
image credit:mage credit: John Sparks and David Gruber
自然界に存在する光る生き物(生物発光)には目がない私だが、とてつもなくレアな魚が北極圏で発見された。
グリーンランド沖の氷山を掘削していた科学者が、緑と赤に光る魚を発見したのだ。
この魚は「Liparis gibbus」というクサウオ属の仲間で、「不凍化タンパク質の遺伝子が最高レベルで発現した魚」であるという。
極寒の海でも凍らない魚 寒冷地では車でも不凍液でエンジンの凍結を防ぐが、生き物の中にも同じような手段で寒さから身を守るものがいるのである。
アメリカ自然史博物館のデビッド・グルーバー氏は、「不凍化タンパク質が氷の結晶にくっつくことで、それ以上大きく成長することを防ぎ、危害が及ばないようにします」と説明する。
一部のは虫類や昆虫とは違い、魚は体液が凍ってしまえば死んでしまう。細胞の中に氷の粒子が形成され、要はアイスキャンディーになってしまうからだ。
驚くべきは、不凍化タンパク質が北極と南極でそれぞれ独自に進化していることだ。
研究グループのジョン・スパークス氏は、「さまざまな不凍化タンパク質が、それほど近いわけでもないさまざまな魚で、独自に進化しました。この事実は、極限環境の生き物にとって、不凍化タンパク質がどれほど大切なものなのか示しています」と説明する。
北極で発見されたクサウオ属の仲間「Variegated snailfish(Liparis gibbus)」も、他の凍らない魚と同じように血液の中に不凍化タンパク質を分泌する。
しかしそれを作り出す遺伝子の発現レベルが、上位1%に入るほど極端なのだ。
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白色光で撮影されたクサウオの稚魚/Image credit: John Sparks and David Gruber赤と青に光る!極地では珍しい生体発光 このオタマジャクシのような魚は2019年、世界的な科学調査探検「Constantine S. Niarchos Expedition」の最中に発見された。
グリーンランド沖の氷だらけの生息地で、緑と赤に光るクサウオの仲間を見つけた科学者は当惑したという。生物発光しているからだ。
生物発光は、生物が光を生成し放射する現象で、化学的エネルギーを光エネルギーに変換する化学反応の結果として発生する。
グルーバー氏はこう語る。
だがクサウオが生きているのは、冬になれば長い暗闇に閉ざされる北極圏だ。ここでこうした適応を示す魚が発見されたのは初であるそうだ。
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Exploring Greenland's Icy Watersこのまま気候変動が進むとどうなる? 大量の不凍化タンパク質は、氷点下の海で生きるには欠かせないものだ。しかし、それは気候変動による温暖化が進む世界に、この魚がどう対応するのかという疑問も突きつける。
スパークス氏は、不凍化タンパク質がクサウオに不利に働くのではないかと考えている。
この研究は学術誌『Evolutionary Bioinformatics』(2022年8月16日付)に掲載された。
References:First Biofluorescent Fish Found in the Arctic | AMNH / written by hiroching / edited by / parumo
追記:(2022/08/25)タイトルを一部訂正して再送します。
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自然界に存在する光る生き物(生物発光)には目がない私だが、とてつもなくレアな魚が北極圏で発見された。
グリーンランド沖の氷山を掘削していた科学者が、緑と赤に光る魚を発見したのだ。
光るだけでなく、極寒の海の中でも凍らないのである。
この魚は「Liparis gibbus」というクサウオ属の仲間で、「不凍化タンパク質の遺伝子が最高レベルで発現した魚」であるという。
極寒の海でも凍らない魚 寒冷地では車でも不凍液でエンジンの凍結を防ぐが、生き物の中にも同じような手段で寒さから身を守るものがいるのである。
アメリカ自然史博物館のデビッド・グルーバー氏は、「不凍化タンパク質が氷の結晶にくっつくことで、それ以上大きく成長することを防ぎ、危害が及ばないようにします」と説明する。
一部のは虫類や昆虫とは違い、魚は体液が凍ってしまえば死んでしまう。細胞の中に氷の粒子が形成され、要はアイスキャンディーになってしまうからだ。
驚くべきは、不凍化タンパク質が北極と南極でそれぞれ独自に進化していることだ。
研究グループのジョン・スパークス氏は、「さまざまな不凍化タンパク質が、それほど近いわけでもないさまざまな魚で、独自に進化しました。この事実は、極限環境の生き物にとって、不凍化タンパク質がどれほど大切なものなのか示しています」と説明する。
北極で発見されたクサウオ属の仲間「Variegated snailfish(Liparis gibbus)」も、他の凍らない魚と同じように血液の中に不凍化タンパク質を分泌する。
しかしそれを作り出す遺伝子の発現レベルが、上位1%に入るほど極端なのだ。
[画像を見る]
白色光で撮影されたクサウオの稚魚/Image credit: John Sparks and David Gruber赤と青に光る!極地では珍しい生体発光 このオタマジャクシのような魚は2019年、世界的な科学調査探検「Constantine S. Niarchos Expedition」の最中に発見された。
グリーンランド沖の氷だらけの生息地で、緑と赤に光るクサウオの仲間を見つけた科学者は当惑したという。生物発光しているからだ。
生物発光は、生物が光を生成し放射する現象で、化学的エネルギーを光エネルギーに変換する化学反応の結果として発生する。
グルーバー氏はこう語る。
クサウオは氷山の隙間に生息する数少ない魚の一種ですが、こんな小さな魚が、極寒の環境で凍らずに生きていることに驚きました、しかも極地では生体発光する魚自体が珍しいのです発見されたクサウオは緑と赤の2種類の光を放つ。それは青い光を緑・赤・黄色の光に変換する能力で、熱帯の海ではよく知られている。
だがクサウオが生きているのは、冬になれば長い暗闇に閉ざされる北極圏だ。ここでこうした適応を示す魚が発見されたのは初であるそうだ。
[動画を見る]
Exploring Greenland's Icy Watersこのまま気候変動が進むとどうなる? 大量の不凍化タンパク質は、氷点下の海で生きるには欠かせないものだ。しかし、それは気候変動による温暖化が進む世界に、この魚がどう対応するのかという疑問も突きつける。
スパークス氏は、不凍化タンパク質がクサウオに不利に働くのではないかと考えている。
北極では急速に海水温が上昇しています。将来的に海が十分に温かくなったら、このタンパク質がクサウオにとってメリットでなくなる可能性もあるということだ。こうした冷たい海に適応した種は、生息域を北へと広げつつある暖かい海の種と競争せねばならなくなるでしょう。
暖かい海の種は、代謝上の負荷が高い不凍化タンパク質を作る必要がありません
この研究は学術誌『Evolutionary Bioinformatics』(2022年8月16日付)に掲載された。
References:First Biofluorescent Fish Found in the Arctic | AMNH / written by hiroching / edited by / parumo
追記:(2022/08/25)タイトルを一部訂正して再送します。
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