バードストライクを防ぐために開発されたハヤブサそっくりのロボット
 ジャンボジェットは巨大な鉄の塊だが、実は鳥に弱かったりする。鳥が衝突し、ジェットエンジンに吸い込まれると、ブレードや機体に大きな損傷を与えるからだ。


 結構頻繁に起きる鳥による航空機への衝突は「バードストライク」と呼ばれている。

 鳥にも飛行機にも被害をもたらすバードストライクを減らすため、オランダとイタリアの研究チームが開発したのが、「ロボット・ファルコン(RobotFalcon)だ。

 鳥を狙う空の最強ハンター、ハヤブサを模したこのロボットは、鳥をおびえさせ、飛行機に近寄らせることはない。その鳥よけ効果は、ドローンやバードスイープ(鳥をその場から追い払うこと)よりも効果的であるとのことだ。

バードストライク:大きな飛行機の弱点は小さな鳥 飛行機にとって鳥は厄介な存在だ。これがジェットエンジンに吸い込まれると、ブレードや機体に大きなダメージを与え、ときに人命が失われるほどの大事故につながることもある。ぶつかった鳥もただでは済まない。

 バードストライクは離陸中に特に起きやすい。だから空港において、鳥の群れを追い払うことは非常に重要な作業だ。

 空港で、バーンという大きな音を耳にしたことがないだろうか? あれは空砲で鳥の群れを追い払うためのものだ。他にも、車両で追い回したり、クラクションの音を発したり、鳥追払い専用の煙火(花火)を使用することもある。これらの行為は「バードスイープ」と呼ばれている。


 だが、わざわざ人間が鳥を追い回さなくても、自然界には自ら進んでそれをやってくれる動物がいる。それは鳥を捕食する猛禽類だ。

 ただ残念なことに、野生の猛禽類は人間の都合のいいように動いてはくれない。

 だったら100%コントロールできる猛禽類を作ってしまおうと考えたのが、フローニンゲン大学やトスカーナ大学をはじめとする研究チームだ。

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photo by Pixabay
最強の飛行機の番人ならぬ番鳥に 遠隔操作できる飛行ロボット「ロボット・ファルコン」は、その名の通りハヤブサがモデルになっている。もちろん鳥を脅かすことが目的だ。

 ボディは、グラスファイバーとポリプロピレンの複合素材で、そこにハヤブサのペイントが施されている。翼の前面にはプロペラが2つ搭載されており、これをエンジンで回転させて飛行する。

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ハヤブサを模したロボット / image credit:Rolf F. Storms et al.

 だが、ただのハヤブサに似せたラジコン飛行機というわけではない。

 開発チームは、空を飛ぶハヤブサをじっくり観察して、ロボット・ファルコンがその飛行パターンを模倣するようにしたのだ。

 その結果、ほとんどの鳥がロボット・ファルコンに怯えるようになったそうだ。

 ロボット・ファルコンを鳥の大群に向かって飛ばしてみたところ、鳥の半数がわずか70秒で逃げ出し、5分後には鳥の群れがいなくなったという。


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ハヤブサを模した「ロボット・ファルコン」の威力は絶大 / image credit:Rolf F. Storms et al.

 その効果はドローンや、バードスイープよりも高かったそうだ。

 しかもカカシと違って、3ヵ月間繰り返し実験を行ったのに、鳥が慣れることはなく、ロボット・ファルコンをいつまでも怖がってくれたそうだ。

 何が凄いってロボットというよりは、ハヤブサが鳥たちに超恐れられていることだよね。鳥たちにとっては難攻不落なラスボス的存在なようだ。

References:Meet RobotFalcon: Built for chasing off flocks of birds around airports / written by hiroching / edited by / parumo

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