
宗教、建築、数学など、人類が関わるさまざまな分野で、3がこれほど重要視されるのは、なぜなのだろうか?
かつて、世界中のさまざまな文化では、古くから3は神聖、神秘、普遍、神を表わすものと信じられてきた。ここでは数字の3と関連する興味深い考察を見ていこう。
ピタゴラスが重要視していた「3」にまつわる歴史 紀元前6世紀、古代ギリシャの数学者で哲学者のピタゴラスは、「a2 + b2 = c2」という有名な三平方の定理を表わした。この公式は、直角三角形の3辺の数学的関係を説明していて、世界中の研究者は、これはもともとはエジプトのピラミッド設計に基づいたものだと考えている。
ピタゴラスは、エジプトの偉大な師から学び、エジプトの知識と知恵をギリシャに持ち込んだ。それがギリシャ哲学の基礎となった。
ピタゴラスをはじめとする古代の哲学者にとって、数学は超自然的なものを説明するひとつの手段だった。ニコラ・テスラなど、多くの科学者や発明家は、3という数字を非常に重要なものとして考えていた。
ピタゴラスは、宇宙の万物は3つの構造から成り立っていて、宇宙のあらゆる問題は、三角形という図形と、3という数字に集約することができると教えた。
ピタゴラスやその弟子たちにとって、「三角形」という形は昇天と、数字の3を表わすもので、宇宙の隠された謎すべてを解くカギになると考えた。
だが、数字の3の重要性を発見したのは、ピタゴラスが初めてではない。ピタゴラスは、エジプト人から知識を得たが、彼らはすべての知恵は神々から直接授かったと言った。
この神とは、地球のものではなく、つまり地球外の存在だというのだ。
だが、この考えをエジプトの外へ初めて広めたのは、ピタゴラスだ。彼はまず、異世界からやってきた神々の神聖かつ神々しい知恵について語り始めた。
地球の幾何学は、私たちの世界と共存しているかもしれない異世界とつながることができるので、ピタゴラスの三角形には、私たちがまだ物理的な形で理解していない知恵が存在する可能性は明らかだ。
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『アテナイの学堂』に描かれたピタゴラス(ラファエッロ、1509年) / image credit:public domain/wikimedia遺伝子の塩基配列「トリプレットリピート」 あらゆる生物は、そのすべての生物学的機能を3つのタイプの分子に依存していると言われている。それは、DNA、RNA、そしてタンパク質で、これらは生体高分子として分類される。
DNA、RNA、タンパク質がなければ、既存の生命体は存在しえない。1966年、科学者たちは遺伝子コードの解読に成功したという、科学史上最大の成果を発表した。
長年の研究の結果、人の遺伝子には、特定の3つの塩基が繰り返される配列「トリプレットリピート」があることが発見された。
このように、3という数字は生物学的にも重要なカギを握っているのかもしれない。
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ギザのピラミッド 4000年以上前に建てられたこの建造物は間違いなく世界でもっとも有名な遺構で、建築において、もっともシンプルで完璧な幾何学形状である三角形が効果的に利用された最高の例だろう。
古代エジプト文明は、おそらく地球で初めて、幾何学、数学、建築を丹念に組み合わせた、文明のひとつといっていい。
この組み合わせによって、考古学や科学ではとても説明がつかないような建造物を建てることができた。
三角形は、人間の頭の中に存在する基本的な原型のひとつで、ピラミッドのような巨大建造物でそれを表わすことができる。
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3という数字の暗号は、錬金術、宇宙を支配する力 もっとも影響力をもつ17世紀の科学者のひとり、アイザック・ニュートンは、近代物理学の基礎となる「運動の第三法則」を示した。
しかし、ニュートンが極めて神秘的な人間で、錬金術に並々ならぬ興味を示していたことは、たいていの人は知らない。
ニュートンの死後、彼の哲学、天文学、数学に関する論文の中から、タブラ・スマラグディナ、あるいはヘルメスの秘密としても知られる「エメラルド・タブレット」という古文書の翻訳が見つかった。これは、何百年にもわたって錬金術師たちを魅了してきた文献だ。
この石板は、錬金術の実践や宇宙の神秘に関する情報が書かれた、いくつかの文献のひとつと考えられている。
金属の変成や、宇宙や長寿の秘密に関する古代の知恵が書かれているが、これら石板は、数千年前に建造された大ピラミッドで発見されたものだという。
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エメラルド・タブレットの想像画(17世紀のドイツの錬金術師・医師ハインリヒ・クンラート『永遠の智恵の円形劇場』1602年) / image credit: Wellcome Images / WIKI commons CC-BY-4.0
その中の一文には次のように書かれている。
3は大いなる神秘、大いなるものから発生するつまり3という数字は、宇宙空間のつながりを表わすもので、知恵、意識、力は皆、この3という数字の相互関係の結果なのだという。
この知識を会得した者は、支配者や人生の師、死の教師、超自然的な存在、ほぼあらゆることができる超人となると考えられていたようだ。ヒンドゥー教の3 偉大なる神ブラフマンは宇宙の創造者、ヴィシュヌ神は現実の維持者、シヴァ神は破壊と再生者だ。
シヴァ神は三又の矛で表わされ、その先端は、意志、活動、知識という、彼の持つ3つの主要な力を示している。額の中心に第三の目が描かれることもあり、この目を使って物事を見る。この神は千里眼の能力を持っている。
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だから、スイスにある欧州原子核共同研究機構(CERN)の敷地内に、第三の目と数字の3のパワーを備えた、高さ2メートルのシヴァ神像があるのは驚くことではない。
この像の足元にある銘板には、"シヴァ神が踊り、宇宙に命を吹き込み、そしてそれを根絶する"とある。
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image credit:CERN
東方三博士の礼拝 東方三博士の礼拝(マギの礼拝)は、キリスト誕生に関するよく知られた話のひとつだが、この"東方の三博士"の謎については、ほとんど知られていない。
マタイによる福音書によると、当時、西洋人にとっては神秘的で不思議な世界だと考えられていた東方から、3人の王がやって来たという。
マギは、紀元前2000~3000年にさかのぼる、古代ペルシャの神官で、天文学と星の動きの専門家だった。三博士は、星を頼りに聖地を目指して何千キロも旅し、地図も使わずにベツレヘムに到着することができた。
さらに、三博士がイエス・キリストに献上した「3つの贈り物」は、キリストが生涯を通して必要となるあらゆる物質を擬人化した黄金、燃やすと心を解放し、悟りを開くことができる香り高い古代の樹脂、香、そして、死を連想させ、死後の世界を象徴するオイル、没薬だった。
しかし、これで終わりではない。3という数字のパワーを解き放つカギは、聖三位一体、つまり、父、子、精霊という3つの神格だという説もある。
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『東方三博士の礼拝』 ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ、1423年 / image credit:public domain/wikimedia人類の歴史と「3」の深いかかわり 見てきたように、3という数字は歴史的発見や偉業と関わってくる。
3という数字が、数学者、哲学者、建築家、錬金術師、秘密結社などを魅了してきたのは、このためなのかもしれない。
3の謎を解くことができた者は、新たな力を手に入れることができるのかもしれないし、世界を救うことができるのかもしれない。
References:The Mystery Of The Number 3 And The Key To Existence / written by konohazuku / edited by parumo
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