行方不明となっていた少女、SNSで知った家庭内暴力を示すハンドサインを出したことで救助される
image credit:Canadian Women's Foundation

 アメリカのノースカロライナ州で、今月初旬に行方不明になっていた16歳少女が2日後に無事救助・保護され、少女を誘拐した男が逮捕された。

 救助のきっかけとなったのは、少女が車の中から示したハンドサインだ。

 これは、家庭内暴力(DV)の被害者が、声を出さずとも周りに助けを求めることができるサインで、去年からTikTokなど、SNSを通して拡散されていた。

 少女はDVにあっていたわけではないが、見知らぬ男性に誘拐、拉致され危機に瀕していた。そこで車中からこのサインを示すことで救いを求めていたのだ。

誘拐された少女が車中からDVのハンドサイン 11月2日、ノースカロライナ州アッシュビルに住む16歳少女が行方不明になり、心配した両親は警察に届けを出した。

 その2日後の4日、ケンタッキー州ローレル郡保安官事務所は、とある車の運転手から「シルバーカラーのトヨタの車に乗った少女が、家庭内暴力(DV)を意味するハンドジェスチャーを示し、助けを求めているようだ」との通報を受けた。[画像を見る] ハンドサインの意味を知る目撃者の通報で救助される その後、同保安官事務所の保安官が、州間高速道路近くを走っているトヨタ車を発見。

 中にいた少女が行方不明になっていた少女と同一人物であることを確認し、車を運転していたノースカロライナ州チェロキー在住のジェイムズ・ハーバート・ブリック(61歳)を逮捕した。

 救助された少女は、警察に「男に車でノースカロライナ州、テネシー州、ケンタッキー州、オハイオ州に連れ回された」と話したという。

 今回の誘拐事件が解決したのは、少女がDVを意味するハンドサインを知っていて、それを目撃した運転手もそのサインの意味を知っていたことだ。

 実際にはDVではなく誘拐事件だったが、このサインは「助けて!」を示すものだ。少女はハンドサインで自分の危機を誰かに伝えようとしたのである。

 少女が何回このサインを送り続けていたかはわからない。だがその意味を知る男性に遭遇できたのは幸いだった。

 目撃した男性は「少女が苦しんでいるように見える」とすぐに警察に通報した。もしもの時に備えて、覚えておくべきハンドサイン このハンドサインは、去年のコロナパンデミック時に、アメリカのWomen’s Funding Networkと、カナダのCanadian Women’s Foundationにより取り決められたサインだ。

 家で過ごす時間が増えるにつれDV被害者が増えていることを危惧した団体が、ビデオ通話でも怪しまれずに「自分はDV被害に遭っている。助けてほしい」と伝えられるサインを作り出した。  ハンドサインのやり方は簡単。手のひらを伝えたい相手に向け、親指を内側に曲げ他の4本指を伸ばす。次に4本指で親指を隠すように握る。

 声を出す必要なく静かに窮地を伝えることができるサインは、SNSのおかげで、このハンドサインは現在、世界各地に広まっている。

 ただし広まれば広まるほど加害者に知られてしまう。加害者に見られないようにこっそりとやるのがベストだろう。
TikTokで動画を見る

 なお、今回逮捕されたブリックは、所持していたスマートフォンの中に12歳~18歳未満の若い女性の性的パフォーマンスを示す資料を違法所持していたことも判明。

 誘拐罪と合わせて起訴され、現在1万ドル(約114万円)の保釈金が設定されてローレル郡矯正センターに拘留中ということだ。

 ちなみに、以下の動画は、ビデオ通話でどのように相手に伝えるかを実際に示した動画例だ。

[動画を見る]

Violence at Home #SignalForHelp

 尚、DVに気が付いてもらう為の方法は他にもある。手のひらに黒い点を描く「ブラックドット」で、DV体験者のダニエル・トレジェットさんが考案したものだ。

[動画を見る]
written by Scarlet / edited by parumo

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