
かつて海を支配したとされる史上最大級の捕食者「メガロトン」だが、実際のところ、真の姿や大きさは不明確だ。サメの骨は軟骨なので化石になりにくく、残された歯などの断片的な遺骸しか残されていないからだ。
だが新たな研究で、メガロドンの脊柱と現代を生きるホホジロザメをもとに、メガロドンの3Dモデルが作成され、緻密な分析が行われた。
その結果、全長16メートル、体重61トン。秒速1.4メートルで泳ぎ、1日9万8000キロカロリーの消費エネルギーを賄うために、胃袋は1万リットルもの大きさだったことがわかったという。
このモデルによれば、メガロドンはどんなサメより速く長距離を泳ぎ、8メートルもの巨大なシャチサイズの獲物を数口で食べつくすことができた驚異的捕食者だったことがわかるという。
化石とホホジロザメをもとにメガロドンの3Dモデルを構築 メガロドンの3Dモデルは、チューリッヒ大学をはじめとするグループが、唯一保存状態が良いメガロドンの脊柱(せきちゅう)と歯の化石、ホホジロザメを使って構築し、『Science Advances』(2022年8月17日付)で発表したものだ。
脊椎の化石は1860年代に発見されたもの。今から1800万年前(中新世)、現在のベルギーにあたる海で約46歳で死んだメガロドンは、奇跡的にも脊椎のかなりの部分を今に残してくれた。
サメの体は軟骨でできている。だから歯を除けば、化石になることは滅多にない。ゆえにベルギー王立自然科学研究所が所蔵するこの脊椎の化石は、唯一無二の標本だ。
3Dモデル作成にあたっては、まず貴重な脊椎の一つ一つをスキャンし、これをもとに脊椎全体を再構築。
さらに米国で採取されたメガロドンの歯列の化石の3Dスキャンデータが組み合わされた。
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image credit: Science Advances
その結果、このモデルは全長16メートル、体重61トン、秒速1.4メートルで泳ぎ、胃袋は1万リットルもの大きさだったことが判明した。
イギリス王立獣医学校のジョン・ハッチンソン教授は、
メガロドンの採食モデルからは、体長8メートル、体重約3トンから4トンのシャチサイズのの獲物を数口で食べつくし、1頭食べれば2ヶ月間何も食べずに数千キロを泳げただろうことが示唆されている。
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チューリッヒ大学のカタリーナ・ピミエント教授は、「こうした結果は、メガロドンが海を横断して行動する超頂点捕食者だったことを示しています」と説明する。
それほどの存在だったのだから、メガロドンが絶滅した後は、世界の海の栄養の流れにも影響があり、大型のクジラは強い捕食圧から解放されたと考えられるそうだ。
今回の3Dモデルは今後の研究の基礎になってくれるという。
約2300万年前から360万年前に生きたとされるメガロドンが海洋生態系で果たしていた役割や、その絶滅による広範な影響など、この超捕食動物についての理解を飛躍的に高めてくれるとのことだ。
References:The extinct shark Otodus megalodon was a transoceanic superpredator: Inferences from 3D modeling | Science Advances / New 3D model shows: Megalodon could eat prey the size of entire killer whales / written by hiroching / edited by / parumo
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だが新たな研究で、メガロドンの脊柱と現代を生きるホホジロザメをもとに、メガロドンの3Dモデルが作成され、緻密な分析が行われた。
その結果、全長16メートル、体重61トン。秒速1.4メートルで泳ぎ、1日9万8000キロカロリーの消費エネルギーを賄うために、胃袋は1万リットルもの大きさだったことがわかったという。
このモデルによれば、メガロドンはどんなサメより速く長距離を泳ぎ、8メートルもの巨大なシャチサイズの獲物を数口で食べつくすことができた驚異的捕食者だったことがわかるという。
化石とホホジロザメをもとにメガロドンの3Dモデルを構築 メガロドンの3Dモデルは、チューリッヒ大学をはじめとするグループが、唯一保存状態が良いメガロドンの脊柱(せきちゅう)と歯の化石、ホホジロザメを使って構築し、『Science Advances』(2022年8月17日付)で発表したものだ。
脊椎の化石は1860年代に発見されたもの。今から1800万年前(中新世)、現在のベルギーにあたる海で約46歳で死んだメガロドンは、奇跡的にも脊椎のかなりの部分を今に残してくれた。
サメの体は軟骨でできている。だから歯を除けば、化石になることは滅多にない。ゆえにベルギー王立自然科学研究所が所蔵するこの脊椎の化石は、唯一無二の標本だ。
3Dモデル作成にあたっては、まず貴重な脊椎の一つ一つをスキャンし、これをもとに脊椎全体を再構築。
さらに米国で採取されたメガロドンの歯列の化石の3Dスキャンデータが組み合わされた。
こうしてできた骨格モデルに、南アフリカに生息するホホジロザメの頭部の軟骨の3Dスキャンを参考にして、肉をもりつけて完成だ。
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image credit: Science Advances
その結果、このモデルは全長16メートル、体重61トン、秒速1.4メートルで泳ぎ、胃袋は1万リットルもの大きさだったことが判明した。
イギリス王立獣医学校のジョン・ハッチンソン教授は、
体重は動物のもっとも重要な特徴の1つです。すでに絶滅した動物でも、最新の3Dデジタルモデリング法で体重を推定し、それとの関係から移動速度や消費エネルギーといった生物学的特性を導き出すことができますと述べる。海の絶対的な超頂点捕食者だった メガロドンの噛み跡が残された化石から推測すると、このサメはカロリーたっぷりのクジラの脂肪を食べて、生きるために必要な大量のエネルギーを補給していたと考えられる。
メガロドンの採食モデルからは、体長8メートル、体重約3トンから4トンのシャチサイズのの獲物を数口で食べつくし、1頭食べれば2ヶ月間何も食べずに数千キロを泳げただろうことが示唆されている。
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チューリッヒ大学のカタリーナ・ピミエント教授は、「こうした結果は、メガロドンが海を横断して行動する超頂点捕食者だったことを示しています」と説明する。
それほどの存在だったのだから、メガロドンが絶滅した後は、世界の海の栄養の流れにも影響があり、大型のクジラは強い捕食圧から解放されたと考えられるそうだ。
今回の3Dモデルは今後の研究の基礎になってくれるという。
約2300万年前から360万年前に生きたとされるメガロドンが海洋生態系で果たしていた役割や、その絶滅による広範な影響など、この超捕食動物についての理解を飛躍的に高めてくれるとのことだ。
References:The extinct shark Otodus megalodon was a transoceanic superpredator: Inferences from 3D modeling | Science Advances / New 3D model shows: Megalodon could eat prey the size of entire killer whales / written by hiroching / edited by / parumo
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