
古い時代には人々は呪いを本に託した。こうした呪いは、魔術書はもちろん、小説や百科事典、歴史書、詩集などの中にも潜んでいた。
世界に呪いの本と言われている物は無数にあるが、実際に効力を持っているとされる本を探すのは難しい。
本に盗難防止の抑止力を持たせたり、有力者たちがその本を庶民に読ませたくないから「呪いの本」とされているものも含まれているからだ。
だが、狂気、不幸、そして死をもたらしてきたとされる呪いの本は確かに存在する。
実際には、その本があるところで不幸が続くように思えたり、大げさに伝わっているだけなのかもしれないが、ここでは、狂気、不幸、死をもたらしてきたとされる代表的な4つの本を見ていこう。
1. ギガス写本
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ギガス写本の表紙/ image credit:Library of Congress , World Digital Library
写真:ギガス写本の表紙
呪いの威力がその本の大きさに匹敵するなら、この「ギガス写本(別名:悪魔の聖書)」は、これまで書かれたものの中でもっとも危険な本と言えるかもしれない。
高さ92センチ、幅50センチ、厚さ22センチ、重さが75キロにもなる800年前のこの大型本は、現存る世界最大の中世の写本と考えられている。
正確な起源はわからないが、1204年から1230年の間に、現在のチェコの一部だったボヘミア王国で書かれたものと、歴史家は考えている。
スウェーデン国立図書館によると、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世が1594年に自身のコレクションに加えるまでは(彼はのちに、ヴォイニッチ手稿も加えている)、少なくとも3つの修道院で所有されていたという。
1648年、三十年戦争のとき、スウェーデン軍が戦利品としてストックホルムに持ち帰り、1768年以降、現在に至るまでスウェーデンの国立図書館に所蔵されている。
多くの色彩本が複数の筆記者の手によって作られたのに対し、このギガス写本はたったひとりの筆記者が書いたとされている。
すべてラテン語で書かれていて、旧約・新約聖書、チェコやユダヤの歴史、幾何学、法律、娯楽情報百科、医学論文、たくさんの死亡記事、魔術の呪文、暦など、ありとあらゆるものが含まれている。
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ギガス写本に描かれている悪魔 / image credit:Per B. Adolphson / KB, Swedish National Library
この本が不吉だと言われるのは、複数のページにフルカラーの悪魔の姿が描かれていて、その由来にまつわる伝説が網羅されていることからだろう。
伝承によると、この本は隠遁者ヘルマンという修道士が手がけたもので、彼は誓いを破ったため、生きたまま修道院の壁に埋め込まれたという。
彼は自分を救うために、ある取引をした。たったひと晩で、世界のあらゆる知識を集めた本を書きあげれば、命は助かるというものだ。
だが、そんなことはとても不可能なのはわかっていたので、彼は自分の魂を悪魔に売り、本を書きあげるのを手伝ってもらった。
そして悪魔の肖像を署名代わりに、本を完成させた(サタンの手助けに感謝するためにイラストを入れたという説もある)。
ギガス写本にまつわる呪いの話はいくつかあるが、ベルゼブブとの共作とも言われているわりには、その内容はそれほど恐ろしいものではない。
1858年のある伝説では、ひとりの警備員が誤って国立図書館に一晩中閉じこめられてしまった後、施設送りになったという。
閉じ込められた翌朝、彼はテーブルの下に隠れているのを発見され、このギガス写本が、ほかの本と一緒に空中を舞っているのを見たと主張したからということだ。2. ソイガの書
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科学者、哲学者、数学者でもあったジョン・ディー(1527~1608) / image credit:public domain/wikimedia
ソイガの書、別名アルダライアの書は、1500年代にさかのぼるオカルト本だ。
16世紀に、数学、物理学、化学、天文学などの分野で活躍した著名な博識家ジョン・ディーがかつて所有していたことで、その名が知られている。
ディーは神秘学者でもあり、とくに天使と交信することに関心をもっていた。ソイガの書は、ディーにとって垂涎の書だったに違いない。
魔術の呪文や悪魔学や占星術に関することだけでなく、天使の名前やその系図も網羅されていたからだ。
ディーは、この本はアダムに最初に話しかけた言葉で書かれた古代の神のメッセージ、つまり真実で穢れのない神の言葉が書かれていると信じていたという。
さらに、何世紀もずっと解読されていない、36の暗号表が含まれている。
ディーは水晶占い師のエドワード・ケリーの助けをかりて、これを読み解こうとした。ケリーは、ディーは必ず天使の声を聞くことができると確信していた。
ケリーは自分の名前をケリーと言ったり、エドワード・タルボットと名乗ったりしていたが、偽札造りの罪で有罪になり、罰として耳を切り落とされたとも言われる。
天とのコミュニケーションの代償として、天使がひと晩だけ妻を交換したいと言っているとケリーから言われ、ディーはそれに同意。9ヶ月後、セオドア・ディーが生まれた。
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The Book of Soyga The Most Dangerous Book!
ケリーを仲介者として、ディーは大天使ウリエルを呼び出し、ソイガの書は本物なのかどうか訊いた。
ケリーを介してウリエルは、確かに本物だと答えたが、暗号表を解読することができるのは大天使ミカエルしかいないと言った。だが、ミカエルとはコミュニケートすることはできなかったようだ。
このやりとりが、ソイガの書が「呪いの本、殺しの書」と言われる所以なのかもしれない。
ディーは、ウリエルに対して、暗号化された文書を読んでしまったら、自分は2ヶ月か半年以内に死ぬと言われたと言ったが、ウリエルはあなたは100年以上生きるだろうと言ったという。
ソイガの書が呪いの本であるというのは、ネット上での情報で、本当に呪われているのか、それを証明するような禍の話はないようだ。
ディーは、1608年に81歳で死んだ。その後、ソイガの書は何度か持ち主が変わり、そのうち歴史の記録から消えてしまった。
時代は下って、それから300年以上たった1994年夏、研究者のデボラ・ハークネスが、「ジョン・ディーと天使との対話」という論文を完成させた。
オックスフォードのボードリアン図書館の目録を調べていたとき、偶然に『Aldaraia sive Soyga』という文献を見つけた。
ハークネスはすぐにその本を取り寄せ、ディーの学問の神髄を見つけた。これをきっかけに、初の小説『ディスカバリー・オブ・ウィッチス』を書き、それがベストセラー三部作になって、テレビ化もされた。
1998年、数学者のジム・リーズが、この謎の暗号表を解読した。ある文字のほかの文字との関連における頻度と位置に関するパターンをついに発見したのだ。
暗号表は、6文字の暗号それぞれに基づいていることがわかり、解読のための数式を割り出した。だが、その暗号の意味や、コミュニケートするために使われた暗号表のメッセージはなんなのかは、いまだにわかっていない。
呪いそのものは、どうやらたいしたことはないらしい。3. 術士アブラメリンの聖なる魔術の書 ホラーファンにはなじみがあるかもしれない。2016年の映画祭の目玉作品『A Dark Song』で重要な役割を果たした書物だ。
14世紀か15世紀にさかのぼるユダヤの魔術書だと考えられているが、その評判は19世紀から20世紀にかけて存在した秘密結社「黄金の夜明け団」を構成する魔術師たちに由来する。
この結社の創設者のひとり、S.L.M.メーザーズが、この書の1750年のフランス版から英語に翻訳し、1890年代に最初の本を出した。
作家でオカルト研究家のロン・ミロ・デュケットは、2006年版の序文で、メーザーズの翻訳が同業者たちに受け入れられ、『アブラメリンの書』は現代オカルティズムの主要なテキストとなり、アレイスター・クローリーの『魔術』に影響を与えたとされている。
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作家で魔術師のアレイスター・クローリー / image credit:public domain/wikimedia
『アブラメリンの書』の主眼は、魔術師が聖なる守護天使、基本的には天界のもうひとりの自分と交信することを目的とした、数ヶ月にわたる手の込んだ儀式だ。
魔術師が、"天使と親密で至福な関係を築ける"3日間の後になにが起こるかというところに問題があると、デュケットは書いている。
この蜜月が終わると、魔術師は"地獄の領域にいるあらゆる未浄化の霊"、つまりすべての地獄の悪魔を召集、征服しなくてはならないという。
その際に、天使が指導してくれるというのだが、それもかなり大変なことだろう。アブラメリンの書が悪魔と本と言われるのは、この世の悪霊を退治する方法を指南しているからかもしれない。
確かに、霊はこんな情報については黙っていることを好むだろうし、コピーを持っていること自体、危険なことだとも言われている。
天使や悪魔を呼び出すやり方のほかに、誰かをロバに変えたり、曲芸をするサルの霊を呼び出したり、霊にチーズを持って来させるよう指図できる呪文も含まれている。
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アブラメリンの書 / image credit:Amazon4. 大奥義書(魔術書グリモワール) 呪いの本にまつわる話は、偶然の一致や迷信で片付けられることもあるが、識字力や現状を脅かすような本から人々を遠ざけようという陰謀と結びついた奇妙な話もある。
イギリスのオカルト研究家アーサー・エドワード・ウェイトは、1898年に出版した『The Book of Black Magic and Pacts』の中で、『大奥義書』を"4つの正式な黒魔術の手引書"のひとつと位置づけている。
また、サタンの右腕、ルキフゲ・ロフォカレを呼び出すための詳細が書かれている。
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大奥義書に描かれたルキフゲ・ロフォカレの挿絵/ image credit:Internet Archive Book Images
歴史家のオーウェン・デーヴィスによると、『大奥義書』は1702年のものとされているが、世に登場したのは1750年である可能性が高い。
これはセンセーションを引き起こし、デーヴィスは自著の中で"初めての大衆向け魔術書"としている。
この本が、危険なもの、呪われた本と言われるようになったのは、その内容よりも人気が先行したせいかもしれない。
フランスでは、19世紀に行商人の呼び売りや書店で広く売られた呪文本のうちのひとつだった。教会関係者にとっては、こうした本が自分たちの権威を脅かすと怖れ、中傷する運動に乗り出して成果をあげた。
大衆は『大奥義書』を不吉なものとして見るようになり、コピーを持っているだけで危険だと考えるようになった。
References:8 (Supposedly) Cursed Book / written by konohazuku / edited by / parumo
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世界に呪いの本と言われている物は無数にあるが、実際に効力を持っているとされる本を探すのは難しい。
本に盗難防止の抑止力を持たせたり、有力者たちがその本を庶民に読ませたくないから「呪いの本」とされているものも含まれているからだ。
だが、狂気、不幸、そして死をもたらしてきたとされる呪いの本は確かに存在する。
実際には、その本があるところで不幸が続くように思えたり、大げさに伝わっているだけなのかもしれないが、ここでは、狂気、不幸、死をもたらしてきたとされる代表的な4つの本を見ていこう。
1. ギガス写本
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ギガス写本の表紙/ image credit:Library of Congress , World Digital Library
写真:ギガス写本の表紙
呪いの威力がその本の大きさに匹敵するなら、この「ギガス写本(別名:悪魔の聖書)」は、これまで書かれたものの中でもっとも危険な本と言えるかもしれない。
高さ92センチ、幅50センチ、厚さ22センチ、重さが75キロにもなる800年前のこの大型本は、現存る世界最大の中世の写本と考えられている。
正確な起源はわからないが、1204年から1230年の間に、現在のチェコの一部だったボヘミア王国で書かれたものと、歴史家は考えている。
スウェーデン国立図書館によると、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世が1594年に自身のコレクションに加えるまでは(彼はのちに、ヴォイニッチ手稿も加えている)、少なくとも3つの修道院で所有されていたという。
1648年、三十年戦争のとき、スウェーデン軍が戦利品としてストックホルムに持ち帰り、1768年以降、現在に至るまでスウェーデンの国立図書館に所蔵されている。
多くの色彩本が複数の筆記者の手によって作られたのに対し、このギガス写本はたったひとりの筆記者が書いたとされている。
すべてラテン語で書かれていて、旧約・新約聖書、チェコやユダヤの歴史、幾何学、法律、娯楽情報百科、医学論文、たくさんの死亡記事、魔術の呪文、暦など、ありとあらゆるものが含まれている。
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ギガス写本に描かれている悪魔 / image credit:Per B. Adolphson / KB, Swedish National Library
この本が不吉だと言われるのは、複数のページにフルカラーの悪魔の姿が描かれていて、その由来にまつわる伝説が網羅されていることからだろう。
伝承によると、この本は隠遁者ヘルマンという修道士が手がけたもので、彼は誓いを破ったため、生きたまま修道院の壁に埋め込まれたという。
彼は自分を救うために、ある取引をした。たったひと晩で、世界のあらゆる知識を集めた本を書きあげれば、命は助かるというものだ。
だが、そんなことはとても不可能なのはわかっていたので、彼は自分の魂を悪魔に売り、本を書きあげるのを手伝ってもらった。
そして悪魔の肖像を署名代わりに、本を完成させた(サタンの手助けに感謝するためにイラストを入れたという説もある)。
ギガス写本にまつわる呪いの話はいくつかあるが、ベルゼブブとの共作とも言われているわりには、その内容はそれほど恐ろしいものではない。
1858年のある伝説では、ひとりの警備員が誤って国立図書館に一晩中閉じこめられてしまった後、施設送りになったという。
閉じ込められた翌朝、彼はテーブルの下に隠れているのを発見され、このギガス写本が、ほかの本と一緒に空中を舞っているのを見たと主張したからということだ。2. ソイガの書
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科学者、哲学者、数学者でもあったジョン・ディー(1527~1608) / image credit:public domain/wikimedia
ソイガの書、別名アルダライアの書は、1500年代にさかのぼるオカルト本だ。
16世紀に、数学、物理学、化学、天文学などの分野で活躍した著名な博識家ジョン・ディーがかつて所有していたことで、その名が知られている。
ディーは神秘学者でもあり、とくに天使と交信することに関心をもっていた。ソイガの書は、ディーにとって垂涎の書だったに違いない。
魔術の呪文や悪魔学や占星術に関することだけでなく、天使の名前やその系図も網羅されていたからだ。
ディーは、この本はアダムに最初に話しかけた言葉で書かれた古代の神のメッセージ、つまり真実で穢れのない神の言葉が書かれていると信じていたという。
さらに、何世紀もずっと解読されていない、36の暗号表が含まれている。
ディーは水晶占い師のエドワード・ケリーの助けをかりて、これを読み解こうとした。ケリーは、ディーは必ず天使の声を聞くことができると確信していた。
ケリーは自分の名前をケリーと言ったり、エドワード・タルボットと名乗ったりしていたが、偽札造りの罪で有罪になり、罰として耳を切り落とされたとも言われる。
天とのコミュニケーションの代償として、天使がひと晩だけ妻を交換したいと言っているとケリーから言われ、ディーはそれに同意。9ヶ月後、セオドア・ディーが生まれた。
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ケリーを仲介者として、ディーは大天使ウリエルを呼び出し、ソイガの書は本物なのかどうか訊いた。
ケリーを介してウリエルは、確かに本物だと答えたが、暗号表を解読することができるのは大天使ミカエルしかいないと言った。だが、ミカエルとはコミュニケートすることはできなかったようだ。
このやりとりが、ソイガの書が「呪いの本、殺しの書」と言われる所以なのかもしれない。
ディーは、ウリエルに対して、暗号化された文書を読んでしまったら、自分は2ヶ月か半年以内に死ぬと言われたと言ったが、ウリエルはあなたは100年以上生きるだろうと言ったという。
ソイガの書が呪いの本であるというのは、ネット上での情報で、本当に呪われているのか、それを証明するような禍の話はないようだ。
ディーは、1608年に81歳で死んだ。その後、ソイガの書は何度か持ち主が変わり、そのうち歴史の記録から消えてしまった。
時代は下って、それから300年以上たった1994年夏、研究者のデボラ・ハークネスが、「ジョン・ディーと天使との対話」という論文を完成させた。
オックスフォードのボードリアン図書館の目録を調べていたとき、偶然に『Aldaraia sive Soyga』という文献を見つけた。
ハークネスはすぐにその本を取り寄せ、ディーの学問の神髄を見つけた。これをきっかけに、初の小説『ディスカバリー・オブ・ウィッチス』を書き、それがベストセラー三部作になって、テレビ化もされた。
1998年、数学者のジム・リーズが、この謎の暗号表を解読した。ある文字のほかの文字との関連における頻度と位置に関するパターンをついに発見したのだ。
暗号表は、6文字の暗号それぞれに基づいていることがわかり、解読のための数式を割り出した。だが、その暗号の意味や、コミュニケートするために使われた暗号表のメッセージはなんなのかは、いまだにわかっていない。
呪いそのものは、どうやらたいしたことはないらしい。3. 術士アブラメリンの聖なる魔術の書 ホラーファンにはなじみがあるかもしれない。2016年の映画祭の目玉作品『A Dark Song』で重要な役割を果たした書物だ。
14世紀か15世紀にさかのぼるユダヤの魔術書だと考えられているが、その評判は19世紀から20世紀にかけて存在した秘密結社「黄金の夜明け団」を構成する魔術師たちに由来する。
この結社の創設者のひとり、S.L.M.メーザーズが、この書の1750年のフランス版から英語に翻訳し、1890年代に最初の本を出した。
作家でオカルト研究家のロン・ミロ・デュケットは、2006年版の序文で、メーザーズの翻訳が同業者たちに受け入れられ、『アブラメリンの書』は現代オカルティズムの主要なテキストとなり、アレイスター・クローリーの『魔術』に影響を与えたとされている。
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作家で魔術師のアレイスター・クローリー / image credit:public domain/wikimedia
『アブラメリンの書』の主眼は、魔術師が聖なる守護天使、基本的には天界のもうひとりの自分と交信することを目的とした、数ヶ月にわたる手の込んだ儀式だ。
魔術師が、"天使と親密で至福な関係を築ける"3日間の後になにが起こるかというところに問題があると、デュケットは書いている。
この蜜月が終わると、魔術師は"地獄の領域にいるあらゆる未浄化の霊"、つまりすべての地獄の悪魔を召集、征服しなくてはならないという。
その際に、天使が指導してくれるというのだが、それもかなり大変なことだろう。アブラメリンの書が悪魔と本と言われるのは、この世の悪霊を退治する方法を指南しているからかもしれない。
確かに、霊はこんな情報については黙っていることを好むだろうし、コピーを持っていること自体、危険なことだとも言われている。
天使や悪魔を呼び出すやり方のほかに、誰かをロバに変えたり、曲芸をするサルの霊を呼び出したり、霊にチーズを持って来させるよう指図できる呪文も含まれている。
[画像を見る]
アブラメリンの書 / image credit:Amazon4. 大奥義書(魔術書グリモワール) 呪いの本にまつわる話は、偶然の一致や迷信で片付けられることもあるが、識字力や現状を脅かすような本から人々を遠ざけようという陰謀と結びついた奇妙な話もある。
イギリスのオカルト研究家アーサー・エドワード・ウェイトは、1898年に出版した『The Book of Black Magic and Pacts』の中で、『大奥義書』を"4つの正式な黒魔術の手引書"のひとつと位置づけている。
また、サタンの右腕、ルキフゲ・ロフォカレを呼び出すための詳細が書かれている。
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大奥義書に描かれたルキフゲ・ロフォカレの挿絵/ image credit:Internet Archive Book Images
歴史家のオーウェン・デーヴィスによると、『大奥義書』は1702年のものとされているが、世に登場したのは1750年である可能性が高い。
これはセンセーションを引き起こし、デーヴィスは自著の中で"初めての大衆向け魔術書"としている。
この本が、危険なもの、呪われた本と言われるようになったのは、その内容よりも人気が先行したせいかもしれない。
フランスでは、19世紀に行商人の呼び売りや書店で広く売られた呪文本のうちのひとつだった。教会関係者にとっては、こうした本が自分たちの権威を脅かすと怖れ、中傷する運動に乗り出して成果をあげた。
大衆は『大奥義書』を不吉なものとして見るようになり、コピーを持っているだけで危険だと考えるようになった。
References:8 (Supposedly) Cursed Book / written by konohazuku / edited by / parumo
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