一度見たら忘れられない、未知との遭遇的激レアのクラゲが発見され、その鮮明な姿が撮影される
image credit:Kavieng/facebook

 半透明な球形ボディに手書きみたいな輪っか模様。さらに触手は縞模様できっちり四つに分かれてるとは、クセの強いクラゲ界でも抜きんでておしゃれなタイプなのだろう。

 過去の目撃記録がほとんどなく、専門家もきわめて珍しいと目を見張るこのクラゲは、ハコクラゲ類に属する Chirodectes maculatus(キロデクテス・マクラツス)の1種とみられている。

 パプアニューギニアのダイバーが遭遇した激レアなクラゲの鮮明な映像を見てみよう。

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ダイバーが遭遇。レアなクラゲの貴重な映像 Chirodectes maculatus(キロデクテス・マクラツス)とみられるレアなクラゲの貴重な映像は、パプアニューギニアのダイビングショップKaviengのダイバーがFacebookでシェアしたもの。

 球形の傘部分に海中でもよく目立つ輪っか模様や線がある。一般的なクラゲと違い、縞模様の触手がていねいに分けて束ねた髪のように4つに分かれている。

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 半透明な傘の内部には、胃水管系らしき赤いものが見える。

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 サイズはサッカーボールより大きく。泳ぐスピードもかなり速かったそうだ。ハコクラゲ類のキロデクテス・マクラツスか 2021年に目撃されたこのクラゲについて、スミソニアン博物館所属の動物学者兼学芸員であるアレン・コリンズ博士は以下のように述べている。
この映像ではすべての特徴を把握ができませんが、私が観察した限りこの個体はChirodectes maculatus(キロデクテス・マクラツス)種にかなり一致しています。
 キロデクテス・マクラツスは、刺胞動物門箱虫綱ハコクラゲ類のネッタイアンドンクラゲ目ネッタイアンドンクラゲ科に分類される。

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image credit:Ernst Haeckelハコクラゲ,Public domain/Wikimedia Commons

 しかしこの種は前述したとおりのレア種のため、過去の記録が極端に少なく、参考になる目撃例もたった1つしかない。本当に幻のようなクラゲなのだ。

 今までで唯一の標本は、1997年にオーストラリアの海で捕獲した傘の長さが15センチほどの個体だったが、もとから繊細なクラゲは数時間しかもたなかった。

 その記録が初めて論文化されたのはそれから8年後の2005年だったが、研究チームは古い記録の分析に乗り気じゃなく、1997年当時の水中写真とその外観のみをイラストや記述で残しただけだという。

 おまけに分類も現在とは異なる。発表当時は別種になっていたが、後の再分類で現在のキロデクテス属に落ち着いた経緯がある。模様が異なる点も。キロデクテス属の仲間の可能性 そんな事情からコリンズ博士は特定に慎重で、今回の個体と過去のイラストの間に一部異なる点があると述べている。

 実はかつての標本には斑点があった。それでラテン語の「斑点」を意味するマクラツス(maculatus)と命名されたのだが、今回の動画の個体の模様はどう見ても「輪」だ。

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image credit: CORNELIUS, P.F.S., FENNER, P.J., & HORE, R. 2005 / MEMOIRS OF THE QUEENSLAND MUSEUM.

 模様の違いは成長に伴う変化かもしれない。そのため100%同種とは断定しかねるのだが、逆にいえば気になるのはそこだけで、キロデクテス属の可能性は依然として高いという。

 てことはキロデクテス属の柄違いとか新種の可能性もあったりするのか?レアな個体の動画記録で専門家も興味津々 とまあレア過ぎて特定も難しい個体だが、2例目となる久々の記録が願ってもない動画と知りコリンズ博士も興味津々だ。
こんなに大きくてよく目立つクラゲの目撃例がたった2つなんてことがあるのでしょうか?多様性の大半は珍しいものばかりですが、我々にはまだまだ探るべき謎があるのだとつくづく実感しました
 コリンズ博士の言う通り、このビジュアルで人の目に留まらないなんてとても不思議だ。もしや成長するとまったく違う見た目になるとか?すごく小さくなるとか寿命が短いとか?

 12年クラゲを研究するユーザーも初めて見るとか  もっとたくさん見つかればその謎も解けるかも。ちなみにハコクラゲ類は一般に強毒性なため、この種も強い毒があると考えられている。万一見かけても決して触れないようにだよ。

References:vice / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo

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