
四六時中ギャグを連発せずにはいられない「遊戯症」や、炭水化物を食べると酔っ払う「腸内発酵症候群」など、この世には信じがたい奇病がある。
一方、中国のある男性は特殊な病に悩まされていた。
ワニはものを食べるときに涙を流すが、ジャンという男性もまさに食事のたびに涙が流れてしまうのだ。これは「ワニの涙症候群」もしくは「ワニの涙現象」と呼ばれている。
食事のたびに涙が出る男性「ワニの涙症候群」と診断される 今年2月、中国の湖北省武漢市で眼科にかかったジャンさんは医師から耳慣れない病名を告げられ愕然とした。その名は「ワニの涙症候群(crocodile tear syndrome)」。ワニの涙現象とも呼ばれる、まれな病気だという。
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image credit:翻攝自看看新聞
最近なぜか食事をするたびきまって涙がこぼれ出ることに悩まされていたジャンさん。
泣きたいわけでもないのに食べてると勝手に涙が流れる。最初はあまり気にしていなかったのだが、食べ物を噛めば噛むほど涙がどんどん出てくるため、人前で食事しづらくなった。
だが引きこもっていても症状は一向に収まる気配がなく、いつもの会食を避けるにつれ周囲との関係もぎくしゃくしてきた。
このまま放置もまずいと思い、意を決して診てもらったところ、思いもよらない病だと教えられたのだ。治ったはずの顔面神経麻痺と関係が。唾液の神経が涙腺に! 担当医によるとワニの涙症候群は、以前ジャンさんを悩ませた顔面神経麻痺と深いかかわりがあった。
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image credit:kankanews
こうした症状は、顔面神経麻痺の回復過程でまれに生じるもので、再生してきた顔の神経が伸びる方向を誤り、別のところに到達するために起きるという。
ジャンさんの場合、麻痺は収まったものの、その回復中に本来は唾液の分泌腺に着くはずだった唾液腺を司る神経が、誤った道をどんどん進んで涙腺に着いてしまった。
その結果、左目の涙腺の活動が顕著に影響を受けることになったという。古くからの言い伝え「ワニの涙」にちなんだ「ワニの涙症候群」 ちなみにワニの涙症候群という名の由来は、ワニが獲物を食べる時に涙を流すという古くからの伝承(ワニの涙)にちなんでいる。
人間的な解釈により、食事の時に「あたかも獲物に同情するかのように」目を潤ませたり「偽善で」大粒の涙を流すといわれるワニ。
だが実のところ、その「涙」は人間のように感情を揺さぶられた時に流れるものとは異なるそうだ。
ワニや亀の「涙」は、体内のナトリウムを排出するためにある。その分泌物は涙のように塩辛いが、塩類腺という分泌器官を通じて出てくるもので、厳密には目からではなく目尻から出る。
それは常時機能しているが、陸上では人の涙の粒のようにこぼれ落ちるため、いつしかそう語られるようになったのだろう。
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photo by Pixabay
その後は外科手術で症状が大幅に改善 一方、気の毒なことにジャンさんは唾液が出るシーンで涙が出るようになってしまった。食べ物の匂いや味などの刺激を受けるたびに涙が流れてしまうのだ。
ワニの涙症候群の症状は患者ごとに異なるが、軽症の場合はカウンセリングと経過観察、重症の場合は涙腺へのボトックス注射や外科手術による治療があるそうだ。
ボトックス注射は異常に再生した神経に沿って行い、唾液腺への影響を遮断するものだが、効果は一時的でその持続期間は6か月までになるという。
海外メディアによるとジャンさんは外科手術を選択。その結果、症状は大幅に改善したという。ただその術式などは不明で、完全に治ったかどうかまではわかっていない。
食べるたびに涙も困るけど逆に食べてない時は目が乾くんじゃないか?とか、そうなると唾液が出なくて口の中は乾いたまんまなのか?とかいろいろ考えちゃうけどもジャンさんが良くなっているといいのう。
References:odditycentralなど /written by D/ edited by parumo
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一方、中国のある男性は特殊な病に悩まされていた。
ワニはものを食べるときに涙を流すが、ジャンという男性もまさに食事のたびに涙が流れてしまうのだ。これは「ワニの涙症候群」もしくは「ワニの涙現象」と呼ばれている。
食事のたびに涙が出る男性「ワニの涙症候群」と診断される 今年2月、中国の湖北省武漢市で眼科にかかったジャンさんは医師から耳慣れない病名を告げられ愕然とした。その名は「ワニの涙症候群(crocodile tear syndrome)」。ワニの涙現象とも呼ばれる、まれな病気だという。
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最近なぜか食事をするたびきまって涙がこぼれ出ることに悩まされていたジャンさん。
泣きたいわけでもないのに食べてると勝手に涙が流れる。最初はあまり気にしていなかったのだが、食べ物を噛めば噛むほど涙がどんどん出てくるため、人前で食事しづらくなった。
だが引きこもっていても症状は一向に収まる気配がなく、いつもの会食を避けるにつれ周囲との関係もぎくしゃくしてきた。
このまま放置もまずいと思い、意を決して診てもらったところ、思いもよらない病だと教えられたのだ。治ったはずの顔面神経麻痺と関係が。唾液の神経が涙腺に! 担当医によるとワニの涙症候群は、以前ジャンさんを悩ませた顔面神経麻痺と深いかかわりがあった。
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こうした症状は、顔面神経麻痺の回復過程でまれに生じるもので、再生してきた顔の神経が伸びる方向を誤り、別のところに到達するために起きるという。
ジャンさんの場合、麻痺は収まったものの、その回復中に本来は唾液の分泌腺に着くはずだった唾液腺を司る神経が、誤った道をどんどん進んで涙腺に着いてしまった。
その結果、左目の涙腺の活動が顕著に影響を受けることになったという。古くからの言い伝え「ワニの涙」にちなんだ「ワニの涙症候群」 ちなみにワニの涙症候群という名の由来は、ワニが獲物を食べる時に涙を流すという古くからの伝承(ワニの涙)にちなんでいる。
人間的な解釈により、食事の時に「あたかも獲物に同情するかのように」目を潤ませたり「偽善で」大粒の涙を流すといわれるワニ。
だが実のところ、その「涙」は人間のように感情を揺さぶられた時に流れるものとは異なるそうだ。
ワニや亀の「涙」は、体内のナトリウムを排出するためにある。その分泌物は涙のように塩辛いが、塩類腺という分泌器官を通じて出てくるもので、厳密には目からではなく目尻から出る。
それは常時機能しているが、陸上では人の涙の粒のようにこぼれ落ちるため、いつしかそう語られるようになったのだろう。
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その後は外科手術で症状が大幅に改善 一方、気の毒なことにジャンさんは唾液が出るシーンで涙が出るようになってしまった。食べ物の匂いや味などの刺激を受けるたびに涙が流れてしまうのだ。
ワニの涙症候群の症状は患者ごとに異なるが、軽症の場合はカウンセリングと経過観察、重症の場合は涙腺へのボトックス注射や外科手術による治療があるそうだ。
ボトックス注射は異常に再生した神経に沿って行い、唾液腺への影響を遮断するものだが、効果は一時的でその持続期間は6か月までになるという。
海外メディアによるとジャンさんは外科手術を選択。その結果、症状は大幅に改善したという。ただその術式などは不明で、完全に治ったかどうかまではわかっていない。
食べるたびに涙も困るけど逆に食べてない時は目が乾くんじゃないか?とか、そうなると唾液が出なくて口の中は乾いたまんまなのか?とかいろいろ考えちゃうけどもジャンさんが良くなっているといいのう。
References:odditycentralなど /written by D/ edited by parumo
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