粒子加速器を利用したX線イメージング技術で、新型コロナの肺の症状を解明することに成功したそうだ。
その解像度は従来のCTスキャンの100倍にアップしており、1ミクロンの超高解像度で臓器を丸ごと撮影することができるという。
『Nature Methods』(21年11月4日付)で報告された。
世界で最も明るいX線放出装置 粒子加速器から発生するX線(放射線の一種)を利用した革新的イメージング技術を、「階層的位相コントラスト断層撮影法(Hip-CT)」という。
その解像度は従来のCTスキャンの実に100倍。1ミクロンの超高解像度で臓器を丸ごと撮影することができる。
Hip-CTは、欧州シンクロトロン放射光研究所(ESRF)が施した粒子加速器のアップデートによって実現した。
アップデートで誕生した世界初の「第4世代シンクロトロン」(円形の粒子加速器)は、従来型に比べて輝度と干渉性が100倍にアップしている。
病院にあるレントゲン装置との比較で言えば、明るさは1000億倍。世界で最も明るいX線放出装置なのである。
人間の臓器を驚くほど詳細に3D撮影できるようになったのこのおかげだ。その鮮明さは、血管と周囲の組織を区別し、特定の細胞まで観察できるほどだ。
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健康な人間の脳のHiP-CTイメージング画像 Human Organ Atlas: HiP-CT imaging of a healthy human brain using the ESRF-EBS新型コロナで呼吸が急激に悪化する原因が判明 その性能は、新型コロナの症状の解明にも役立てられた。
新型コロナの病状が悪化する兆候として、血液に含まれる酸素の急激な低下が知られている。
これまで、こうした酸素低下の原因は、肺の中で血液に酸素を補給している毛細血管同士で、「シャント」が起きているためではないかと推測されてきた。
血管同士がつながり合ってしまうために、血液にうまく酸素が補給されなくなり、酸素レベルが低下してしまう。
今回、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンなどの研究グループは、Hip-CTを使って新型コロナで死亡した人の肺を撮影。その結果、実際にシャントが起きていることを示す直接的な証拠が確認された。
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新型コロナでダメージを受けた人間の肺のHiP-CTイメージング画像 Human Organ Atlas: HiP-CT imaging of a COVID-19 injured human lung using the ESRF-EBSこれまで謎だった人体の空白を埋める「ヒト臓器プロジェクト」 同グループはまた、「Human Organ Atlas(ヒト臓器アトラス)」というプロジェクトを立ち上げている。
プロジェクトの中心人物ピーター・リー氏によると、その目的は、Hip-CTによって人体の作りの「理解の空白を埋めること」だ。
臓器全体を撮影するならCTやMRIがあるが、その解像度はせいぜい1ミリ未満だ。一方、1ミクロン未満単位で撮影できる顕微鏡や電子顕微鏡では、臓器から採取した小さな組織しか調べられない。
「Hip-CTは、こうしたスケールの橋渡しをしてくれます。臓器全体の3D画像は、人体の生物学的構造について新しい知見をもたらすでしょう」と、リー氏は説明する。
ヒト臓器アトラスでは、脳・腎臓・心臓・脾臓といった人間の主要臓器の3Dスキャン映像を閲覧することができる。
References:Brightest ever X-ray shows lung vessels altered by Covid-19 | UCL News - UCL – University College London / written by hiroching / edited by parumo
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