令和のわらしべ長者。物々交換を繰り返し1本のヘアピンが一軒家に!
 「わらしべ長者」は1本のわらを物々交換していくうちに裕福な暮らしを手に入れた男のおとぎ話だが、リアルわらしべ長者が存在したようだ。

 アメリカに住むデミ・スキッパーさんという女性は昨年5月、1本のへアピンを物々交換し、最終的に家を手に入れるプロジェクトを開始。


 その結果、1年7カ月後の今年12月、28回の物々交換を経て、ついに念願の一軒家を手に入れることができたという。

1本のヘアピンを一軒家に変える物々交換プロジェクト アメリカ、カリフォルニア州に住むデミ・スキッパーさん(29)は2020年5月、「Trade me project(私と交換してプロジェクト)」を発足。1本のヘアピンを物々交換で最終的に一軒家に変える取り組みをスタートした。

 そして今年12月、1年7カ月を経て、ついに本当に一軒家を手に入れてしまったのだ。

 日本では昔のおとぎ話「わらしべ長者」が有名だが、似たような話は世界各国に存在する。

 最初は小さな価値の低いものから、より価値の高いものへと交換を繰り返し、最終的には高価なものを手に入れていく。

 こうした夢の物々交換を実現させるのは簡単なことではない。根気よく献身的に時間をかけること、そして運とタイミングも大切だ。物々交換の様子をSNSで随時報告 スキッパーさんは、新型コロナによるロックダウン期間中に、この試みを始め、ヘアピンがどんなものと交換されていったのか、その様子をSNSで逐一公開した。

 スキッパーさんは数ヶ月の間に、壊れた車から、ダイヤのネックレスまでありとあらゆるものを交換し、ついに世界に数枚しか発行されていないチポトレ(メキシカンのファストフード)のセレブカードをゲットした。[画像を見る]  これは、一年間、チポトレの料理が無制限で無料になり、さらに50人分のチポトレディナーをケータリングしてもらえる権利だ。

 このカードは2万ドル(およそ230万円)相当の価値があるが、フォロワーたちは、同等の価値のあるものと交換してくれる相手は見つからないだろうとコメントした。


 数ヶ月探した結果、スキッパーさんはチポトレの大ファンというカナダ人女性からメールを受け取った。

 女性は、テスラのパワーウォールと太陽光パネルを搭載した4万ドルのトレーラーハウスをカードと交換したいと言ってきたのだ。

 スキッパーさんはこのチャンスに飛びついたが、トレーラーハウスをカナダから運び込むのに法律上の問題があることが後からわかった。

 トレーラーハウスは、カナダで足止めをくらうはめになったが、スキッパーさんは諦める気はなかった。何週間も運輸局に電話をかけ続け、ついに解決策を見いだした。

 フォロワーのひとりが、アメリカとの国境付近でトレーラーハウスを預かってくれることになり、スキッパーさんと彼女の夫は15時間かけてそこまで行って、トレーラーハウスを改装して、なんとか無事にアメリカに持ち込むことができた。[画像を見る] 28回の物々交換で、念願の一軒家を手に入れることに成功 次の取引相手を探していたとき、古家をリフォームし転売するのを専門にしている女性と知り合った。

その女性はネットで、スキッパーさんのトレーラーハウス持ち込みの顛末を追っていて、適切な取引ができるのを待っていたのだ。

 このトレーラーハウスと引き換えに、スキッパーさんはテネシー州にある一軒家を提供された。この家は、小さな寝室ふたつ、キッチン、リビング、バスルーム完備の、スキッパーさんにとって完璧な家だった。

 ついに念願の一軒家が手に入ったのだ。[画像を見る]  スキッパーさんのヘアピンがどのような過程を経て一軒家となったのか?その28回の物々交換を時系列で見ていこう。
ヘアピン ➡ イアリング2つ ➡ カクテルグラス4つ ➡ 掃除機 ➡ スノーボード ➡ AppleTV ➡ BOSE ノイズキャンセリングヘッドホン ➡ Xボックス One、センサーバー・キネクト、ゲーム2つ、コントローラー2機、 ➡ MacBook Pro2011 ➡ キヤノンカメラセット ➡ Nike「Blazers」 ➡ Nike「Hyperdunks」 ➡ Nike「Jordan 1 Reverse Shattered Backboards」 ➡ iPhone 11 Pro Max ➡ 自動車(2008 ダッジ・キャラバン) ➡ 電動スケートボード ➡ MacBook Pro 2017 ➡ 電動自転車とケータリング用トラック ➡ ミニクーパー(自動車) ➡ ダイアモンドとサファイアのネックレス ➡ フォード・マスタング(自動車) ➡ Jeep(自動車) ➡ トレーラーハウス ➡ ホンダCR-V(自動車) ➡ トラクター3台 ➡ レストラン「チポトレ」のVIPカード ➡トレイラーハウス ➡ 一軒家
スキッパーさんは語る。
今回のプロジェクトを経て、ネガティブな考えをポジティブに転換させることが得意になったように思います。

もし誰かが、1セントにもならないものを何百万倍もの価値のある家と交換すると言ったら、そんなの無理に決まってると皆が口をそろえて言うでしょう。

でも、今回のことで、熱意を保つこと、折れない心があれば、不可能が可能になる気がしてきました
 スキッパーさんと夫は、夢だった家を手に入れた。この家を改装して住むつもりだという。

 スキッパーさんの物々交換の様子はInstagramのアカウント『trademeproject』で見ることができる。

written by konohazuku / edited by parumo

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