
反社会性パーソナリティ障害に該当する「サイコパス」は、冷酷・無慈悲・尊大・良心の欠如・罪悪感の薄さ・共感の欠如などの性格特性を持っている。
およそ1%の割合で存在するといわれているが、何が原因でサイコパスになるのかはまだはっきりとはわかっていない。
新たなる研究によると、サイコパスは一般人よりも脳の「線条体」という部分が大きいことが判明したそうだ。
他の発達障害と同じく、サイコパシー(精神病質)の背後でも、遺伝子と環境的な要因が複合的に絡みあっているだろうことが示唆されている。
そうした要因は脳における神経レベルでの違いなど、「生物学的な差異」となって現れている可能性がある。今回の研究は、そうした生物学的な差異の1つを発見したのかもしれない。
サイコパスは一般の人に比べ脳の線条体が大きい ペンシルベニア大学や南洋理工大学をはじめとする研究グループは、MRIで米国人の被験者120人の脳を検査、あわせてサイコパシーを診断する標準的なチェックリストで、被験者のサイコパス度を測った。
その結果、面接でサイコパス度が高いと診断された被験者の脳は、「線条体」が一般的な人より10%大きいことが明らかになった。
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赤色で示した部分が線条体 / image credit:generated by Life Science Databases(LSDB). / WIKI commons
それは彼らの特徴の1つである可能性はあるが、決してサイコパスが全て暴力的なわけではない。中には人を襲ったことなど一度もないサイコパスだって大勢いる。
むしろサイコパスの最も主だった特徴は「共感の欠如」だ。
彼らは人を操り利用するのが得意で、魅力的だ。金・権力・異性など、欲しいものがあれば危険を省みることなく衝動的に行動する。
線条体は、皮質下領域の一部だ。すなわち、意思決定・動機づけ・強化・報酬の認識など、各種認知機能の調整を司る領域の一部なのだ。
これまでの研究では、精神活性化しがちな傾向と線条体の活発さとの関係が指摘されている。そうした人は刺激欲しさにスリルある行動に出たり、衝動的な行動を起こしやすくなる可能性がある。
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photo by Pixabay
サイコパスは脳が正常に発達しなかった可能性 今回の研究は、大きな線条体とサイコパス的な傾向との関係を指摘した初めての報告だ。これは性別は関係なく、男女ともに当てはまる。
じつは子供が大人に成長するにつれて線条体は小さくなる。この事実とあわせて考えると、サイコパシー(精神病質)とは脳の発達の違いに起因する症状なのかもしれない。
線条体の大きさなど、生物学的な特徴は親から子へと遺伝するものだ。
今回の発見は、サイコパシーに関する神経発達学的な観点をさらに裏付けるものと、研究の共著者エイドリアン・レイン教授は声明で説明する。サイコパスの脳は、子供から思春期にかけて正常に発達しなかったのかもしれないそうだ。
この研究は『Journal of Psychiatric Research』(2022年3月6日付)に掲載された。
References:Scientists find key brain abnormality that may explain why some people are psychopaths / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2022・06・08)本文の誤字を訂正して再送します。
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およそ1%の割合で存在するといわれているが、何が原因でサイコパスになるのかはまだはっきりとはわかっていない。
新たなる研究によると、サイコパスは一般人よりも脳の「線条体」という部分が大きいことが判明したそうだ。
他の発達障害と同じく、サイコパシー(精神病質)の背後でも、遺伝子と環境的な要因が複合的に絡みあっているだろうことが示唆されている。
そうした要因は脳における神経レベルでの違いなど、「生物学的な差異」となって現れている可能性がある。今回の研究は、そうした生物学的な差異の1つを発見したのかもしれない。
サイコパスは一般の人に比べ脳の線条体が大きい ペンシルベニア大学や南洋理工大学をはじめとする研究グループは、MRIで米国人の被験者120人の脳を検査、あわせてサイコパシーを診断する標準的なチェックリストで、被験者のサイコパス度を測った。
その結果、面接でサイコパス度が高いと診断された被験者の脳は、「線条体」が一般的な人より10%大きいことが明らかになった。
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赤色で示した部分が線条体 / image credit:generated by Life Science Databases(LSDB). / WIKI commons
この結果は、サイコパシーのような反社会行動の基礎について理解を深める助けになるでしょう。研究に参加した、南洋理工大学のオリビア・チョイ助教授は語る。サイコパスの最も主だった特徴は「共感の欠如」 ドラマや映画に登場するサイコパスは、連続殺人鬼や独裁者のような暴力的な人物として描かれることが多い。
反社会的な人とそうでない人とには、社会環境的影響にくわえて、生物学的な違い、すなわち、脳領域の大きさの違いがあるということを考慮することが大切でしょう
それは彼らの特徴の1つである可能性はあるが、決してサイコパスが全て暴力的なわけではない。中には人を襲ったことなど一度もないサイコパスだって大勢いる。
むしろサイコパスの最も主だった特徴は「共感の欠如」だ。
そうした人は罪悪感や後悔(あるいは良心と呼ばれるもの)がないために、反社会的な行動に出る。
彼らは人を操り利用するのが得意で、魅力的だ。金・権力・異性など、欲しいものがあれば危険を省みることなく衝動的に行動する。
線条体は、皮質下領域の一部だ。すなわち、意思決定・動機づけ・強化・報酬の認識など、各種認知機能の調整を司る領域の一部なのだ。
これまでの研究では、精神活性化しがちな傾向と線条体の活発さとの関係が指摘されている。そうした人は刺激欲しさにスリルある行動に出たり、衝動的な行動を起こしやすくなる可能性がある。
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photo by Pixabay
サイコパスは脳が正常に発達しなかった可能性 今回の研究は、大きな線条体とサイコパス的な傾向との関係を指摘した初めての報告だ。これは性別は関係なく、男女ともに当てはまる。
じつは子供が大人に成長するにつれて線条体は小さくなる。この事実とあわせて考えると、サイコパシー(精神病質)とは脳の発達の違いに起因する症状なのかもしれない。
線条体の大きさなど、生物学的な特徴は親から子へと遺伝するものだ。
今回の発見は、サイコパシーに関する神経発達学的な観点をさらに裏付けるものと、研究の共著者エイドリアン・レイン教授は声明で説明する。サイコパスの脳は、子供から思春期にかけて正常に発達しなかったのかもしれないそうだ。
この研究は『Journal of Psychiatric Research』(2022年3月6日付)に掲載された。
References:Scientists find key brain abnormality that may explain why some people are psychopaths / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2022・06・08)本文の誤字を訂正して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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