
これまで、タコやイカ、エビやカニは痛みを感じる感覚がないと考えられてきたが、実はそうではなかったようだ。
イギリスの専門家チームが、これまでに発表された300件以上の科学研究論文を精査した結果、タコやイカなどの頭足類と、エビ・カニ・ヤドカリのような十脚甲殻類には意識感覚があるという確たる証拠があることがわかったという。
これを受け、イギリス政府の審査委員会は、無脊椎動物である頭足類や十脚類にも感覚があることを正式に認め、動物福祉法案の保護対象に追加した。
これにより生きたまま茹でる行為は違法となる。
タコやイカ、エビやカニにも意識感覚がある 意識感覚とは、痛み、喜び、空腹、喉の渇き、暖かさ、楽しみ、快適さ、興奮といった感情をもつ能力のこと。これまでのイギリスの動物福祉法では、脊椎動物は全てこの感覚があると認めていた。
感情と意識はまったく同じものではないが、感情は意識のもっとも基本的な感覚を示すため、両者は密接に関係している。
例えば、ロブスターは捕獲されて狭い場所に入れられ、輸送される段階で非常にストレスを受け、レストランに到着する頃にはかなり弱って死んでしまうことも多い。
無脊椎動物である十脚類や、タコのような頭足類はどちらも、痛みを感じるだけでなく、痛い思いをしたり、脅威を感じた対象や状況を覚えていて、それを避けるための行動をとることができる。
無脊椎動物には脳がなく、人間が考えるような感覚をもっているわけではない。だが、痛みを伝える侵害受容体や、モルヒネに反応するオピオイド受容体などを含む複雑な神経回路があり、これが脳の代用を果たしていると考えられている。
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photo by Pixabay
いずれ非人道的捕獲や虐待、生きたまま茹でることは違法に イギリスのこの動物福祉法案の改正は、少なくとも今はまだ、水産業や外食産業の現在のやり方にそれほど影響を及ぼさないと思われる。
しかしいずれは、こうした動物たちに対する非人道的な屠殺や捕獲は禁止されることになりそうだ。
今後の動物福祉法には、エビ・カニ、タコ・イカを生きたまま茹でたり、手足をむしったりする残酷な行為の禁止も含まれるだろうことが提言されている。
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ヨーロッパで活発化する無脊椎動物を守る動き 動物に対するこうした残虐な行為が禁止されるのは、初めてのことではない。スイスやニュージーランドではすでに、甲殻類を生きたまま茹でることは違法だ。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの専門家チームで、政府委託の独立審査委員でもあるジョナサン・バース氏はこう語る。
だが今後は、調理法も変えなければならないだろう。
例えばロブスターの痛みを和らげるため、調理に大麻を使用するようになったアメリカのレストランのように。
References:Lobsters, octopus and crabs recognised as sentient beings - GOV.UK / Lobsters, octopuses and crabs recognized as "sentient" in the UK / written by konohazuku / edited by parumo
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イギリスの専門家チームが、これまでに発表された300件以上の科学研究論文を精査した結果、タコやイカなどの頭足類と、エビ・カニ・ヤドカリのような十脚甲殻類には意識感覚があるという確たる証拠があることがわかったという。
これを受け、イギリス政府の審査委員会は、無脊椎動物である頭足類や十脚類にも感覚があることを正式に認め、動物福祉法案の保護対象に追加した。
これにより生きたまま茹でる行為は違法となる。
タコやイカ、エビやカニにも意識感覚がある 意識感覚とは、痛み、喜び、空腹、喉の渇き、暖かさ、楽しみ、快適さ、興奮といった感情をもつ能力のこと。これまでのイギリスの動物福祉法では、脊椎動物は全てこの感覚があると認めていた。
感情と意識はまったく同じものではないが、感情は意識のもっとも基本的な感覚を示すため、両者は密接に関係している。
例えば、ロブスターは捕獲されて狭い場所に入れられ、輸送される段階で非常にストレスを受け、レストランに到着する頃にはかなり弱って死んでしまうことも多い。
無脊椎動物である十脚類や、タコのような頭足類はどちらも、痛みを感じるだけでなく、痛い思いをしたり、脅威を感じた対象や状況を覚えていて、それを避けるための行動をとることができる。
無脊椎動物には脳がなく、人間が考えるような感覚をもっているわけではない。だが、痛みを伝える侵害受容体や、モルヒネに反応するオピオイド受容体などを含む複雑な神経回路があり、これが脳の代用を果たしていると考えられている。
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いずれ非人道的捕獲や虐待、生きたまま茹でることは違法に イギリスのこの動物福祉法案の改正は、少なくとも今はまだ、水産業や外食産業の現在のやり方にそれほど影響を及ぼさないと思われる。
しかしいずれは、こうした動物たちに対する非人道的な屠殺や捕獲は禁止されることになりそうだ。
今後の動物福祉法には、エビ・カニ、タコ・イカを生きたまま茹でたり、手足をむしったりする残酷な行為の禁止も含まれるだろうことが提言されている。
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ヨーロッパで活発化する無脊椎動物を守る動き 動物に対するこうした残虐な行為が禁止されるのは、初めてのことではない。スイスやニュージーランドではすでに、甲殻類を生きたまま茹でることは違法だ。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの専門家チームで、政府委託の独立審査委員でもあるジョナサン・バース氏はこう語る。
この改正案は、大きな矛盾を改善するのにも役立ちます。タコやその他の頭足類は、科学界では長い間保護されてきましたが、それ以外の世界では守られてきませんでした。動物福祉大臣のゴールドスミス卿はは次のように述べている。
イギリスが動物福祉の点で他をリードできる方法のひとつは、これまで人間がまったく無視してきた無脊椎動物を保護することなのです
動物福祉感性法案は、新たな法律を策定するときに、動物福祉が正しく考慮されることを決定的に保証するものになります。レストランで提供されるロブスターや甲殻類は、生きたまま茹でて提供されることが多いが、これは、ロブスターが死ぬと有毒なバクテリアをたくさん放出するため、食中毒の可能性を最小限に抑えるためにそうされてきた。
甲殻類や軟体動物が痛みを感じることができるのは、科学で明らかになっているので、彼らがこの重要な法律の対象になるのは当然のことなのです
だが今後は、調理法も変えなければならないだろう。
例えばロブスターの痛みを和らげるため、調理に大麻を使用するようになったアメリカのレストランのように。
References:Lobsters, octopus and crabs recognised as sentient beings - GOV.UK / Lobsters, octopuses and crabs recognized as "sentient" in the UK / written by konohazuku / edited by parumo
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