
もしも人類の祖先が、恐ろしい形状のクリーチャーだったとしたら、あなたは自分の体に流れる血を呪わずにいられるだろうか?
この古代生物は、中国陝西省のカンブリア紀(約5億4000万年前)の地層で見つかった古代生物で、「サッコリタス」という。
1mm程度の小さな体だが、凶悪な形相でこちらを睨みつけてくるその姿はまさにモンスター。
これまで、進化の系統樹上、人類に近いとされてきたサッコリタスだが、『Nature』(2022年8月17日付)に掲載された新たな研究によれば、我々とは無関係であることが判明したそうだ。
これまで人類に近い存在とされていた「サッコリタス」 絶滅生物「サッコリタス」が我々人類と関係すると考えられたのは、恐ろしげに開けた口のまわりに小さな穴が見つかったせいだ。
これらがエラと解釈され、これを根拠に「後口動物」(胚発生の過程で、肛門の後に口が形成される動物)に分類された。
念のために言っておくと、我々人間は「後口動物」の一員だ。このグループには、ヒトデや一部の環状動物のほか、あらゆる脊椎動物が含まれる。
肛門がないクリーチャーが我々の仲間だとはにわかに信じられないだろうが、口のまわりの穴が本当にエラならば、その強力な証拠になる。
同じ後口動物に分類されるからといって、必ずしもサッコリタスが人類の直接の祖先というわけではないにせよ、強い関係があると考えられていた。
しかもサッコリタスはこれまで発見された最古の後口動物なのだから尚更だ。
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さっこりたすの3Dデジタルモデル/Image Credit: NIGPAS人間と同じ後口動物ではなかった 英ブリストル大学のエミリー・カーライル博士は、「化石の解釈はときにとても難しいもので、サッコリタスも例外ではありません。その化石を分析するにはシンクロトロン(粒子加速器の一種)が必要でした」と語る。
カーライル博士らは、シンクロトロンの強力なX線で撮影された画像をもとに、化石の3Dモデルを構築。
これをつぶさに観察してみると、穴のようなものは実際には塞がっており、エラではなく折れたトゲの基部であることが確かめられたという。
このトゲは捕食や外敵から身を守るためのものだと考えられている。
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シンクロトロンのX線で撮影されたサッコリタスの化石/Image credit: Shuhai Xiao
こうした観察で判明した特徴に基づくと、サッコリタスは後口動物ではなく、「前口動物」(先に口が形成される動物)に分類されるという。より具体的には「脱皮動物」だと考えられている。すなわち昆虫・甲殻類・線虫などの仲間ということだ。
ヴァージニア工科大学のシャオ・シュハイ教授は、「2つ目の口を持つ最古の動物を探していますが、これで振り出しに戻ってしまいました」と語る。
サッコリタスの次に古いとされる化石は2000万年近くも後の時代のものなのだそうだ。
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これまでサッコリタスは「後口動物(Deuterostomia)」に分類されていたが、今回「脱皮動物 (Ecdysozoa)」に分類され直された/Image Credit: NIGPAS肛門がないのに食べたものはどこから出るのか? 一方、今回の調査でも、やはり肛門は見つかっていない。
サッコリタスが排泄物を一生体内に溜めていたとは考えにくいので、食べたものは食べたところから出された可能性が高い。要は飲み過ぎた人間がよくやる、口から出すやつだ。
このような話を聞くと、サッコリタスは肛門という素晴らしい発明の恩恵にあずかれなかった、気の毒な生き物であるようにも思える。
シャオ教授は次のように語る。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
この古代生物は、中国陝西省のカンブリア紀(約5億4000万年前)の地層で見つかった古代生物で、「サッコリタス」という。
1mm程度の小さな体だが、凶悪な形相でこちらを睨みつけてくるその姿はまさにモンスター。
しかも、「肛門」がないという不思議な構造までしている。
これまで、進化の系統樹上、人類に近いとされてきたサッコリタスだが、『Nature』(2022年8月17日付)に掲載された新たな研究によれば、我々とは無関係であることが判明したそうだ。
これまで人類に近い存在とされていた「サッコリタス」 絶滅生物「サッコリタス」が我々人類と関係すると考えられたのは、恐ろしげに開けた口のまわりに小さな穴が見つかったせいだ。
これらがエラと解釈され、これを根拠に「後口動物」(胚発生の過程で、肛門の後に口が形成される動物)に分類された。
念のために言っておくと、我々人間は「後口動物」の一員だ。このグループには、ヒトデや一部の環状動物のほか、あらゆる脊椎動物が含まれる。
肛門がないクリーチャーが我々の仲間だとはにわかに信じられないだろうが、口のまわりの穴が本当にエラならば、その強力な証拠になる。
同じ後口動物に分類されるからといって、必ずしもサッコリタスが人類の直接の祖先というわけではないにせよ、強い関係があると考えられていた。
しかもサッコリタスはこれまで発見された最古の後口動物なのだから尚更だ。
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さっこりたすの3Dデジタルモデル/Image Credit: NIGPAS人間と同じ後口動物ではなかった 英ブリストル大学のエミリー・カーライル博士は、「化石の解釈はときにとても難しいもので、サッコリタスも例外ではありません。その化石を分析するにはシンクロトロン(粒子加速器の一種)が必要でした」と語る。
カーライル博士らは、シンクロトロンの強力なX線で撮影された画像をもとに、化石の3Dモデルを構築。
これをつぶさに観察してみると、穴のようなものは実際には塞がっており、エラではなく折れたトゲの基部であることが確かめられたという。
このトゲは捕食や外敵から身を守るためのものだと考えられている。
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シンクロトロンのX線で撮影されたサッコリタスの化石/Image credit: Shuhai Xiao
こうした観察で判明した特徴に基づくと、サッコリタスは後口動物ではなく、「前口動物」(先に口が形成される動物)に分類されるという。より具体的には「脱皮動物」だと考えられている。すなわち昆虫・甲殻類・線虫などの仲間ということだ。
ヴァージニア工科大学のシャオ・シュハイ教授は、「2つ目の口を持つ最古の動物を探していますが、これで振り出しに戻ってしまいました」と語る。
サッコリタスの次に古いとされる化石は2000万年近くも後の時代のものなのだそうだ。
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これまでサッコリタスは「後口動物(Deuterostomia)」に分類されていたが、今回「脱皮動物 (Ecdysozoa)」に分類され直された/Image Credit: NIGPAS肛門がないのに食べたものはどこから出るのか? 一方、今回の調査でも、やはり肛門は見つかっていない。
サッコリタスが排泄物を一生体内に溜めていたとは考えにくいので、食べたものは食べたところから出された可能性が高い。要は飲み過ぎた人間がよくやる、口から出すやつだ。
このような話を聞くと、サッコリタスは肛門という素晴らしい発明の恩恵にあずかれなかった、気の毒な生き物であるようにも思える。
シャオ教授は次のように語る。
節足動物は口から肛門まで伸びる腸を持っているので、予想外の結果です。References:Geosciences’ Shuhai Xiao part of internationa | EurekAlert! / Saccorhytus is an early ecdysozoan and not the earliest deuterostome | Nature / written by hiroching / edited by / parumo
サッコリタスがこのグループに属しているということは、進化に逆行して、祖先からせっかく受け継いだ肛門を捨ててしまったようなのです
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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