もしも自分のいる場所に隕石が落ちたらどうなる?「隕石落下シミュレーター」で被害を予測
image credit:Asteroid Launcher

 サッカーボール程度のかけらから、6600万年前にメキシコのユカタン半島に衝突した小惑星レベルまで、地球の外から降ってくる隕石の規模は実に多様だ。

 隕石が自分がいる場所に落ちて来る確率は低いかもしれないが決してゼロではない。起こりうる被害を想定しておくのもいいだろう。

 隕石落下シミュレーター「Asteroid Launcher」では、大きさや速さや角度など自由に設定した仮想隕石を地球上のあらゆる場所に落下させ、その影響を詳しく知ることができる。

 CGのリアルな衝突シーンはもちろん、その後にできるクレーターや被害のほか、落下確率まで算出するシミュレーターに迫ってみよう。

隕石の被害をシミュレーション まずは「隕石落下シミュレーターAsteroid Launcher」にアクセスだ。

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 上は初期画面(PC)だが、使いかたはこのシミュレーターの制作者であるNeal Agarwalさんのツイートを参考に説明しよう。  まず左のマップをGoogleマップと同様に動かし、隕石を落としたい地点をクリックして決定する。マップスケールはマップ右下の+-で調節だ。

 今回Neal さんは、落下地点をアメリカのフィラデルフィアに設定。

 続いて右の画面のIron Asteroid(鉄の隕石)の下、3つのゲージで隕石を設定。直径(Diameter)、落下速度(Speed)、衝突角度(Impacr angle)を好みに設定する。

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 決まったら下のLAUNCH ASTEROID(隕石落下)をクリック。

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 Neal さんは、直径1マイル(約1.5km)、落下速度179,000マイル毎時(約80km/s)、衝突角度74度にして隕石を落下。(日本のPCの場合初期設定はMKS単位系。右画面の左下にあるUse imperialで切替えできる)

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 すると、右側にこの条件で形成されるクレーターの直径、推定死者数、クレーターの深さ、衝撃の規模、衝突確率が表示される。

 一方マップ上では閃光とともに隕石が落下し…

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 クレーターが出現する

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 右の表示によるとクレーターの直径は直径41マイル(約66km)

 衝突と同時に蒸発してしまう人の数は3,224,624人。その衝撃はTNT火薬8,867ギガトン相当、放出エネルギーは直近のイエローストーンの噴火以上。またこの衝突が起きる確率は2900万年に一度となる。

 なお動画ではそのままだったが、実は隕石の種類も隕石イラストの左右<>をクリックで変更できる。

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 初期はIron Asteroid(鉄の隕石)だが Stone Asteroid(岩)、Carbon Asteroid(炭素)、Comet(彗星)、Gold Asteroid(金)の5種類から選択可能。
 また落下後の情報表示は下スクロールでさらに詳しい情報が表示される。東京に直径500mの鉄隕石が落下した場合 次にもう一つ、東京に直に鉄隕石が落下した場合のシミュレーションだ。設定はデフォルトの直径500m、秒速17km、角度45度のままでいこう。

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 するとクレーターの直径は9.7km。深さは 583m。隕石は秒速17kmで衝突し、674,043 人が瞬時に亡くなる。 衝撃はTNT火薬12ギガトンに相当。放出されるエネルギーはハリケーン1日分ほど。

 この衝突が起こる確率は166,000年に一度だそうだ。

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 中にはクレーターのサイズが案外小さいと思う人もいるだろう。

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 だがその被害はクレーターだけにとどまらない。続いて右の表示をスクロールすると、隕石によるすさまじい被害の詳細がわかる。

 衝突により直径15kmの火球が生じ、その影響で推定11,900,422人死亡。

 推定997,296 人が第3度の熱傷、1,719,154 人が第2度の熱傷を負い、衝突地点から62km以内の衣類と127 km 以内の樹木が燃える。

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 この衝突で発生する衝撃波は241デシベル。これにより推定 8,702,045 人が死亡する。

 衝突地点から44 km 内にいた人は、肺に損傷を受ける可能性があり、57 km 以内の人は、鼓膜が破裂する可能性がある。99km以内の建物と133km以内の住宅が倒壊する。

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 また最大風速4 km/s の爆発的な風により、推定 8,584,130 人が死亡。30 km 以内に吹く風は木星の嵐よりも速く、48 km 以内の住宅は完全に潰される。

 また86 km 以内は改良藤田スケールの竜巻最高レベルEF5並みの凄まじい竜巻が発生し、142 km 以内のほぼすべての樹木が倒れる。

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 さらにマグニチュード7.2の地震が発生。これにより推定64,707人が死亡。その揺れは242km離れた地点でも感じるほどだ。

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東京に直径500mの彗星が落下した場合 最後に隕石の種類のみを彗星に変え、あとは上と同じデフォルトの数値で落下したとすると…

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 クレーターの直径は3.8km。深さは 439m。彗星は秒速13kmで衝突し、95,893 人が瞬時に亡くなる。 衝撃はTNT火薬826メガトンに相当し、放出されるエネルギーは世界中の核兵器を超える。

 この衝突が起こる確率は30,000 年に一度だそうだ。

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 衝突の衝撃波は242デシベル。これにより推定 4,121,627 人が死亡。

 衝突地点から18 km 内の人は肺に損傷を受ける可能性があり、24 km 以内の人は鼓膜が破裂する可能性がある。41km以内の建物は倒壊する。

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 また最大風速4 km/s の爆発的な風により、推定 9,757,876 人が死亡。

 12 km 以内に吹く風は、木星の嵐より速く、20 km 以内の住宅は完全に潰される。また36 km 以内は改良藤田スケールの竜巻最高レベルEF5並みの凄まじい竜巻にさらされ、59 km 以内のほぼすべての樹木が倒れる。

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 さらにマグニチュード6.4の地震が発生。これにより推定17,120人が死亡。その揺れは81km離れた地点でも感じるという。

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 隕石衝突の被害予想など決して楽しいものではない。だがこのシミュレーションは科学的なもので教育的要素もある。むしろこうしたサイトがきっかけで小惑星地球衝突シミュレーションをしているNASAに親近感がわきそうだ。

 ということで興味がある人はAsteroid Launcherでいろいろ試してみよう。大きさや隕石の種類によっても結果はかなり変わるようだよ。

 ちなみに以下は参考までに小惑星の衝突力比べの動画。1m ~1000km までの小惑星の大きさによる影響や衝突発生確率、その結果を比較している。

[動画を見る]

Asteroid Collision Power Comparison

References:kottke / universemagazine / sciencetimesなど /written by D/ edited by parumo

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