
45年前にアメリカの電波望遠鏡が宇宙から受信した「Wow! シグナル(ワオ信号)」は、天文学における未解決案件の1つである。
知的な地球外文明が放ったメッセージの可能性があるとして、さまざまな天文学者の興味をかき立ててきた。
その発生源はこれまで謎とされてきたが、ついに突き止められたかもしれない。それはいて座方向1800光年先にある太陽にそっくりな恒星であるそうだ。
科学者が思わず「ワオ!」とメモったWow! シグナル 1977年8月15日、オハイオ州にあるビッグイヤー電波望遠鏡で、狭い周波数に集中した強烈な信号がキャッチされた。信じられないほど強力だったが、わずか1分12秒で消えてしまった。
発見者のジェリー・R・エーマンは、驚きのあまりプリントアウトした表に「Wow!」とメモ。これにちなみ、この謎の信号は「Wow! シグナル」や「ワオ信号」と呼ばれるようになった。
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電波信号の発見者が驚いて「Wow!」と書き記したメモ / image credit:Big Ear Radio Observatory and North American Astrophysical Observatory
「Wow! シグナルは、これまで望遠鏡で検出された電波信号としては、最高の「SETI」候補と考えられています」と、アマチュア天文学者のアルベルト・カバレロ氏は語る。
「SETI」とは「地球外知的生命探査」に関するプロジェクトの総称で、その名の通り20世紀半ばから宇宙人からのメッセージに耳を傾け続けてきた。
Wow! シグナルを検出したエーマンもまた、水素原子が発する1420.4056メガヘルツの電磁波周波数帯のメッセージを探し、次のような考察を残している。
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いて座にある太陽によく似た恒星「2MASS 19281982-2640123」 / image credit: PanSTARRS/DR1その後Wow!シグナルは再度検出できず その後繰り返し捜索されたにもかかわらず、Wow! シグナルが再度検出されることはなかった。
カバレロ氏の考えでは、自然現象である可能性が高いというが、それでも地球外文明起源説が完全に否定されたわけではない。
というのも、1974年のアメリカ・プエルトリコにあるアレシボ電波望遠鏡の改装記念式典で、我々人類も1度だけのメッセージを宇宙に向けて発信したことがあるからだ。これは「アレシボ・メッセージ」と呼ばれている。
地球から宇宙に発信されたアレシボ・メッセージ
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Wow! シグナルもまた、地球外知的生命体が、これと同じような試みで送った可能性も否定できない。地球から1800光年離れた太陽に似た星から受信した可能性 Wow! シグナルが検出された夜、ビッグイヤー電波望遠鏡の受信器はいて座の方角に向いていた。
そこでカバレロ氏は、欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星ガイアが集めた星のデータから、発生源の候補を探してみることにした。
その結果、地球から1800光年離れた「2MASS 19281982-2640123」という天体が、Wow! シグナルの発生源として有力であることが明らかになった。
この星は温度・直径・高度が太陽とほとんど同じで、その詳細は『International Journal of Astrobiology』(2022年5月6日付)で発表されている。無数にある星から、対象を絞って地球外知的生命を探す意味 太陽とはまるで違う環境にも生命が存在する可能性はあるが、カバレロ氏は太陽に似た星を対象に捜索した。
その理由は、SETIが探しているのは、私たちが知る生命だからだという。また今回の結果を鑑みれば、ハビタブルゾーンの惑星や、地球外文明の痕跡を探してみるのも素晴らしいアイデアであるとのこと。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターでSETIについて研究する歴史家、レベッカ・シャルボノー氏は、「その価値は絶対にあります。私たちは面白そうなところに望遠鏡を向けたいわけですから」と、第三者の立場からコメントする。
彼女によれば、銀河には無数の星々があるのだから、どうにかして対象を絞る必要があるのだという。
その一方で、太陽のような星に限定するのは範囲を狭めすぎではないだろうか? ともシャルボノー氏は言う。
技術文明の姿やその利用法といった点について、我々人類はたった1つのデータしか持ち合わせていない。
すなわち我々は我々自身しか知らない以上、まるでタイプが異なる生命体や技術文明が存在する可能性を捨てるべきだはないということだ。
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Photo by mrallen
SETI(地球外知的生命体探査)という概念は、20世紀半ばに各国の軍隊が電磁波装置でメッセージを送信し始めてまもなく誕生した。
「人類史において、宇宙に知的シグナルを放ち始めたタイミングと、私たちが宇宙からやってくるシグナルを探すようになったタイミングが同じなのは偶然の一致ではないでしょう」と、シャルボノー氏は言う。
References:Famous 'alien' Wow! signal may have come from distant, sunlike star | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
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知的な地球外文明が放ったメッセージの可能性があるとして、さまざまな天文学者の興味をかき立ててきた。
その発生源はこれまで謎とされてきたが、ついに突き止められたかもしれない。それはいて座方向1800光年先にある太陽にそっくりな恒星であるそうだ。
科学者が思わず「ワオ!」とメモったWow! シグナル 1977年8月15日、オハイオ州にあるビッグイヤー電波望遠鏡で、狭い周波数に集中した強烈な信号がキャッチされた。信じられないほど強力だったが、わずか1分12秒で消えてしまった。
発見者のジェリー・R・エーマンは、驚きのあまりプリントアウトした表に「Wow!」とメモ。これにちなみ、この謎の信号は「Wow! シグナル」や「ワオ信号」と呼ばれるようになった。
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電波信号の発見者が驚いて「Wow!」と書き記したメモ / image credit:Big Ear Radio Observatory and North American Astrophysical Observatory
「Wow! シグナルは、これまで望遠鏡で検出された電波信号としては、最高の「SETI」候補と考えられています」と、アマチュア天文学者のアルベルト・カバレロ氏は語る。
「SETI」とは「地球外知的生命探査」に関するプロジェクトの総称で、その名の通り20世紀半ばから宇宙人からのメッセージに耳を傾け続けてきた。
Wow! シグナルを検出したエーマンもまた、水素原子が発する1420.4056メガヘルツの電磁波周波数帯のメッセージを探し、次のような考察を残している。
水素は宇宙でもっとも豊富な元素だ。ゆえに、自らの存在を知らしめたい天の川銀河のどこかにある知的文明は、中性水素線の周波数かそれに近い強力な狭域信号を発したとの推測は理に適っている
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いて座にある太陽によく似た恒星「2MASS 19281982-2640123」 / image credit: PanSTARRS/DR1その後Wow!シグナルは再度検出できず その後繰り返し捜索されたにもかかわらず、Wow! シグナルが再度検出されることはなかった。
カバレロ氏の考えでは、自然現象である可能性が高いというが、それでも地球外文明起源説が完全に否定されたわけではない。
というのも、1974年のアメリカ・プエルトリコにあるアレシボ電波望遠鏡の改装記念式典で、我々人類も1度だけのメッセージを宇宙に向けて発信したことがあるからだ。これは「アレシボ・メッセージ」と呼ばれている。
地球から宇宙に発信されたアレシボ・メッセージ
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Wow! シグナルもまた、地球外知的生命体が、これと同じような試みで送った可能性も否定できない。地球から1800光年離れた太陽に似た星から受信した可能性 Wow! シグナルが検出された夜、ビッグイヤー電波望遠鏡の受信器はいて座の方角に向いていた。
そこでカバレロ氏は、欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星ガイアが集めた星のデータから、発生源の候補を探してみることにした。
その結果、地球から1800光年離れた「2MASS 19281982-2640123」という天体が、Wow! シグナルの発生源として有力であることが明らかになった。
この星は温度・直径・高度が太陽とほとんど同じで、その詳細は『International Journal of Astrobiology』(2022年5月6日付)で発表されている。無数にある星から、対象を絞って地球外知的生命を探す意味 太陽とはまるで違う環境にも生命が存在する可能性はあるが、カバレロ氏は太陽に似た星を対象に捜索した。
その理由は、SETIが探しているのは、私たちが知る生命だからだという。また今回の結果を鑑みれば、ハビタブルゾーンの惑星や、地球外文明の痕跡を探してみるのも素晴らしいアイデアであるとのこと。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターでSETIについて研究する歴史家、レベッカ・シャルボノー氏は、「その価値は絶対にあります。私たちは面白そうなところに望遠鏡を向けたいわけですから」と、第三者の立場からコメントする。
彼女によれば、銀河には無数の星々があるのだから、どうにかして対象を絞る必要があるのだという。
その一方で、太陽のような星に限定するのは範囲を狭めすぎではないだろうか? ともシャルボノー氏は言う。
技術文明の姿やその利用法といった点について、我々人類はたった1つのデータしか持ち合わせていない。
すなわち我々は我々自身しか知らない以上、まるでタイプが異なる生命体や技術文明が存在する可能性を捨てるべきだはないということだ。
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SETI(地球外知的生命体探査)という概念は、20世紀半ばに各国の軍隊が電磁波装置でメッセージを送信し始めてまもなく誕生した。
「人類史において、宇宙に知的シグナルを放ち始めたタイミングと、私たちが宇宙からやってくるシグナルを探すようになったタイミングが同じなのは偶然の一致ではないでしょう」と、シャルボノー氏は言う。
References:Famous 'alien' Wow! signal may have come from distant, sunlike star | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
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