ロボットといっても液体だ。液体ロボットだからといって、ターミネーターの液体金属ロボットのようにあらゆるものに姿を変えて、人を襲うわけでもない。
外観はロボットらしくないかもしれないが、人間の代わりに刺激の強い化学物質を回収して運んでくれるなど、化学における安全性と効率性を向上させる可能性を秘めているそうだ。
エサを食べて動く小さな液体ロボット 米ローレンス・バークレー国立研究所とマサチューセッツ工科大学のグループが開発したのは、「リキボット」と呼ばれる液体タイプのロボットだ。
直径2ミリ程度と小さく、外見は口が開いた袋のようになっている。
しかし、これを水に浮かべてやると、潜水艦のようにダイブし、水中の化学物質を回収しては、”陸地”まで運んでくれる。
しかも一度きりではない。電気を供給しなくても、勝手に”エサ”を食べながら、いつまでも何度でも、黙々と作業を繰り返す。実にクールだ。
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image credit:Jenny Nuss/Berkeley Lab
エサの塩を食べ、化学的パワーを発生 リキボットが電力供給を必要としないのは、それが周囲の媒体を利用して、化学的に力を得ているからだ。
リキボットに”エサ”(塩)を与えると、密度が高くなり、溶液の中に沈む。
さらにまた別の化学反応が生じて、”陸地”(容器の縁)へと引き寄せられ、そこで”積荷”(充填された化学物質)を降ろす。
この動作は、溶液の中に”エサ”があるかぎり、いつまで繰り返される。
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These Liquid Robots Keep On Running
過去にもリキボットの研究はあったが、一度きりしか潜水できなかったり、電気の供給が必要だったりと、弱点があった。
しかし、今回そうした弱点が克服された。研究グループのトム・ラッセル教授は、「化学的な力で浮力を制御し、自律的に動作する液体ロボットシステムの壁を突破しました」と声明で述べている。
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配合を調整し、様々な作業を行えるように リキボットは配合を調整することで、様々な作業を行えるようになるという。
たとえば、環境に漂うガスを検出したり、特定の化学物質に反応するようなリキボットが考えられる。また化学物質の選別や創薬・薬剤合成を行う自律的・継続的システムの開発も可能になるかもしれないという。
研究室のビーカーの中身は液体ロボット。それが常識になる日もいずれ来るのかもしれない。
この研究は『Nature Chemistry』(21年11月29日)に掲載された。
References:These Liquid Robots Never Run Out of Juice as Long as They Have Food / / written by hiroching / edited by parumo
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