墜落したUFOの残骸のよう。火星の地表に投棄された探査車のパーツをNASAのヘリコプターが撮影
credit:NASA/JPL-Caltech
 火星を空から探査しているNASAのロボットヘリコプター「Ingenuity(インジェニュイティ)」が、SF映画で見るような異世界感満載の風景を撮影した。

 火星の地表に残されていたのは、火星探査車「Perserverance(パーシビアランス)」が着陸時に投棄したバックシェルとパラシュートだ。


 こうした鮮明な画像からは着陸当時の様子を知ることができ、より安全な着陸法を考案するヒントになるそうだ。

火星の地表に残されたUFOの残骸のようなパーツ その姿は、SF映画で見たことのある墜落したUFOの残骸そのものだ。火星への着陸がそれだけ負荷のかかるものであったことを物語る。

 NASAによれば、火星探査車「パーシビアランス」は着陸時に時速約2万キロという降下速度による重力と熱を制御せねばならなかった。砕けたバックシェルは、時速125キロで地面に衝突したことによるものだ。

 「SF的異世界感があるのは確かですね」と、NASAジェット推進研究所のイアン・クラーク博士は語る。

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パーシビアランスのバックシェルと超音速パラシュート。その周囲には破片が散らばる/ image credit:NASA/JPL-Caltechは衝突当時の状況を推測できる鮮明な画像 パーシビアランスの砕けたバックシェルや超音速パラシュートは、2022年4月19日に行われた、ロボットヘリコプター、インジェニュイティ26度目のフライトで撮影されたもの。

 バックシェルは以前にもパーシビアランスが地上から撮影しているが、空からの画像は残骸の様子をずっと詳しく見ることができる。

 それは衝突当時の状況を推測する手がかりであり、もっと安全に着陸するヒントになる。見たところ、

 バックシェルの保護コーティングは無傷だし、パラシュートをつなぐ高強度サスペンションラインも残っている。

 「パーシビアランスの記録は、火星の着陸のものとしてはもっとも詳細なもので、カメラはパラシュートの開き方から着陸まで捉えています」と、クラーク博士は話す。
ですが、インジェニュイティの画像はまた視点が違います。想定通りに機能した裏付けになるにせよ、マーズ・サンプル・リターン計画に使える工学的データをもたらしてくれるにせよ、素晴らしいことです。そうでなくても、印象的な写真でしょう


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image credit:NASA/JPL-Caltech

 「NASAは、このような先駆的なフライトを行うために、インジェニュイティの飛行オペレーションを広げました」と、NASAジェット推進研究所のテディ・ツネトス氏は語る。
フライトの度に、インジェニュイティは新しい地で見たこともない視点をもたらしてくれます。

マーズ・サンプル・リターン計画のための偵察ですが、火星で空飛ぶプラットフォームが有用であることを示す格好の例です


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image credit:NASA/JPL-Caltech火星ヘリの期待を上回る成果 2021年4月19日、インジェニュイティは火星での最初のホバリングに成功。

 これは地球以外の惑星における世界初の航空機による動力制御飛行だ。それ以来、インジェニュイティは関係者の期待をずっと上回ってきた。

 今回のミッションは、火星時間4月19日午前11時37分に開始された。初飛行からちょうど1周年目にあたり、159秒間のフライトになった。

 インジェニュイティは約8メートル上空を南西へ192メートル移動し、1枚目を撮影。それから南西と北西へ向かいながら写真撮影を行い、10枚を撮影したのちに西に戻って着陸。飛行距離は360メートルだ。


 これまでの総飛行時間は49分を超え、総移動距離は6.28キロになる。

火星のを飛ぶインジェニュイティ

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 とは言え火星を地球人が汚してしまっていることに胸が痛むわけだが、こういった残骸はあとで処分されるのかな?そのまま放置されたままなのかな?

References:NASA Ingenuity Helicopter Spots Spacecraft Wreckage on Mars – Perseverance’s Cone-Shaped Backshell / written by hiroching / edited by / parumo

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