太陽系近くにあるハビタブルゾーンで地球型惑星を2個発見。生命体存在に期待
 太陽系からそれほど遠くない赤色矮星「GJ 1002」(恒星)の周囲で、地球と同じような質量の惑星が2個発見されたそうだ。

 しかも、どちらもハビタブルゾーンに位置している。
ハビタブルゾーンとは、地球と似た生命が存在できる天文学上の領域のことだ。

 GJ 1002は天文学的に太陽からそう遠くはない。そのため新たに発見された惑星は、大気の特徴を観察できる有力な候補でもあるという。

 今回の惑星の発見で、太陽付近で知られる惑星系は7つになった。つまり地球外生命体が存在する確率も増えたということだ。

 スペイン、カナリア天体物理学研究所のアレハンドロ ・ スアレス ・ マスカレーニョ氏は、「地球型惑星がごくありふれていることを、自然が教えてくれているかのようです」と語る。

ハビタブルゾーンで惑星を2つ発見 新たに発見された2個の惑星は、地球からくじら座の方向に約15.8光年離れた位置にある「GJ 1002」という赤色矮星の恒星を周っている。

 どちらも地球とほぼ同じ質量で、しかも恒星のハビタブルゾーンに位置している。2のうち、内側を公転するのが「GJ 1002b」、外側を公転するのが「GJ 1002c」。公転周期は、それぞれ10日と21日だ。

 恒星の周辺において十分な大気圧がある環境下で惑星の表面に液体の水が存在できる範囲を指す

 GJ 1002は、質量が太陽の8分の1ほどの、冷たく暗い赤色矮星だ。それはハビタブルゾーンがすぐそばということでもある。


 また太陽からさほど離れていないので、反射光や放射熱を観測することで、酸素の存在など、2つの惑星(特にGJ 1002c)の大気の特徴を調べることもできるかもしれない。

 こうしたことから両惑星とも、太陽系外惑星の大気の分析と地球外生命の発見を目的とする「LIFE」計画の分析候補として条件を満たしているとのことだ。

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●今回発見された2つの惑星と、太陽系惑星の恒星からの相対的距離を比較したもの。緑の部分がハビタブルゾーンで、地球と同じく「GJ 1002b」と「GJ 1002c」もそこに位置している / Credit: Design: Alejandro Suarez Mascareno (IAC). Planets of the Solar System: NASA2つの分光器を使って発見された地球型惑星 今回の発見は、ヨーロッパ南天天文台の分光器「ESPRESSO」とカラル・アルト天文台の分光器「CARMENES」の連携プレイによる成果だ。

 CARMENESは2017年から2019年まで、ESPRESSOは2019年から2021年までGJ 1002を観測した。

 研究チームのイグナシ・リバス氏によると、GJ 1002が放つ可視光は温度が低いため、普通の分光器では速度の変化をうまく観測できないのだという。

 だがCARMENESは、普通の分光器よりも広い範囲の近赤外波長を観察することができる。

 それにヨーロッパ南天天文台のESPRESSOと超大型望遠鏡VLTの集光力が組み合わさったことで、わずか30cm/秒という世界でも類を見ない精度が実現したのだそうだ。

 この研究は『Astronomy & Astrophysics』(2022年11月25日付)に掲載された。

References:Astronomers discover two potentially habitable exo-Earths around a star near the sun / written by hiroching / edited by / parumo

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