これがメキシコ。麻薬王エル・チャポの大邸宅が宝くじの1等の景品に
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 メキシコで、政府が主催する国営宝くじが行われたが、今回世間の注目を集めたのは景品の1等となる邸宅だった。

 資産価値が約2000万円と推定されたその邸宅は、麻薬王エル・チャポの名で知られたホアキン・グスマンの隠れ家の1つだったのだ。

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El Chapo’s Safe House to Be Given Away in Lottery麻薬王エル・チャポの隠れ家の1つが宝くじの1等景品に 9月15日、メキシコ国営宝くじの抽選会が行われた。

 今回の景品はちょっぴりユニークだ。というのも、抽選で当たる景品が押収物件がメインだからだ。

 景品の中には、アステカ・スタジアムのボックス席も含まれているが、メキシコシティで最も高級な地区の1つにある約380万ドル(約4億1600万円)相当の豪邸もその1つで、こちらは中南米の大物麻薬密売人フアレス・カルテルの指導者アマド・カリージョ・フェンテスからの押収物件だという。

 更に1等は、悪名高い麻薬組織シナロア・カルテルの元最高幹部で、1980年代から数々の麻薬をアメリカに密輸して財を築いたと言われる麻薬王エル・チャポ(ホアキン・グスマン)が隠れ家の1つとして所有していた、メキシコ北西部シナロア州クリアカンにある邸宅なのだ。  400平方メートルの敷地に260平方メートルの家が建っているこの邸宅は、資産推定価格が18万4000ドル(約2000万円)とされている。

 2014年、警察組織に取り囲まれたエル・チャポは、この家の地下排水路を通って逃げたが6日後に拘束され、刑務所へ送られた。

 しかし、2015年7月刑務所の独房にあるシャワーの排水溝まで掘られたトンネルを抜け、地下ネットワークに敷設された線路をバイクに乗って脱獄。この時は6か月後に再逮捕となったエル・チャポ。その後、アメリカの刑務所へ搬送され、現在もそこで終身刑に服している。

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 この邸宅は、以降捜査のために隅々まで調査がなされ、破損などの被害を受けたまま放置されていた。

 そこで、このほど宝くじ当局は大統領と話し合い、世間的には厄介とされ、また維持費のかかる押収物件を景品とすることで、社会に見える形で利益をもたらすものに変えることにしたそうだ。

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1等の当選者は明かされておらず エル・チャポの隠れ家を宝くじの1等景品にするために、浴室に作られていた脱出用トンネルは閉鎖され、白ペンキを塗ってタイル張りにした。また、家の外壁のあらゆる角度に設置されてあったCCTV(監視カメラ)も取り外された。

 実は、この家は去年に競売にかけようと約13万ドル(約1420万円)で入札を開始したが、参加者ゼロという結果に終わっていた。

 それだけに、今回宝くじの景品となったこの邸宅が、メキシコのみならず世界中からの注目を集めていることに宝くじ当局は驚いているようだ。

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 メキシコの国営宝くじが、押収物件を景品にするのは初めてのことであり、収益はメキシコのオリンピック選手に送られることになっているという。

 なお、抽選会は既に終わっているが、当選者の身元は明らかにされていない。

written by Scarlet / edited by parumo

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