
細菌は顕微鏡で拡大することで見えるもの、という概念が打ち砕かれるほどに巨大な細菌が発見された。その長さは1cm以上にもなる。
人間のまつげよりも長く、肉眼で見ることもできるこの新種の細菌は、カリブ海南部にある群島「グアドループ」のマングローブの沼で発見されたという。
肉眼でも見える巨大細菌が発見される ローレンス・バークレー国立研究所のジャン=マリー・ヴォーランド氏によれば、その大きさはほとんどの細菌の5000倍。人間に例えると富士山を越え、エベレストくらい。シン・ウルトラマン(60m)を遥かに超える高さだ。
その細菌はカリブ海小アンティル諸島に自生するアカマングローブの沼の水に沈んだ葉で見つかった。
『Science』(2022年6月23日付)に掲載された研究によれば、長さは1cm以上もある。
肉眼でも見える白い糸のような姿で、研究グループは最初細菌だとは思わなかったそうだ。
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10セント硬貨との比較。大きさも形も人間のまつ毛に似ている/ image credit:Tomas Tyml/The Regents of the University of California, LBNL
しかしその後の調査で、植物細胞でも動物細胞でもないことが判明。遺伝子を解析したところ、細菌であることが明らかになった。
硫黄(硫化水素)を酸化させる細菌の仲間で、近縁種もやはり大きい。
その大きさにちなみ、新種は「チオマルガリータ・マグニフィカ(Thiomargarita magnifica)」と命名された。
チオマルガリータ属の細菌で、マグニフィカはラテン語で「壮大」という意味だ。
まだ培養されておらず、その生態はほとんど謎に包まれている。だが、細菌でありながらこれほど大きくなることのメリットなど、興味は尽きない。
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カリブ海に自生するマングローブの、水に落ちた葉から発見された / image credit:Olivier Gros/The Regents of the University of California, LBNL複雑に進化した細菌の格好の事例 こうした巨大な細菌の存在は、細菌がなれる大きさの限界についての従来の常識をくつがえす。だがヴォーランド氏によれば、より驚きなのは、新種の内部構造が高度に組織化されていることであるそうだ。
普通の細菌のように遺伝物質が自由に動き回るようなことはなく、遺伝物質がパッケージのようなものに包まれているのだ。これは植物や動物のようなもっと複雑な細胞の構造だ。
だからといって、こうした細菌が単純な生命と複雑な生命をつなぐ”ミッシングリンク”であるなどと勘違いしないよう、ヴォーランド氏は注意をうながす。そうではなく、「より複雑に進化した細菌の格好の事例」なのだという。
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Thiomargarita magnifica – the largest bacteria ever foundもはや微生物と呼べるレベルではないもはや微生物ではない
一般に細菌は微生物に区分される。しかし今回の研究の解説では、もはやその名称はふさわしくないと述べられいる。
しかもほとんどの細菌は、まったく同じ2つの細胞に分裂するが、T. マグニフィカの場合、先端に小さな芽が発芽し、それが漂いまた別の個体に成長する。
普通の細菌の数千倍もあるので、大きさだけならその表面に細菌が付着してもおかしくはない。ところが、T. マグニフィカの表面に細菌は付着しておらず、抗生物質のようなものを分泌している可能性もあるという。
「まだ知られていない細菌の多様性には目を見張るものがある」と、研究グループのシャイレーシュ・デイト氏は話す。その研究はまだほんのさわり程度のもので、まだまだ面白い発見があるだろうとのことだ。
追記:(2022/06/27)本文を一部訂正して再送します。
References:The biggest bacteria ever discovered are the size of an eyelash : NPR / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
一般的な細菌は500分の1mm程度なので、約5000倍の大きさだ。
人間のまつげよりも長く、肉眼で見ることもできるこの新種の細菌は、カリブ海南部にある群島「グアドループ」のマングローブの沼で発見されたという。
肉眼でも見える巨大細菌が発見される ローレンス・バークレー国立研究所のジャン=マリー・ヴォーランド氏によれば、その大きさはほとんどの細菌の5000倍。人間に例えると富士山を越え、エベレストくらい。シン・ウルトラマン(60m)を遥かに超える高さだ。
その細菌はカリブ海小アンティル諸島に自生するアカマングローブの沼の水に沈んだ葉で見つかった。
『Science』(2022年6月23日付)に掲載された研究によれば、長さは1cm以上もある。
肉眼でも見える白い糸のような姿で、研究グループは最初細菌だとは思わなかったそうだ。
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10セント硬貨との比較。大きさも形も人間のまつ毛に似ている/ image credit:Tomas Tyml/The Regents of the University of California, LBNL
しかしその後の調査で、植物細胞でも動物細胞でもないことが判明。遺伝子を解析したところ、細菌であることが明らかになった。
硫黄(硫化水素)を酸化させる細菌の仲間で、近縁種もやはり大きい。
その大きさにちなみ、新種は「チオマルガリータ・マグニフィカ(Thiomargarita magnifica)」と命名された。
チオマルガリータ属の細菌で、マグニフィカはラテン語で「壮大」という意味だ。
まだ培養されておらず、その生態はほとんど謎に包まれている。だが、細菌でありながらこれほど大きくなることのメリットなど、興味は尽きない。
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カリブ海に自生するマングローブの、水に落ちた葉から発見された / image credit:Olivier Gros/The Regents of the University of California, LBNL複雑に進化した細菌の格好の事例 こうした巨大な細菌の存在は、細菌がなれる大きさの限界についての従来の常識をくつがえす。だがヴォーランド氏によれば、より驚きなのは、新種の内部構造が高度に組織化されていることであるそうだ。
普通の細菌のように遺伝物質が自由に動き回るようなことはなく、遺伝物質がパッケージのようなものに包まれているのだ。これは植物や動物のようなもっと複雑な細胞の構造だ。
だからといって、こうした細菌が単純な生命と複雑な生命をつなぐ”ミッシングリンク”であるなどと勘違いしないよう、ヴォーランド氏は注意をうながす。そうではなく、「より複雑に進化した細菌の格好の事例」なのだという。
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Thiomargarita magnifica – the largest bacteria ever foundもはや微生物と呼べるレベルではないもはや微生物ではない
一般に細菌は微生物に区分される。しかし今回の研究の解説では、もはやその名称はふさわしくないと述べられいる。
微細であるという微生物の定義に反するからだ。
しかもほとんどの細菌は、まったく同じ2つの細胞に分裂するが、T. マグニフィカの場合、先端に小さな芽が発芽し、それが漂いまた別の個体に成長する。
普通の細菌の数千倍もあるので、大きさだけならその表面に細菌が付着してもおかしくはない。ところが、T. マグニフィカの表面に細菌は付着しておらず、抗生物質のようなものを分泌している可能性もあるという。
「まだ知られていない細菌の多様性には目を見張るものがある」と、研究グループのシャイレーシュ・デイト氏は話す。その研究はまだほんのさわり程度のもので、まだまだ面白い発見があるだろうとのことだ。
追記:(2022/06/27)本文を一部訂正して再送します。
References:The biggest bacteria ever discovered are the size of an eyelash : NPR / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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