新たな研究では、蚊が赤・黒・オレンジ、シアン(やや緑みの明るい青)といった色を好むことが明らかとなった。
こうした色の波長は、肌の色に関わりなく人体から放たれているもので、蚊はそれを手がかりに血を吸う獲物を探しているのだそうだ。
蚊はどうやって獲物を探すのか? カリフォルニア大学ロサンゼルス校の生物学者ジェフリー・リフェル教授によると、蚊は血を吸うターゲットを探すとき、いくつかの手がかりを利用しているという。
まず蚊が一番遠くから感知できる手がかりが「二酸化炭素」だ。動物が吐く息には二酸化炭素が含まれているが、彼らは風がないときでも10メートル先からそれを感じることができる。
それから「汗の匂い」や動物の「体温」も、獲物を探し出す手がかりになる。
だがそれだけではない。どうやら色のような視覚的な情報も、蚊にとっては獲物の存在をはっきり認識するうえで重要な手がかりなのだという。
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蚊は赤や黒色に惹きつけられる 『Nature Communications』(2022年2月4日付)に掲載された研究で、リフェル教授らは「ネッタイシマカ」のメス(どの蚊も血を吸うのはメスだけだ)が色に対してどのように反応するのか、次のように観察している。
まず実験用の箱に蚊を入れる。この箱の内部には、さまざまな色の点や美味しそうな人間の手が描かれている。これを目にした蚊はどのように振る舞うだろうか?
じつはカラフルな点や人間の手の絵をただ見せても、蚊は床でじっとしているだけで何もしない。
だがここに二酸化炭素をスプレーして、獲物の存在をほのめかしてやると、すぐさま血を求めて行動を開始する。
とは言っても、どの色に対しても同じように反応するわけではない。赤系や黒・シアン(緑がかった青)などの点には群がった一方、白や紫、緑・青の点には目もくれなかったのだ。
この実験から、血を吸う獲物を探している蚊は、特定の色を好んで近寄っていくことがうかがえる。
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蚊が獲物を探すメカニズム こうした行動は私たち人間の行動を振り返ってみれば、よく理解できる。街を歩いてるとき、どこからか美味しそうな匂いが漂ってくれば、あなたはキョロキョロと周囲を見回して、匂いの元を探そうとするだろう。
蚊もこれと同じだ。二酸化炭素という嗅覚の刺激を受けると、その発生源が何なのか視覚情報を利用して探し始める。
人間の目は、光の波長の違いによって色の種類を区別している。たとえば、650ナノメートルの波長なら赤に見えるし、450ナノメートルなら青に見える。
蚊にも人間と同じような色が見えているかどうかはわからない。だが二酸化炭素の匂いを嗅ぎつけた蚊は、赤系や黒といった波長が長い色を好んで接近する。
こうした色の波長は、皮膚の色に関わらず、人間の体から放たれているものだ。
リフェル教授らは試みに、フィルターを使って人体から放たれるそうした波長をカットしてみた。すると二酸化炭素を嗅がせても、蚊は人の手に群がらなくなったという。
このことからも、蚊が色を手がかりにして獲物を探していることがうかがえる。
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ちなみに蚊のメスのこうした色の好みは、遺伝子の働きによるものだ。遺伝子操作で、二酸化炭素の匂いを嗅げなくしたり、長波長の光を感じられないようにすると、色の好みがなくなることが明らかになっている。蚊に刺されたくないなら白や紫色を着よう こうした事実は、蚊除けやトラップといった新しい防虫グッズ開発のヒントになるだろう。
蚊は大袈裟でもなんでもなく、人間にとってもっとも危険な動物だ。それが媒介するマラリアなどの病気によって毎年大勢の人々が命を落としている。今回の実験に使われたネッタイシマカも、黄熱・デング熱・ジカ熱といった感染症を引き起こす。
迷惑な夏の風物詩である蚊には好きな色がある。この知識のおかげで、大勢の命が助かることだってあるかもしれない。
蚊がいそうな場所に行くとき、シアンと青の区別は難しそうなので、とりあえずは赤っぽい色と黒を避け、白色や紫色を着てみてはどうだろう?
ちなみに蜂も黒い色を襲いがちなので、夏の間は黒い色を避けておくと安全性が高まるのかもしれない。
References:Mosquitoes are seeing red: These new findings about their vision could help you hide from these disease vectors -- ScienceDaily / written by hiroching / edited by parumo
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