キノコを食べるとうつ病を発症するリスクを減らすことができるとする研究結果
 菌類の仲間であるキノコには様々な健康効果があると言われている。抗酸化作用や血流改善作用、内臓脂肪抑制なども確認されているが、どうやら心の健康にも効くようだ。


 米ペンシルベニア州立大学の研究グループが、2万4000人のアメリカ人を調べたところ、キノコを定期的に摂取することで、うつ病を発症するリスクを減らすことができることがわかったという。

キノコを食べてうつ病予防 『Journal of Affective Disorders』(21年7月22日付)に掲載された研究では、2005年から16年にかけて行われたアメリカ保健省福祉省による「全国健康栄養調査」のデータが分析された。

 その結果、病気や服用中の薬、その他食習慣などを考慮しても、キノコを食べるとうつ病になるリスクが低いことが判明したそうだ。たくさん食べれば良いというわけではない とは言え、たくさん食べれば良いというものではない。食べた量とリスクの低下は比例するわけではないことも分かった。

 また実験として、赤身肉か加工肉の食事1食分を毎日キノコに置き換えてみたが、特にうつ病予防効果は確認されなかったとのことだ。

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キノコに含まれる抗酸化物質に心を守る働きがある可能性 今回の調査では、具体的にどのキノコにうつ病予防効果があるのか特定されていない。

 だが研究グループは、キノコに含まれる「エルゴチオネイン」には強力な抗酸化作用があり、細胞や組織の損傷を防いでくれると指摘する。

 それによって「統合失調症」「双極性障害」「うつ病」といった精神疾患が予防されることが、過去の研究によって示されているのだそうだ。どんなキノコが効くのか? またアメリカで一番よく食べられている「ツクリタケ」(いわゆるマッシュルーム)には、「カリウム」が含まれており、不安感を和らげると考えられている。

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 さらに”ライオンのたてがみ”とも呼ばれる「ヤマブシタケ」は、神経成長因子を合成するなどして、うつ病などの神経精神疾患を予防するのだそうだ。

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 このように心を守ってくれるキノコがある一方で、有毒なキノコもたくさん存在するので要注意だ。


 さらに研究が進めば、どのキノコをどれくらい摂取すれば一番効果的かがわかってくることだろう。

 日本のキノコ販売メーカー「Hokto」やJA長野県なども、キノコの健康効果に関する研究を行っている。

References:Mushroom Consumption May Lower Risk of Depression - Neuroscience News / written by hiroching / edited by parumo

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