銃社会アメリカで開発された、生徒を銃から守るためのロッカー型シェルター
 アメリカでは銃乱射事件が止まらない。2022年は7月の前半までに少なくとも330件発生しており、そのうちの15件が4人以上の死者を出している。


 もはや学校は安全な場所ではなくなっており、ディストピアな様相を見せているが、とにかく生徒たちを守る対策が迫られている。

 そこで登場したのが、ロッカーのような型の屈強なシェルターだ。要塞化された箱に生徒を隠すことで弾丸から身を守らせることができるのだ。

 これを導入した学校では入学者が増えており、そのおかげでシェルターの導入コストも賄うことができているそうだ。

 

学校内で生徒を弾丸から守るシェルター 開発した「ナショナル・セイフティ・シェルターズ」社によると、このシェルターで銃弾と竜巻の両方から子供たちを守ることができるという。

 最大クラスの竜巻(EF5クラス)に耐える設計で、素材にはNIJ規格(米司法省が制定する防弾性能規格)でレベルIIIの鋼鉄が使用されている。だから、銃乱射事件でよく使われるAR-15やAK-47といった小銃の弾丸でも貫通することはない。

 その形状はロッカーや掃除用具入れのようだが、レイアウトや大きさは自由にカスタマイズすることができる。

 それなりに場所をとるかもしれないが、警備員や監視カメラと違い、一度導入してしまえば、維持費がほとんどかからないというメリットがある。

 なお利用料は、生徒1人につき月額7ドル前後(約970円)であるという。

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保護者からは圧倒的に好評 すでに実績もあり、米アーカンソー州クイットマンの学区では、2018年に同シェルターの導入が決定されている。

 クイットマン学区のデニス・トラクスラー教育長によると、保護者からの反応は「圧倒的に好評」であるそうで、シェルターの安全性に100%満足しているとプレスリリースで語っている。


 驚いたことに、シェルター導入以来、同学区への入学者が20%増加し、そのおかげでシェルター導入コストを十分賄えているのだという。

シェルターの内部構造

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子供たちを守る責任は誰が負うべきか? 銃が社会問題となっているアメリカだが、とりわけ学校の子供たちを銃の災禍から守る方法については論争の的だ。

 すでに2022年7月上旬現在でだけでもすでに330件もの銃乱射事件が発生している。

 5月末にはテキサス州ユバルディの小学校で、生徒19人と教師2人が死亡するという痛ましい事件が起きたばかりだ。

 アメリカでは銃乱射事件を予防する商品がブームになっているが、それらで尊い子供たちの命を完璧に守れるという保証はない。

 さらに、そもそもの問題として、子供たちの命を守る責任は学校側や保護者ではなく、政府が負うべきなのではないかとの声もある。

 確かに学校の安全を確保するのは最優先課題だろう。だが、根本的に解決しなければならない問題は他にあるような気がするのだが、アメリカの自由を象徴する銃に対する感覚は、他国の人にとっては理解しがたいものなのかもしれない。

References:Company Suggests Hiding Students in Fortified Boxes So School Shooters Can't Get Them / written by hiroching / edited by / parumo

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