ガリシア地方で発見された天文観測機器としては初めてのもので、この手のタイプのものでは、世界で108番目のものとなった。
16世紀のアストロラーベが発見される 2012年、スペイン、ガリシア州ビスケー湾南部にあるビベイロ入江でふたりの考古学ダイバーが、船に搭載されていたとみられる、16世紀にさかのぼる大砲を2台発見した。
これらは、1597年にここで沈んだガリオン船、サン・バルトロメ号の大砲ではないかと推測されている。
更に去年、同じ場所で、水中考古学者のアントン・ロペスら15人から成る研究チームが、大砲と同時代である1575年から1622年の間のものと思われるアストロラーベを発見した。
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スペイン、ビベイロ入江の発掘現場 / image credit:Perfecto Souto / FEDAS天体観測用の機器として使用されていたアストロラーベ この発見は、スペイン水中活動連盟(FEDAS)が設立した、北方水没文化遺産チームのダイバーが、ビベイロ入江の失われた遺物を探索して4年目の成果だ。
このアストロラーベは、ガリシア地方で発見された天文観測機器としては初めてのもので、この手のタイプのものでは、世界で108番目のものとなった。
「アストロラーベ」の起源は、一説によると、紀元前2世紀ごろ,古代ギリシャの天文学者ヒッパルコス(BC.190頃-BC.120頃)によって発明されたとも言われている。
アストロラーベという言葉は、星座早見盤のルーツと言われ、円盤の形状をしていて、各パーツが軸のまわりを回転できるようになっている。
その後さまざまな改良が施され、用途も多岐にわたり、太陽・月・惑星・恒星の位置測定および予測、ある経度と現地時刻の変換、測量、三角測量にも使用された。 イスラムとヨーロッパの天文学では天宮図を作成するのに用いられたとされており、18世紀に六分儀が発明されるまでは航海における主要な測定機器であったそうだ。
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大砲の一部を水面へと運ぶ考古学者たち / image credit:FEDAS アストロラーベのベスト10に入る保存状態の良さ ビベイロ入江から引揚げられたブロンズ製のアストロラーベは、周囲21センチ、重さ4.92キロ。発見者のアントン・ロペスは、海の羅針盤としての高度な技術がうかがえ、非常に重要なものだと語る。
希少な遺物としての価値をさらに高めているのは、手作りの特注品であることだ。このアストロラーベは、"地球上でもっとも保存状態の良い10の遺物のうちのひとつ"と断定している。
ロペスによると、この機器がユニークなのは、これまで世界で見つかっている107個のアストロラーベのように、3又に分かれたリングに銛の形をしたアリダードを組み合わせたものとは違うということだ。
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ビスケー湾で発見されたブロンズ製のアストロラーベ / image credit:image credit:FEDAS
機器のベースになっている3又のリングは、3つの指のような形に見えることからこの名がつけられた。
このおかげで使う者は揺れる船の上でしっかりとつかむことができる。アリダードとは、円形のベースを中心に回転するブロンズの棒のことで、天体の動きに合わせて、海での位置や航路を定めることができる装置のこと。
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ガリシア州ビベイロの入江 photo by iStock
今後の目標は大砲が搭載されていた母船を見つけること 天文コンパスは、2012年に16世紀の2台の大砲が見つかった、エリアビーチ東にある小島ビベイロⅠ遺跡から発見された。
大砲が搭載されていた船のものと思われる木材の残骸は発見されなかったが、研究者はこのアストロラーベは、16世紀の貨物船か戦艦に付属していたものではないかと考えている。
現在、アストロラーベは修復中で、ガリシア地方の重要な考古学遺産として、ビゴ湾の海洋博物館に一時的に保管される予定だ。
ロペスは、元の場所にそのまま残されている2台の大砲が、やがてアストロラーベが搭載されていた母船の発見につながると確信している。
References:Descubren en la ria de Viveiro un astrolabio unico en el mundo / Spanish Divers Discover the World’s 108th Ancient Astrolabe | Ancient Origins / written by hiroching / edited by parumo
追記(2022/09/25)本文を一部修正して再送します。
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