
人間に話しかけられたり、会話に自分の名前が出てきたりしたとき、犬はちょこんと小首をかしげてこちらを見つめてくる。
その仕草はとてもかわいらしいだけでなく、ちゃんと意味があるという。
『Animal Cognition』(21年10月26日)に掲載された新しい研究によると、首をかしげる犬は頭を使って何かを考えている可能性が高いという。
「集中力」や「注意力」の現れであり、モノの名前を覚えるのが得意な犬ほどよく首をかしげるという。
なぜ犬は首をかしげるのか? 首をかしげる犬の姿は、何かを考えているように見える。飼い主さんなら、どんな話をしているのか必死に思案しているのだろうと、愛犬のいじらしさにキュンキュンするはずだ。
ネットで調べてみれば、音がする方向に耳を向けて、聞き取りやすいようにしているといった説明がなされている。考えているわけではないらしい。
だが、エトヴェシュ・ローランド大学(ハンガリー)の動物学者アンドレア・ソメーゼ氏によると、本当のところ、この仕草についてきちんと研究されたことはほとんどないのだという。
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photo by iStock
ものの名前を覚えるのが得意な犬ほどよく首をかしげる そんなソメーゼ氏は偶然にも、ある犬たちにこの仕草が共通していることを発見した。その犬たちとは、モノの名前を覚えるのが得意な犬たちだ。
もともとソメーゼ氏が調べていたのは、犬の名前を覚える能力についてだった。
ほとんどの犬は、おもちゃの名前を2つと覚えられない。ところが中には抜群に賢い子もおり、10個のおもちゃの名前を覚え、指示されたものを正しくもってこられる犬がいる(いずれもボーダー・コリーだった)。
特にウィスキーという子は、59個のおもちゃの名前を覚え、そのうち54個を正しくもってくる天才犬だ。
ソメーゼ氏らは、数か月にわたってこうした天才犬7匹と普通の犬33匹を比べてきた。そして気がついたのだ。
天才犬たちにはよく首をかしげるという共通点があることに。
おもちゃを取ってくるよう指示されたとき、天才犬が43%の確率で首をかしげるのに対して、普通の犬ではたったの2%でしかなかった。
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首をかしげる方向には癖があることも判明 ただ、首をかしげたからといって、正しいおもちゃを取ってくる正解率が上がるわけでもないという。
また面白いことに、人間の利き腕のように、犬が首をかしげる方向には癖があるようだ。
たとえば、左に首をかしげる子は、実験中ずっとそちらに首をかしげ、それは飼い主のいる位置にも関係がなかった。
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犬が首をかしげるのは集中力や注意力を研ぎ澄ましている可能性 実験に参加した犬たちは、どの子もおもちゃの名前をよく耳にして、それに慣れていた。にもかかわらず、一貫して首をかしげたのは、その意味をきちんと把握していた天才犬たちだけだった。
このことから、この仕草が単純にある音に慣れているかどうかを示すものでないことがわかる。
ソメーゼ氏は、首かしげは「精神的な処理」と関係しているのではと推測する。
たとえば、おもちゃを取ってこいと指示されたとき、その名前と視覚的な記憶と照らし合わせているのかもしれない。
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どんな犬でも音に反応して首をかしげる 賢さに関わらず、どんな犬でも首をかしげることはある。それは何かの音を聞いた時だ。ソメーゼ氏は今後、一般的な犬が反応する音がどのようなものか解明したいとのことだ。
犬たちが本当に考えているのかどうか、まだ断言できない。それでも、良く首をかしげるうちの子は賢いに違いないという飼い主さんたちの直感は、あながち間違いではないのかもしれない。
[動画を見る]
References:An exploratory analysis of head-tilting in dogs | SpringerLink / Dog head tilt may reveal animal brain function, memories, study says / written by hiroching / edited by parumo
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その仕草はとてもかわいらしいだけでなく、ちゃんと意味があるという。
『Animal Cognition』(21年10月26日)に掲載された新しい研究によると、首をかしげる犬は頭を使って何かを考えている可能性が高いという。
「集中力」や「注意力」の現れであり、モノの名前を覚えるのが得意な犬ほどよく首をかしげるという。
なぜ犬は首をかしげるのか? 首をかしげる犬の姿は、何かを考えているように見える。飼い主さんなら、どんな話をしているのか必死に思案しているのだろうと、愛犬のいじらしさにキュンキュンするはずだ。
ネットで調べてみれば、音がする方向に耳を向けて、聞き取りやすいようにしているといった説明がなされている。考えているわけではないらしい。
だが、エトヴェシュ・ローランド大学(ハンガリー)の動物学者アンドレア・ソメーゼ氏によると、本当のところ、この仕草についてきちんと研究されたことはほとんどないのだという。
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ものの名前を覚えるのが得意な犬ほどよく首をかしげる そんなソメーゼ氏は偶然にも、ある犬たちにこの仕草が共通していることを発見した。その犬たちとは、モノの名前を覚えるのが得意な犬たちだ。
もともとソメーゼ氏が調べていたのは、犬の名前を覚える能力についてだった。
ほとんどの犬は、おもちゃの名前を2つと覚えられない。ところが中には抜群に賢い子もおり、10個のおもちゃの名前を覚え、指示されたものを正しくもってこられる犬がいる(いずれもボーダー・コリーだった)。
特にウィスキーという子は、59個のおもちゃの名前を覚え、そのうち54個を正しくもってくる天才犬だ。
ソメーゼ氏らは、数か月にわたってこうした天才犬7匹と普通の犬33匹を比べてきた。そして気がついたのだ。
天才犬たちにはよく首をかしげるという共通点があることに。
おもちゃを取ってくるよう指示されたとき、天才犬が43%の確率で首をかしげるのに対して、普通の犬ではたったの2%でしかなかった。
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首をかしげる方向には癖があることも判明 ただ、首をかしげたからといって、正しいおもちゃを取ってくる正解率が上がるわけでもないという。
また面白いことに、人間の利き腕のように、犬が首をかしげる方向には癖があるようだ。
たとえば、左に首をかしげる子は、実験中ずっとそちらに首をかしげ、それは飼い主のいる位置にも関係がなかった。
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犬が首をかしげるのは集中力や注意力を研ぎ澄ましている可能性 実験に参加した犬たちは、どの子もおもちゃの名前をよく耳にして、それに慣れていた。にもかかわらず、一貫して首をかしげたのは、その意味をきちんと把握していた天才犬たちだけだった。
このことから、この仕草が単純にある音に慣れているかどうかを示すものでないことがわかる。
ソメーゼ氏は、首かしげは「精神的な処理」と関係しているのではと推測する。
つまり天才犬たちが発揮する高い「注意力」や「集中力」の表れではないかというのだ。
たとえば、おもちゃを取ってこいと指示されたとき、その名前と視覚的な記憶と照らし合わせているのかもしれない。
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どんな犬でも音に反応して首をかしげる 賢さに関わらず、どんな犬でも首をかしげることはある。それは何かの音を聞いた時だ。ソメーゼ氏は今後、一般的な犬が反応する音がどのようなものか解明したいとのことだ。
犬たちが本当に考えているのかどうか、まだ断言できない。それでも、良く首をかしげるうちの子は賢いに違いないという飼い主さんたちの直感は、あながち間違いではないのかもしれない。
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References:An exploratory analysis of head-tilting in dogs | SpringerLink / Dog head tilt may reveal animal brain function, memories, study says / written by hiroching / edited by parumo
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