
広く深い海の中には、未知の生物たちがたくさん暮らしている。調査が進むにつれ、少しずつ発見されているのだが、今回、ユニークな深海魚たちが続々と発見されたそうだ。
オーストラリア西海岸から2500キロ沖に設けられた2つの新しい海域公園の海底には、竹馬に乗った魚からネバネバの中で暮らすヤドカリなど、クリーチャー感満載の生物たちが発見されたという。
恐竜時代に形成された巨大な海山に覆われた海底で出会った不思議な生物たちの一部を見ていこう。
新たに発見された海域には不思議と謎生物が盛りだくさん 「ココス諸島海域公園」と「クリスマス島海域公園」は、今年3月に指定されたばかりの新しい海域公園だ。
ココス諸島とクリスマス島周辺の74万平方キロに及ぶ広大な公園は、インド洋と太平洋の接合部という重要な位置にあり、ここならではの不思議な生物がたくさん生息している。立派な翼をもつ「トビウオ」 大海原へ探検に出た調査船「インベスティゲーター号」は、海域公園に向かう途中で早くも不思議な光景を目撃したという。
魚だというのに立派な翼を持つ「トビウオ」が空を飛んでいたのだ。
Been photographing flying fishes all day every day. I think we’re up to 6 species now, but I’ll need to check. What a stunning group of fishes these are! #RVInvestigator #InvestigatingtheIOT @CSIRO @austmus @museumsvictoria @BushBlitz2 @ParksAustralia pic.twitter.com/H0UWi5zNt2
— KaiTheFishGuy (@FishGuyKai) October 5, 2022
毎日毎日、トビウオを撮影。これまで6種に遭遇したが、きちんと確認する必要があるだろう。なんて素晴らしい魚だろうか!オーストラリア博物館研究所の魚類学者イー・カイ・ティー氏によると、トビウオは大きな魚から逃げたはいいが、海鳥によって食べられてしまうこともあるそうだ。幽霊みたいなソコオクメウオ 小さな網で水深60~5500メートルで暮らす生物のサンプリング調査を行ったところ、さまざまなユニークな生き物たちとの出会いがあったようだ。
3分の1ほどは新種の可能性があるとのこと。たとえば、なんだか皮膚がダルダルにたるんだ幽霊のような「ソコオクメウオ」がそうだ。
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まるで幽霊のようなソコオクメウオ / image credit:Ben Healley/Museums Victoria
「この魚の目は小さく縮んでいます。皮膚の中に小さな金色の窪みらしきものが見えるでしょう。その皮膚はだらっとたるんだゼラチン状で、超希少な存在です」と、ビクトリア博物館のダイアン・ブレイ氏はABC Newsで解説している。肌色のバットフィッシュ(アカグツ) 愛くるしい表情を浮かべた深海の「バットフィッシュ(アカグツ)」の一種もいる。このおっさん感のある魚は、ずんぐりしたヒレで海底をずんずんと歩く。
「これは小さなアンコウの仲間です。鼻の上のくぼみに小さなルアーがあって、それを動かして獲物を誘います。また、変化した腕と脚で海底を歩きます」とブレイ氏。
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ヒレで海底を歩くバットフィッシュ / image credit:Ben Healley/Museums Victoria三脚で立ってるみたいな魚「ナガヅエエソ」 また別の魚は、やたらと細長いヒレを海底に立てて、なんだか竹馬にでも乗っているかのような姿で、無防備な獲物を待ち伏せしていた。
この魚は「ナガヅエエソ」。チョウチンハダカ科の深海魚で、腹ビレと尾ビレを支えにして海底に立っている姿が有名で、「三脚魚」の異名を持つ。Introducing one of the most fascinating #fish that we've found in our #deepsea surveys of the waters near Christmas and Cocos (Keeling) Islands …
— Bush Blitz (@BushBlitz2) October 18, 2022
It's the #tripodfish, or tripod spiderfish!! ️
Image: Ocean Exploration Trust/WoRMS via @FishesAustralia. #InvestigatingTheIOT pic.twitter.com/i7ZLywAXNM
この三脚のヒレを使って、ひたすら海底に立って流れてくる餌をひたすら待つ。ただし泳ぎは下手で、水流が強いとこけてしまう事もあるらしい。
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海底に3本のヒレで立って獲物が流れていくのを待つナガヅエエソ / image credit:image credit:Ben Healley/Museums Victoriaヤドカリとスナギンチャクのコラボ また、深海の「ヤドカリ」も発見された。だがそれが殻として利用しているのは、「スナギンチャク」だ。
ベトっと柔らかいスナギンチャクは、砂やその辺に転がっているものを取り込んで骨組みにするのだが、どうやらヤドカリもそうしたものと大差ないらしい。[画像を見る] 他にも奇妙かわいい生物たちが! 派手な「ナマコ」やら、「ヒトデ」や「海貝」の大群との出会いもあった。[画像を見る] インベスティゲーター号は帰還し次第、DNAを手がかりに発見された生物の特定を試みるそうだ。きっと新種も確認されることだろう。
Today is the day! I finally met the bony eared assfish! #voyagetotheunknown #InvestigatingtheIOT #RVInvestigator #deepwaterfish @museumsvictoria @CSIRO #TeamFish pic.twitter.com/jgSYCE9fN7
— Tiffany Sih, PhD (@TiffoFisho) July 7, 2021
ついにこの日が! やっと「ハナトゲアシロ」に会えた!ソナーを使って海底マッピング これまでのインベスティゲーター号、1万3000キロの航海では、35日間にわたってソナーで海底マッピングが行われてきた。
その結果、古代の海山・円錐形の火山・峡谷・尾根など、魅力あふれる海底の地形が明らかになっている。
たとえば、すでに活動を停止した死火山は、地上で恐竜が闊歩していた1億4000万~5000万年前に形成されたものだそうだ。
またココス諸島が、5000メートルもある巨大な海山の双子の山頂であることも判明している。海面の350メートル下には、第三の海山も確認されたそうだ。
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World-first seafloor mapping of the Cocos (Keeling) Islands Marine Park
ビクトリア博物館のリンリー・クロスウェルCEOは、「この航海で得られる研究成果は、オーストラリアの深海環境とそこに及ぼす人間の影響を理解する上で、欠かせないものになるでしょう」と語る。
インベスティゲーター号の冒険に関する最新情報はこちらの「Instagram」でチェックできる。[画像を見る] References:Voyage to the unknown - Museums Victoria / A Host of Bizarre Creatures Has Been Found At The Bottom of The Ocean / written by hiroching / edited by / parumo
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