コーラなどの炭酸飲料で火を消すことはできるのか?その安全性は?
 ネット上では定期的に話題になる「こすられネタ」がある。知っている人は「またかよ」なのだが、知らない人は「おお!」っとなるようなものが多い。


 今回再びSNSで話題となっていたのは2016年に投稿された「コーラを振って消火器代わりに使用して火を消す」という動画だ。

 消防士らしき人が、念入りに振ったコーラを燃え盛る炎にブシュッと吹きかけると、見事消えてしまうのだが、実際にこの方法は有効なのか?実際に消火に炭酸飲料を使っても安全なのか?

 今回は検証を踏まえながら見ていくことにしよう。

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Can coke extinguish a fire?炭酸飲料 VS 消火器 海外メディア『Punch』では、炭酸飲料で消火が本当に可能なのかどうかを検証している。

 まずは炭酸飲料と消火器の成分から検証してみよう。なお、ここではコカ・コーラについて述べたものだが、他の炭酸飲料も似たようなものだ。

 まずコーラといえば、あのシュワシュワとした涼しげな口当たりだろう。これは「炭酸水」によるものだ。炭酸水は9割が「水」だが、炭酸の部分は「二酸化炭素」である。

 甘さは「糖類(加糖ブドウ糖液糖・砂糖)」によるもの。ただしダイエットコーラのように、糖類の代わりに人工甘味料が入っている製品もある)

 コーラの独特の色合いは、「カラメル色素」に由来する。これはコカ・コーラのために開発された専用の色素で、さらコーラの酸味を生み出す「リン酸(酸味料)」や、ごくわずかな苦味を与える「カフェイン」も入っている。

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 一方、消火器の場合、用途によってさまざまなタイプがあり、それぞれ使用される化学物質が違う。


 一般的に家庭で使われる消火器は、「リン酸アンモニウム」「炭酸カリウム」「水」といった消化剤を、窒素や二酸化炭素の圧力で噴出するタイプだ。

 なお日本の場合、一番普及しているのは、炭酸ガスとリン酸アンモニウムを使った粉末消火器であるそうだ。

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炭酸飲料で消火できる場合もある。ただしその効果は水によるもの では実際にコーラで火を消すことは可能なのか?

 コーラなどの炭酸飲料には消火器と似たような成分が入っていることがわかる。「二酸化炭素」と「水」だ。

 二酸化炭素は不燃性ガスで火を窒息させることから、実際これを使った消火器が存在する。また水などは一番身近な消火手段だろう。

 結論を言えば、コーラで火を消すことは可能だ。炎にコーラを吹きかけたり、ボトルを投入したりすれば、火の程度によっては火を消すことができるという。

 実際、ライアソン大学のティモシー・スライ名誉教授が、オンラインQ&Aサイト『Quara』でコーラで消火できると回答している。

 ただし、その消火効果はほとんど「水」によるものであるそうだ。

 一方でコーラに含まれる二酸化炭素だが、ボトルを振って中の液体を吹き出させ、火に水をかけるくらいの役にしかたたないという。


 ならば、コーラの消火作用は、ただ水をかけるのと同等ということになる。

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Coca can extinguish fire絶対に炭酸飲料で消火してはいけない、専門家が警告 最後に注意しておくが、複数の専門家がコーラなどの炭酸飲料で消火しようなどとは絶対に思わないよう警告している。

 仮にコーラに多少の消火作用があるのだとしても、何本ボトルを用意すれば十分なのかわからない。また油や灯油などに火が燃え移ってしまった場合、コーラなど使えばかえって逆効果になりかねない。

 万が一失火してしまったら、事態は一刻を争う。直ちに消火器を使うか、濡れた毛布のようなものをかけるべきだ。

 特にキッチンでの火災の場合、一番多いのはコンロからの出火だ。

 この場合、濡れた毛布やタオルなどで火をおおえば、冷却作用と空気の遮断により消火することができるという。

 ということで、炭酸飲料で消火はできるかもしれないけど、逆効果になる場合もあるので、よい子のみんなは使用したらダメ!絶対だのNGライフハックだ。

References:FACT CHECK: Are Coca-Cola, Pepsi, other soft drinks potent in putting out fire? / written by hiroching / edited by / parumo

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