
太平洋で暮らすメバル属の中には、200年も生きる種が存在する。日本から、ベーリング海や北米西海岸に分布するアラメヌケだ。
長寿の魚たちは、人間の老化を防ぐ薬を作る鍵を握っているようだ。
『Science』(21年11月11日付)に掲載された研究によると、米カリフォルニア大学バークレー校のピーター・サドマント博士は、メバル属に超長寿をもたらす遺伝的な原因とその結果を特定したという。
脊椎動物の中でもトップクラスの長寿の魚、メバル属 は虫類、鳥類、哺乳類など、脊椎動物の寿命はさまざまで、数週間しか生きられないものがいるかと思えば、人間のように80年以上生きるものも存在する。
魚の中で特にすごいのがサメの仲間だ。2017年、推定512歳のニシオンデンザメが発見され話題を呼んだが、ジンベイザメも130年の寿命を持つ。
そしてメバル属も負けていない。
カリフォルニア海岸沿いの深海に生息するイエローアイ・ロックフィッシュ(Sebastes ruberrimus)は140年以上生きる。
日本の千葉県の銚子以北からベーリング海や北米西海岸に分布するにかけて、水深84~490メートルに生息する「アラメヌケ(Sebastes melanostictus)」(メバル科メバル属)にいたっては、冷たく深い沿岸部の海で200年以上も生きる。
その長寿の秘密を探るべく、サドマント博士らはメバル88種の組織サンプルを評価し、さらに遺伝子の解析も試みた。
[動画を見る]
Rougheye Rockfish at Seamount アラメヌケメバルが長寿である理由 研究で明らかになったのは、長寿をもたらす遺伝子の一部は、「深海への適応」や「大きな体」と関係しているということだ。
こうした特徴は、副次的な作用として「代謝を遅く」する。その結果として寿命が延びるのだ。
だがそれだけでない。メバルはそれ以外の遺伝子にも工夫をこらして長寿を獲得していた。
たとえば「免疫系を制御する遺伝子」だ。この数が増えるほどに長寿である傾向がある。免疫系は炎症の発生と関係しており、炎症は老化をうながすからだ。
また「DNAを修復する遺伝子」も重要だ。これが多ければ、それだけガンを予防し、感染症を防ぐことができる。
さらに「インスリンを制御する遺伝子」もまた寿命と関係があった。
[動画を見る]
アラスカで釣れた巨大なイエローアイ・ロックフィッシュ長寿にはデメリットもある 一方で、寿命の長さと引き換えに失うものもあるようだ。寿命が長いメバルほど、個体数が少ない傾向にあるのだ。
同じことは哺乳類にも当てはまる。たとえば、ゾウは60年生きることができるが、数年しか生きられないネズミに比べれば、圧倒的に数が少ない。
たとえば、免疫系を司る遺伝子をターゲットにすることで、老化によるダメージを和らげる薬を開発できるかもしれないとのことだ。
References:Pacific Ocean rockfish genomes reveal genetic | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo
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長寿の魚たちは、人間の老化を防ぐ薬を作る鍵を握っているようだ。
『Science』(21年11月11日付)に掲載された研究によると、米カリフォルニア大学バークレー校のピーター・サドマント博士は、メバル属に超長寿をもたらす遺伝的な原因とその結果を特定したという。
脊椎動物の中でもトップクラスの長寿の魚、メバル属 は虫類、鳥類、哺乳類など、脊椎動物の寿命はさまざまで、数週間しか生きられないものがいるかと思えば、人間のように80年以上生きるものも存在する。
魚の中で特にすごいのがサメの仲間だ。2017年、推定512歳のニシオンデンザメが発見され話題を呼んだが、ジンベイザメも130年の寿命を持つ。
そしてメバル属も負けていない。
カリフォルニア海岸沿いの深海に生息するイエローアイ・ロックフィッシュ(Sebastes ruberrimus)は140年以上生きる。
日本の千葉県の銚子以北からベーリング海や北米西海岸に分布するにかけて、水深84~490メートルに生息する「アラメヌケ(Sebastes melanostictus)」(メバル科メバル属)にいたっては、冷たく深い沿岸部の海で200年以上も生きる。
その長寿の秘密を探るべく、サドマント博士らはメバル88種の組織サンプルを評価し、さらに遺伝子の解析も試みた。
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Rougheye Rockfish at Seamount アラメヌケメバルが長寿である理由 研究で明らかになったのは、長寿をもたらす遺伝子の一部は、「深海への適応」や「大きな体」と関係しているということだ。
こうした特徴は、副次的な作用として「代謝を遅く」する。その結果として寿命が延びるのだ。
だがそれだけでない。メバルはそれ以外の遺伝子にも工夫をこらして長寿を獲得していた。
たとえば「免疫系を制御する遺伝子」だ。この数が増えるほどに長寿である傾向がある。免疫系は炎症の発生と関係しており、炎症は老化をうながすからだ。
また「DNAを修復する遺伝子」も重要だ。これが多ければ、それだけガンを予防し、感染症を防ぐことができる。
さらに「インスリンを制御する遺伝子」もまた寿命と関係があった。
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アラスカで釣れた巨大なイエローアイ・ロックフィッシュ長寿にはデメリットもある 一方で、寿命の長さと引き換えに失うものもあるようだ。寿命が長いメバルほど、個体数が少ない傾向にあるのだ。
同じことは哺乳類にも当てはまる。たとえば、ゾウは60年生きることができるが、数年しか生きられないネズミに比べれば、圧倒的に数が少ない。
不老長寿の薬の研究に役立つ可能性 なお今回の発見は、不老長寿の薬の開発にもつながるかもしれない。
たとえば、免疫系を司る遺伝子をターゲットにすることで、老化によるダメージを和らげる薬を開発できるかもしれないとのことだ。
References:Pacific Ocean rockfish genomes reveal genetic | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo
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