ハバナの海底に沈む不可解な石畳、ビミニロードの謎
 バハマ国のビミニ島、北ビミニ海岸沖の水深6mの海底には、ほぼ長方形の平たい石が敷き詰められており、長さ457mにもなる古代の石畳のような驚くべき遺構が存在する。

 この石畳の道は「ビミニ・ロード」と呼ばれ、失われた古代都市「アトランティス大陸」の一部だと信じる人もいる。


 人工的に作られたようにも見えるが、その謎に迫ってみよう。

海底に敷き詰められた謎の石畳「ビミニロード」 この遺構「ビミニロード」は、最大長さ4メートルの角ばった平たいビーチロック(石灰質の砂礫岩)のブロックが敷石のように敷かれていて、ふたつの小さな道と平行に走っている。

 ブロックの角はきれいに削ったように丸みを帯びていて、海底に整然と敷き詰められている。自然の侵食によってここまで滑らかになる前には、直角の角だったようだ。

 この遺構は、海底考古学者のジョゼフ・マンソン・ヴァレンタイン、ジャック・マイヨール、ロバート・アンゴーブによって1968年に発見された。

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失われたアトランティスの一部なのか? この舗道のような遺構が、失われた文明、すなわちアトランティスの一部だったのではないかという推測が出てきたのは無理もないことだった。

 もちろん、これはアトランティスとはなんの関係もない。アトランティスは、古代ギリシアの哲学者プラトンの著書で記述された伝説上の島と、そこに繁栄したとされる帝国のことで、フィクションとする見方が一般的だ。。

 しかし、このような石の道のようなものが海底に存在するという事実は、想像力をかきたてられ、魅力的であることは間違いない。

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Snorkeling the Rocks South of Bimini Sands, Bahamas 4K GoPro (Remnants of Old Marina!?)ビーチロックの岩盤がブロック状に砕けて出来た可能性が高い 道を作っているビーチロック(石灰質の砂礫岩)は、北ビミニ島沿岸で豊富に算出する。

 ビミニロードの下には、石灰石の層があり、完新世時代の海面の上昇と下にある砂の侵食が合わさって、両方の材料が一緒に沈んでいる。


 均一なブロックらしき外観と、海底へめり込んでいるように見えることから、いかにも人工物のように思えるが、実際には、このビーチロックはもともとは巨大な一枚岩の岩盤で、それが今日見られるようなブロック状に砕けたものと思われる。

 ビーチロックは、比較的急速に形成された、しっかり固められた堆積岩で、さまざまな材質が混ぜ合わさってできている。

 ビミニロードを構成している岩は、ペロイド(細かい泥の粒)、砂、貝殻の破片、底生有孔虫といわれるカンブリア紀の原生動物の遺骸や、コディアス藻類(codiacean algae)を含んでいる。

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The Bimini Road ~ Deliberately Hidden By Academia?ビミニロードは2000年前のもの、アトランティスより新しすぎた マイアミ大学の地質学科が、放射性炭素年代測定を使用して、岩石全体、岩石のコアから抽出した貝殻、コアを固めている炭酸塩を調べた。

 この結果、ビミニロードのブロックの年代は、およそ2000年前のものと推定された。

 ビミニロードの年代が比較的若いことが、1万2000年前に沈んだとされているアトランティスとはなんの関係もないことを示す確固たる証拠だ。

 しかし、それでも頑固にアトランティスの一部説を諦めない専門家もいる。

 1980年に発表された致命的な欠陥のある論文では、岩石全体の分析から、現在より1万4992年±258年古い、つまりおよそ1万5000年前というウラン・トリウム年代がはじき出されたという。

 しかし、こうした発見は、サンプルが部分的に再結晶化していたため、科学的な根拠はないことが判明した。

 つまり、ウラン・トリウム年代を計算しても、正確な年代を示すことにはならないということだ。仮に、ウラン・トリウム年代測定が正しいのなら、サンプルが採取されたビミニ海岸付近は、当時の海抜が90~95メートルの間だったことになる。

 というわけで、ビミニロードはアトランティスとはなんの関係もない。


 だがこの場所は、この太古の道らしきものの謎に思いをはせることができる、すばらしいシュノーケリングスポットになることは確かだろう。

References:What Is The Mysterious Sunken “Bimini Road” And Where Does It Lead? | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo

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