イギリスで引き上げられた推定年齢100歳のニシオンデンザメ
 脊椎動物の中で最も長寿だと言われているニシオンデンザメは、推定年齢512歳の個体も発見されている。

 今回イギリス南西部の海で立ち往生し、その後死骸となって浮いていたところを漁船に引き上げられたニシオンデンザメは、推定年齢100歳ほどの”子供”であることが判明したようだ。

イギリス南西部で発見されたニシオンデンザメ そして今回、今回イギリス南西部コーンウォールのニューリンのビーチで打ち上げられていたのは、約100歳のニシオンデンザメだ。  海で立ち往生しているサメを見た地元住民は、すぐにCornwall Wildlife Trustに連絡したが、職員が駆け付けた頃には満ち潮になっており、サメは海に流されていたという。

 その2日後の15日、地元漁師が死骸になって浮いているニシオンデンザメを発見し、漁船に引き上げた。

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 国際自然保護連合IUCNのレッドリストの中で「危急種」に指定されているニシオンデンザメは、英名Greenland Sharkという名が示すようにグリーンランド近辺の海域や、北大西洋の低海水温海域に生息している。

 餌を求めて浅海に上がる以外は深海にいるため、滅多に人の目に触れることはない珍しいサメで、体長5~6メートルに成長するが、1年で成長するのは約1センチほどだ。メスの性成熟には約150年かかると言われている。

 世界一のろい魚としてもしられるニシオンデンザメは既知の脊椎動物としては最も長寿で、その平均年齢は少なくとも272歳。最高では512歳と推測された個体もいる。専門家ら、100歳の幼魚と推定 イギリスでは、ニシオンデンザメが発見された例は過去1度しかなく、今回死骸ではあるが2例目となる珍しいサメの発見に、科学者ら専門家らは早速調査を行った。

 ニシオンデンザメは、過去に最大7.3メートルの体長が記録されているが、今回発見されたサメはメスで3.96メートルの全長、更に推定年齢100歳ほどであることが発表された。  ロンドン動物学会・座礁鯨調査プログラムで研究を行うロブ・ディービル氏は、次のように述べている。
サメに年齢をつけるのは難しいことです。ただ、推定の対象になるのは眼球と椎骨で、今回のニシオンデンザメはそこから調査した結果、100歳と推定しました。
 ディービル氏によると、ニシオンデンザメにはグリーンランドのサメの眼球のみに見られる特定の種類の寄生虫が付着しており、下顎に異なる歯を持つ非常に稀な歯の形態を持っているという。

 科学者らは、ニシオンデンザメの死骸からサメの餌や動きなどの生態だけでなく、海洋の人口汚染物についても調べることが可能になることを示唆しており、今後もその調査を続けていくということだ。

written by Scarlet / edited by parumo

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