
NASAでは今、地球の位置を宇宙へ向かって発信する計画が進められている。だがこれに対し、オックスフォード大学の科学者は、宇宙人の侵略を招く恐れがあると警鐘を鳴らしている。
まさに「我々はここにいるよ」と位置情報を教えているようなものだという。もし知的生命体が存在するとしても、全てが友好的であるとは限らない。
敵対的、好戦的な宇宙人の場合、それを悪用されてしまうというのだ。
地球外知的生命体にメッセージを送信する計画 先日、NASAのジェット推進研究所チームは、宇宙へのメッセージ送信に関する提案を行った。
この計画では、バイナリーコード化された太陽系・地球・人類のDNAなどについての情報、いわば「銀河の標識」を、天の川銀河でもとりわけ地球外文明が存在する可能性が高い領域へ向けて発信しようとしている。
1974年にもプエルトリコの電波望遠鏡から似たような試みが行われている。これは「アレシボ・メッセージ」と呼ばれており、メッセージは地球から約2万5000光年の距離にあるヘルクレス座の球状星団 M13 に向けて送信された。
今回のメッセージ送信案は「アレシボ・メッセージ」の最新版と言えよう。
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photo by Pixabay
地球の情報を宇宙にばらまくことのリスク しかしオックスフォード大学「人類の未来研究所(FHI)」の上級研究員アンダース・サンドバーグ博士は、こうした情報の公開にはリスクがあると警鐘を鳴らす。
彼によれば、メッセージが知的生命体が存在する地球外文明に届く可能性は低いとはいえ、本当に届いてしまった場合「影響が大きいので、かなり真剣に考慮する必要がある」という。
もし受け取った相手が敵対的な宇宙人だった場合、地球に侵略される危険性が極めて大きいのだ。しかも相手はメッセージにより地球の手の内を知っていることになる。
宇宙人とのコンタクトは、もし実現すれば地球を揺るがすほどの重要な事案だ。にもかかわらず多くの人は真剣に受け止めていない。実に嘆かわしいことだと、サンドバーグ博士は語る。
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photo by Pixabay
人類の未来研究所のトビー・オード氏もやはり、2020年に出版された著書『The Precipice』で、人類の存亡リスクと未来を分析しつつ似たような議論を行なっている。
彼によると、重要なのは、平和的な文明と敵対的な文明の比率だという。
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果たして宇宙人からの返信はくるのか? NASAが計画するメッセージには、異なる文明同士でコミュニケーションが図れるよう、数学や物理学の基本的コンセプトが記載されるという。
ほかにも地球の生命の生物学的組成についてのデータ、主要な星団と太陽系の位置関係を示したもの、太陽系・地球表面・人間の男女を描いたデジタル画像も発信される。
ただしNASAが直接メッセージを発信するわけではない。代わりに、中国の500メートル口径球面電波望遠鏡や、米カリフォルニア州にあるSETIのアレン・テレスコープ・アレイからの発信が提案されている。
なおプロジェクトチームはこの試みについて、「宇宙の科学的探究において、驚くほど興味をそそられる展開」と述べている。
References:[2203.04288] A Beacon in the Galaxy: Updated Arecibo Message for Potential FAST and SETI Projects / Oxford Scientist Worried NASA Project Will Attract “Hostile” Aliens / Plan to beam Earth's location into outer space could spark alien invasion, scientists warn / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
まさに「我々はここにいるよ」と位置情報を教えているようなものだという。もし知的生命体が存在するとしても、全てが友好的であるとは限らない。
敵対的、好戦的な宇宙人の場合、それを悪用されてしまうというのだ。
地球外知的生命体にメッセージを送信する計画 先日、NASAのジェット推進研究所チームは、宇宙へのメッセージ送信に関する提案を行った。
この計画では、バイナリーコード化された太陽系・地球・人類のDNAなどについての情報、いわば「銀河の標識」を、天の川銀河でもとりわけ地球外文明が存在する可能性が高い領域へ向けて発信しようとしている。
1974年にもプエルトリコの電波望遠鏡から似たような試みが行われている。これは「アレシボ・メッセージ」と呼ばれており、メッセージは地球から約2万5000光年の距離にあるヘルクレス座の球状星団 M13 に向けて送信された。
今回のメッセージ送信案は「アレシボ・メッセージ」の最新版と言えよう。
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地球の情報を宇宙にばらまくことのリスク しかしオックスフォード大学「人類の未来研究所(FHI)」の上級研究員アンダース・サンドバーグ博士は、こうした情報の公開にはリスクがあると警鐘を鳴らす。
彼によれば、メッセージが知的生命体が存在する地球外文明に届く可能性は低いとはいえ、本当に届いてしまった場合「影響が大きいので、かなり真剣に考慮する必要がある」という。
もし受け取った相手が敵対的な宇宙人だった場合、地球に侵略される危険性が極めて大きいのだ。しかも相手はメッセージにより地球の手の内を知っていることになる。
宇宙人とのコンタクトは、もし実現すれば地球を揺るがすほどの重要な事案だ。にもかかわらず多くの人は真剣に受け止めていない。実に嘆かわしいことだと、サンドバーグ博士は語る。
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人類の未来研究所のトビー・オード氏もやはり、2020年に出版された著書『The Precipice』で、人類の存亡リスクと未来を分析しつつ似たような議論を行なっている。
彼によると、重要なのは、平和的な文明と敵対的な文明の比率だという。
これについて推測できる証拠はほとんどなく、科学的に統一された見解もない。メリットよりもデメリットの方がはるかに大きいことを考えれば、少なくとも自分には、地球外文明とコンタクトを図ろうという流れはいい状況に思えない
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果たして宇宙人からの返信はくるのか? NASAが計画するメッセージには、異なる文明同士でコミュニケーションが図れるよう、数学や物理学の基本的コンセプトが記載されるという。
ほかにも地球の生命の生物学的組成についてのデータ、主要な星団と太陽系の位置関係を示したもの、太陽系・地球表面・人間の男女を描いたデジタル画像も発信される。
ただしNASAが直接メッセージを発信するわけではない。代わりに、中国の500メートル口径球面電波望遠鏡や、米カリフォルニア州にあるSETIのアレン・テレスコープ・アレイからの発信が提案されている。
なおプロジェクトチームはこの試みについて、「宇宙の科学的探究において、驚くほど興味をそそられる展開」と述べている。
References:[2203.04288] A Beacon in the Galaxy: Updated Arecibo Message for Potential FAST and SETI Projects / Oxford Scientist Worried NASA Project Will Attract “Hostile” Aliens / Plan to beam Earth's location into outer space could spark alien invasion, scientists warn / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
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