Massive New Animal Species Discovered in 500 Million-Year-Old Burgess Shale / Massive new animal species discovered in half | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo
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今から約5億4200万年から5億3000万年前、無数の奇妙な生物たちが突如として出現した地球史上きわめてユニークな時代があった。
この「カンブリア爆発」と呼ばれる現象により、現在見ることができる「門」(生物分類学上の一区分)がすべて揃ったことで知られているが、その中に一際大きなクリーチャーがいたようだ。
カナダで新たに化石が発見された「ティタノコリス(Titanokorys gainesi)」は原始的な節足動物のグループに属し、その体長は推定50センチ。
当時ほとんどの生物がその5分の1以下の大きさでしかなかったことを考えると、カンブリア紀では最大級の生物と考えられると、ロイヤル・オンタリオ博物館の古生物学者ジャン=ベルナール・キャロン氏は語っている。
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Massive New Animal Species Discovered in Half-Billion-Year-Old Burgess Shale新たに発見されたカンブリア紀の古代生物 ティタノコリス(Titanokorys gainesi)の化石は、カナダ、ロッキー山脈クーテネイ公園の「バージェス頁岩(けつがん)」から発見された。
この地層は非常に細かい粒子の堆積粘土であるために保存性に優れ、そのおかげでティタノコリスの細部まで調べることができた。
『Royal Society Open Science』(21年9月8日付)に掲載されたその調査結果によると、ティタノコリスは、すでに絶滅した原始的な節足動物「ラディオドンタ目(放射歯目)」の「フルディア科」に属しているという。
特徴的なのは、3つのパーツで構成される硬い甲皮でおおわれたやたらと長い頭だ。それに比べると胴体は短く、研究者いわく、その姿はほとんど「泳ぐ頭」のような感じだった。
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Photo by:Jean-Bernard Caron, Royal Ontario Museum.
アノマロカリスの仲間 カンブリア紀は、先カンブリア時代に形成された海洋が地球上のほぼ全てを覆い尽くし、海中では様々な種類に至る海洋生物が現れた時代である。
突き出た眼柄の先についた複眼、放射状に歯が並ぶ円盤のような口、体の前から生えた2本の付属肢、複数のヒレで構成された胴節、エラなど、ティタノコリスはラディオドンタ類(アノマロカリス類)に共通する特徴をすべて備えている。
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credit:Caron & Moysiuk, doi: 10.1098/rsos.210664.
ラディオドンタ類は大きさのバラエティに富んだ種で、10センチにも満たない小型種がいるかと思えば、体長1メートル(諸説あり)の最古の大型捕食動物と称される「アノマロカリス」も含まれている。
獲物を捕食する大型種と堆積物を濾過して食べる小型種が、同じような身体的特徴を備えていた理由はよくわかっていない。
しかし大きさにバラエティがあることから、ラディオドンタ類の仲間がより大きな獲物を食べていた可能性がうかがえるという。
大きなタイプも小さなタイプも同時期に生存することができたのは、そのためかもしれないそうだ。
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その領域では支配的な存在だった ちなみにティタノコリスの場合、外背甲が平均的なラディオドンタ類よりも幅広だ。これはこの種が海底付近の環境に適応していた(ネクトベントス型)らしいことを示唆している。研究グループによれば、その領域では支配的な地位にあったと考えられるという。
その手足は熊手を重ねたような形状をしており、細かいトゲでとらえたものを口に運ぶのに便利だった。また巨大な背甲には、鋤のような機能があった可能性もあるとのことだ。
References:“Absolutely Mind-Boggling” Massive New Animal Species Discovered in 500 Million-Year-Old Burgess Shale / Massive new animal species discovered in half | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo
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