
血のつながっていない者が偶然によく似ていることを「他人の空似」というが、実際に会ったら、他人とは思えないかもしれない。
まったく無関係なそっくりさんたちを集めて、その遺伝子を解析したところ、赤の他人のはずなのに、遺伝的に似ていることがわかったそうだ。
顔の類似と遺伝的変異の類似とに関係があることを示唆するこの結果は、学術誌『Cell Reports』(2022年8月23日付)で発表された。
自分にそっくりな人は、共通した遺伝子型を持っているという。
赤の他人なのにそっくりな人のDNAを調査 ネットでは時折、赤の他人のはずなのに、双子かと見紛うほどのそっくりさんが見つかって話題になることがある。
スペイン、ホセップ・カレーラス白血病研究所のマネル・エステジェル氏ら研究チームは、そっくりさんたちの分子レベルの類似性を調べてみることにした。
そこで協力を仰いだのが、カナダのアーティスト、フランソワ・ブリュネル氏だ。ブリュネル氏は1999年以降、世界中のそっくりさんを探し、撮影して写真集を作った人物で、そのコレクションから32組が選ばれた。
研究ではまず、そっくりさんペアのそっくり度を、3種の顔認証アルゴリズムで評価。
さらにそっくりさんたちの唾液からDNAを採取し、体の特徴やライフスタイル等に関するアンケートにも回答してもらった。
[画像を見る]
研究にに協力したそっくりさんたち / image credit:Joshi et al ., doi: 10.1016/j.celrep.2022.111257.顔だけでなく遺伝子レベルでもそっくりなことが判明 これらのデータを分析したところ、そっくりさんたちは、DNAメチル化(DNA中の塩基の炭素原子にメチル基修飾が付加される化学反応)や腸内細菌叢の構成は違っていたが、遺伝子型がよく似ていることが明らかになった。
例えば、そっくりさんペアの半数は、3種すべての顔認証アルゴリズムによって”生写し”と判定された。その16組中の9組は、3730個の遺伝子に共通する一塩基多型を1万9277個持っていたのだ。
また体重や身長といった身体の特徴や、喫煙や学歴といった行動に関係する特徴も似ていることがわかっている。
こうした結果から、共通する遺伝子変異は外見だけでなく、習慣や行動にも影響しているらしいと推測されている。
[画像を見る]
顔写真からゲノムの手がかりを得られる日がくるかも エステジェル氏は、人間の顔の類似性について珍しい洞察が得られたと語る。
ただし今回の研究は、参加者が少ない上に、ほとんどがヨーロッパ人で、また二次元のモノクロ写真による調査だったという制限もある。
それでもこうした知見は、将来的に生物医学・進化学・法医学など、さまざまな分野で応用が期待される分子的な基礎になる可能性があるとのことだ。
例えば、DNAから犯罪者の顔の再現を試みるような法医学では、顔写真を見るだけで、その人のゲノムについて手がかりが得られるようになる日がくるかもしれないそうだ。
というか、「自分にそっくりな人は世界に最低3人以上いる」と言われているが、その人たちが自分と遺伝子的に似ているのだとしたら、やはり他人とは思えないわけで、一度は出会ってみたいよね。ドッペルゲンガーだったら見たら死んじゃうかもだけど。
References:People With Similar Faces Likely Have Similar DNA - Neuroscience News / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
まったく無関係なそっくりさんたちを集めて、その遺伝子を解析したところ、赤の他人のはずなのに、遺伝的に似ていることがわかったそうだ。
顔の類似と遺伝的変異の類似とに関係があることを示唆するこの結果は、学術誌『Cell Reports』(2022年8月23日付)で発表された。
自分にそっくりな人は、共通した遺伝子型を持っているという。
赤の他人なのにそっくりな人のDNAを調査 ネットでは時折、赤の他人のはずなのに、双子かと見紛うほどのそっくりさんが見つかって話題になることがある。
スペイン、ホセップ・カレーラス白血病研究所のマネル・エステジェル氏ら研究チームは、そっくりさんたちの分子レベルの類似性を調べてみることにした。
そこで協力を仰いだのが、カナダのアーティスト、フランソワ・ブリュネル氏だ。ブリュネル氏は1999年以降、世界中のそっくりさんを探し、撮影して写真集を作った人物で、そのコレクションから32組が選ばれた。
研究ではまず、そっくりさんペアのそっくり度を、3種の顔認証アルゴリズムで評価。
さらにそっくりさんたちの唾液からDNAを採取し、体の特徴やライフスタイル等に関するアンケートにも回答してもらった。
[画像を見る]
研究にに協力したそっくりさんたち / image credit:Joshi et al ., doi: 10.1016/j.celrep.2022.111257.顔だけでなく遺伝子レベルでもそっくりなことが判明 これらのデータを分析したところ、そっくりさんたちは、DNAメチル化(DNA中の塩基の炭素原子にメチル基修飾が付加される化学反応)や腸内細菌叢の構成は違っていたが、遺伝子型がよく似ていることが明らかになった。
例えば、そっくりさんペアの半数は、3種すべての顔認証アルゴリズムによって”生写し”と判定された。その16組中の9組は、3730個の遺伝子に共通する一塩基多型を1万9277個持っていたのだ。
また体重や身長といった身体の特徴や、喫煙や学歴といった行動に関係する特徴も似ていることがわかっている。
こうした結果から、共通する遺伝子変異は外見だけでなく、習慣や行動にも影響しているらしいと推測されている。
[画像を見る]
顔写真からゲノムの手がかりを得られる日がくるかも エステジェル氏は、人間の顔の類似性について珍しい洞察が得られたと語る。
ただし今回の研究は、参加者が少ない上に、ほとんどがヨーロッパ人で、また二次元のモノクロ写真による調査だったという制限もある。
それでもこうした知見は、将来的に生物医学・進化学・法医学など、さまざまな分野で応用が期待される分子的な基礎になる可能性があるとのことだ。
例えば、DNAから犯罪者の顔の再現を試みるような法医学では、顔写真を見るだけで、その人のゲノムについて手がかりが得られるようになる日がくるかもしれないそうだ。
というか、「自分にそっくりな人は世界に最低3人以上いる」と言われているが、その人たちが自分と遺伝子的に似ているのだとしたら、やはり他人とは思えないわけで、一度は出会ってみたいよね。ドッペルゲンガーだったら見たら死んじゃうかもだけど。
References:People With Similar Faces Likely Have Similar DNA - Neuroscience News / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
編集部おすすめ