NASAの宇宙服技術を使った「更年期障害」の症状を軽減させる衣類
 アメリカでは、年間100万人以上の女性たちが「更年期障害」を体験しているという。日本でも同様、多くの人が経験しているが、更年期についてはまだ誤解されていることが多い。


 アメリカ国立老化研究所によると、閉経の時期をはさんだ前後10年間(一般的に45~55歳頃)、ホルモンバランスが崩れ、ほてりや眠れないなど、体にさまざまな不快な症状が出るという。

 現在の治療法としては、ホルモン補充などの薬物療法があるが、効果には個人差がある。

 薬以外で更年期の不快感を和らげることができないか?そこで生まれたのが、NASAの資金提供により開発された素材を使った衣類である。 

NASAが宇宙飛行士用に開発した相転移性素材 繊維マーケティング業に携わるルイーズ・ニコルソンさんは、更年期の女性たちのこうした不快感を少しでも減らせる特殊な服を作れないかと模索していた。

 そこで行き当たったのが、NASAの資金提供により開発されたと素材である。

 この特殊な繊維の話は、NASAが宇宙飛行士の手袋の断熱性を向上させようとしていた1980年代にさかのぼる。

 トライアングル研究開発社と共同で、固体から液体、あるいはその逆の状態に変化するときでも、温度を一定に保つことのできる、相転移性素材を作ったのだ。

 しかし、この技術は宇宙で利用されることはなかった。

 素材の特許は、ゲートウェイ・テクノロジー、のちのアウトラスト・テクノロジーが買い取り、「アウトラスト」の名でさまざまな商品が販売された。

 この特殊な素材は、レーシングスーツから、下着、デスクチェアに至るまで、あらゆるものに使われている。体温を一定に保つことができる、更年期障害の症状軽減衣類 そこでニコルソンさんは、自身の体温調節ウェアブランド、「フィフティ・ワン・アパレル(Fifty One Ltd)」に取り入れ販売を開始した。

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image credit:Fifty One Ltd

 暑いときは、熱を吸収して体温を下げ、寒いときは、蓄えたエネルギーを放出して体温を一定に保つことができる構造になっている。


 最初は、4種類のシャツしかなかったが、その後、トップス、ボトムス、ナイトウェア、スカーフ、マスクまで、ラインナップを広げていった。

 現在は、世界中の更年期に苦しむ女性たちが愛用しているという。

 以下のサイトから購入することができる。
Products – Fifty One Apparel


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References:NASA-Funded Technology Helps Relieve Symptoms of Menopause | NASA / written by konohazuku / edited by / parumo

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