政府にとっての重要な関心の1つは、UFO(UAP)が国家安全保障上の脅威であるかどうかということだ。
これまでに報告されたUFO遭遇事例では、軍に被害が出たらしいケースもある。しかしそうした事例を詳しく調べてみると、少なくとも人間側が敵対しない限り、UFOに敵意はないらしいことが窺える。
UFOが航空機を攻撃した事例はあるのか? 1948年、UFOを観察するためにP-51 マスタングで出撃したケンタッキー州空軍のトーマス・F・マンテル大尉が墜落事故を起こした時、捜査官の多くが、墜落原因はUFOなのかどうか検討したという。
結局事故の原因は、大尉が低酸素症に陥り、やがて燃料切れになったと結論が出された。
さらに1964年にもケンタッキー州でUFOが関与したとされる墜落事故が発生しているが、こちらは平凡な事故であるとされた。
いずれのケースも、UFOが直接の墜落原因とはされていない。
しかし、人間のパイロットとUFOが攻撃的なやりとりを交わした末に、あわや衝突寸前になったケースや、軍用機が撃墜されたと考えられるケースは他にもある。
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冷戦中にソ連軍がUFOと交戦 英国国防省が公開したファイルなど、冷戦中にソ連軍がUFOと交戦したという報告書が出回っている。
謎の飛行物体に発砲を試みた事例では、戦闘機とパイロットを失う結果になったという。これについて、2019年のFox Newsのインタビューである重要な点が強調されている。
そのインタビューで、ジャーナリストのトム・ローガンは、ソ連軍が交戦を試みたことを除けば、UFOは「むしろ友好的に思える」と発言。
また彼は自身の記事の中で、英国国防省の調査に言及し、ロシアと中国は協力してUFOの調査を行なっており、「UFOを追跡していた航空機数機が破壊され、少なくともパイロット4人が死亡した」と説明している。
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“Its Extraterrestrial or Extra-Dimensional” - Fox News | UFO Coverage 19/12/191948年、アメリカ空軍がUFOと接近戦 アメリカで起きた同様の事例としては、ノースダコタ州空軍のジョージ・ゴーマンのものが知られている。ゴーマンはファーゴ付近で30分余りUFOと接近戦を繰り広げたとされる。
事件が起きたのは1948年10月1日の夜のことだ。ゴーマンは空軍基地上空を飛行していた際、明るく点滅する球体を発見した。
彼が追跡を試みると、球体は安定した光に変わり、鋭くターンするなど不規則な動きに変化。それから反転してゴーマンの機体に突っ込んできたので、彼は慌てて回避した。
こうしたことを2回繰り返したが、ゴーマンは無事に帰還している。
注意しなければならないのは、球体を追跡するべく、進路を変更したのはゴーマンの方が最初だったということだ。
確かに球体は機体へ突っ込んできたようだが、結果的に衝突することはなかった。また武器も使用されていない。ゆえにUFOの行動はさまざまに解釈できるだろう。
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1967年、キューバ・ジェット機事件 パイロットによるUFOの遭遇事件でもっとも悪名高いのは、1967年に起きた「キューバ・ジェット機事件」だろう。
米国航空大気現象調査委員会(NICAP/National Investigations Committee on Aerial Phenomena)がこの事件に関する詳細かつ複数の政府機関の記録を持っていということは、それが本物であるだけでなく、政府は当時この事件について公にしなくなかったらしいことがことが窺える。
事件は、とある米空軍のセキュリティ専門家が、1978年にスタントン・フリードマンにその報告書をリークしたことで始まる。
この人物は1967年当時、フロリダ・キーズの第6947警備隊に配属されており、キューバ空軍の通信やレーダーの監視をしていた。そんな彼は同年3月、北東からキューバ領空にUFOが侵入したという通信を傍受したのだ。
2機のMiG-21が出撃。現場に到着したパイロットたちは、高度1万メートルの上空を時速1060キロで移動する、「マーキングも付属物もない明るい金属球」を発見した。
隊長が無線で球体とコンタクトを試みるが失敗しため、司令部は球体の撃墜を命令。「球体をロックオンし、いつでも撃墜できる」との連絡が、彼からの最後の通信になった。
その数秒後、僚機のパイロットから隊長の機体が爆発したと悲鳴が聞こえてきた。彼によれば、機体は空中で分解し、破片は海に降り注いだという。
それからUFOは信じられない速度で高度3万メートルにまで上昇し、南米南西へ向かっていった。
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A Fighter Jet 'Disintegrated' when it prepared to fire Missiles at a UFO !
UFOがキューバ機を撃墜したのかどうかは不明だが、そのパイロットにとって不幸な結末に終わったことは間違いない。
第6947警備隊は、傍受したこの内容を米国国家安全保障局(NSA)に報告。数時間後に、この事件に関連する全資料をNSAに送り、キューバ機は「機器の故障」で墜落したと記録するよう指示が下った。
フリードマンはこの情報を「UFOの秘密保持に反対する市民(CAUS)」という団体のロバート・トッドに伝えた。
1978年、トッドは6ヶ月にわたって軍や諜報機関に情報提供を申請したが、いずれも不発だった。
それどころか同年7月、彼の自宅をFBIの捜査官が訪問し、外国政府と接触したことはあるかと質問してきたのだ。捜査官はさらにスパイ防止法を読み上げ、もし有罪になれば、終身刑どころか、死刑になる恐れもあると伝えてきたという。
トッドに対する政府からのメッセージは明確だった。
その後、トッドが空軍にFBIの捜査状況を問い合わせたところ、そうした文書の存在について肯定も否定もできないとの回答が返ってきたようだ。仮にそれが存在したのだとしも、機密文書で入手することはできなかっただろう。
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UFOは敵対的な存在なのか? ここで紹介したものは特に有名な事例だが、他にも同様の事例はある。そして、これらについて、ある重要な点を検証してみるべきだろう。
こうした報告書が実際の出来事を正確に記したものだとして、UFOの方から攻撃を仕掛けてきた事例は1つもない。
UFOが攻撃的な行動に出るのは、人間のパイロットが仕掛けた時だけだ。各国の軍によるUFOの報告書からわかるのは、人間が挑発しない限り、彼らは「自分のことにしか関心がない」ということかもしれない。
References:Have UFOs Ever Attacked Terrestrial Aircraft? - The Debrief / written by hiroching / edited by / parumo
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