小学生のリュックに電光掲示板で通行車の速度表示。スクールゾーンで減速を促すプロジェクト
image credit:PoliceSPAL/twitter

 子どもの背中に大きく光る25のデジタル表示。実はこれ走行中の車のスピードを表す電光掲示板とリュックを一体化させたものなのだ。

 この試みは今月8日にカナダの警察が発表したプロジェクトの一環で、スクールゾーンを走るドライバーに減速をうながすのが目的だという。

 実際に通学する子どもが身に付けることで、車のスピードの出し過ぎで起こりうる痛ましい事故をよりリアルに自覚してもらう試みに反響が巻き起こっている。

カナダの市警が発表。スピード違反防止のプロジェクト 今月8日カナダのケベック州のロンゲール市警察(略称SPAL)が、スピード違反防止のプロジェクトの発表とともに電光掲示板付きのリュックを背負った子どもの写真を公開した。

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 この掲示板はレーダー式の速度感知器と連動しており、スクールゾーンを走る車のスピード(km/h)をドライバーや周囲が一目でわかるようでかでかと表示する。

 ちなみにカナダのスクールゾーンの制限速度は主に30km/h。地域によっては30~50km/hの幅があるそうだ。下の写真の40が緑でなく赤なのは速度超過を意味しているようだ。

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小学生が背負うスピード表示パネルでドライバーに減速をうながす LivingRadar(直訳:生きてるレーダー)と称されるこの取り組みのねらいは、安全意識が低いドライバーにスピードの出し過ぎが招く痛ましい事故の可能性をよりリアルに感じてもらうことだ。

 スピード表示パネル付きのリュックを背負った生徒がスクールゾーンを歩くことで、減速するドライバーが増え、子どもたちが事故に遭う恐れも減る。当局はその効果を期待している。

 なおこのプロジェクトの公式発表はロンゲール市警察が初だが、ケベック州ではすでにいくつかの都市で試験導入が行われている。

 最初に導入したラヴァル市警はその効果についてこのように述べている。
予防策として行ったところ、ドライバーの目を引き、自然な減速につながりました。スピード表示が運転中の注意を喚起して、その重要性を即座に想起させるのでしょう。
SPALの公式フェイスブックアカウントより

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スクールゾーンの速度違反は2倍の罰金や減点 ケベック州の道路安全法によると、スクールゾーンでのスピード違反の場合、2倍の罰金や減点を課されることになるという。

 スクールゾーンの区間は道路標識に表示されているが、標識がない区間にも制限があり9月~翌6月中の平日の午前7時~午後5時まではスクールゾーンとみなされる。

 違反の程度にもよるが、この間に違反したドライバーは最高で310カナダドル(32,00円)の罰金を科せられる恐れがある。複数の協力で実現したプロジェクトで安全意識の向上なるか SPALのプロジェクトはスクールゾーンを利用する子どもたちはもちろん、地元ロンゲール市の小学校や幼稚園、ラヴァル市からの機器貸し出しなどいくつもの協力により実現した。

ロンゲール市警察の公式ツイッターアカウントより  スピード違反を繰り返すドライバーの多くは、悲惨な事故のニュースを目にしても「でも自分は運転うまいし慣れてるから大丈夫」「これまでもヤバい事故は起こしてないから」「今日は急いでるし少しぐらいいいだろう」という考えの人が多いそうだ。

 交通事故のリスクがゼロのドライバーなどまずいない。誰もが明日は我が身の気持ちで慎重に運転するのが理想だが、この取り組みが安全意識の向上につながるといいね。

References:montreal / boingboingなど /written by D/ edited by parumo

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