
今から146年前のこと、アメリカ、ケンタッキー州バス郡ランキン近郊で、突然、肉の塊のようなものがいくつも空から降ってきた。
この”肉”は数分間に渡って降り、およそ91m×46mの範囲の地面に散乱したという。
この謎の現象は「ケンタッキー肉の雨事件」として多くのメディアで報じられた。
突然空から降って来た肉片、拾って食べる猛者も1876年3月3日の晴れた日に、肉の雨を目の当たりにしたというミセス・クラウチは、そのとき自宅の庭で石鹸を手作りしていた。
彼女は、それは雪のように空から降ってきたというが、雪ではなく肉だったというのが大きな違いだった。
翌日、ハリソン・ギルという男性が現場にやって来て、新鮮な肉のように見えるものがフェンスにひっかかっていたり、地面にもちらばっているのを見つけた。
それは赤身の肉がブロック状になっているもので、その大きさは約5cm角のものが多く、中には10cm角のものもあったという。
ありえないと思うだろう。気象現象を表わす言葉はたくさんあるが、「肉が降ってくる」などという表現はない。
この事件の目撃者の中には、よほど空腹だったのだろうと思われる者もいた。ふたりの男性が、空 から降ってきたこの肉を食べてみたのだ。そして、これは羊か鹿の肉だと言った。
肉の種類は?そしてなぜ、こんなことが起きたのか?いったいなぜ、こんなことが起こったのか?
その原因を推測してみると、天候によるもの、つまり軽い竜巻が発生したせいではないかとも考えられたが、その日は晴天だ。
この肉は、人間の味覚に頼るよりもう少し詳しい分析に回された。分析を行ったA・ミード・エドワーズは、馬の肺組織か、人間の幼児の肉だと断定した。
これを食べてしまったふたりの紳士は、大いに吐き気をもよおしたことだろう。
だが、ほかの分析者は、肉の正体は断定できないとした。肉には、肺組織だけでなく、軟骨や筋肉繊維も含まれていたのだ。
問題なのは、この肉が何の肉かではなく、それがどうして、晴れた日のケンタッキーの空から雨のように降り注いできたのかだ。
猛禽類が飲み込んだ肉を吐き出した説のちに論文を寄せたL・D・カステンバイン博士は、羊か鹿の肉だと言っていた男性の説を支持し、このように説明した。
この異様なシャワー現象について、唯一納得できそうな説明は、これだけだと思う。分析した肉のサンプルは、人間の幼児のものではなく、羊肉のようだ。
この付近を飛んでいたハゲタカなどの猛禽類が飲み込んだ肉を吐き出したものと思われる。上空高くからまき散らされたため、広範囲に散らばったのだろう。
筋肉、結合組織、脂肪など、さまざまな体の組織が見つかったことは、この推論でしか説明できない
ハゲタカは、獲物の肉を貪り食うが、翼はその重量を支えるのに十分ではない。
あくまでも仮説に過ぎないが、今のところこの説が一番しっくりくるようだ。
それにしても拾って食べた人は勇気ある行動に出たものだ。
人間の食に対する飽くなき好奇心が、「これ最初に食べた人すごい!」という見た目アウトだが食べるとおいしい食材の発見につながっているわけだが。
References:The Time It Rained Meat On A Clear Day In Kentucky, And People Immediately Ate It | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo