
研究チームが開発したのは、Wi-Fi信号の位相と振幅から人体のポーズを推定できるディープ・ニューラル・ネットワークだ。
これを使えば、Wi-Fiのデータから、壁向こうの部屋にいる人の姿が3D画像で描かれてしまう。
このWi-Fi DensePose法は、効果なLiDAR技術やプライバシーなどが問題になりがちなカメラなどに代わる、人間センシング技術になると期待されている。
これまでの監視技術の問題点 犯罪から街を守るため、あるいは病気の患者や高齢者の安全を守るため、ときには人間を監視しなければならないケースが発生するのはわかるだろう。
そのための方法で一番身近なのはカメラだ。防犯カメラは街中のいたるところに設置されている。
最近ならレーザー光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測する、「LiDAR」が新技術として有望しされている。
だがこれらには弱点がある。
例えば、よくあるカメラは暗いところでは役に立たないし、家具などの陰に隠れたものは映らない。
またプライバシーも問題になる。まさかお風呂場やトイレをカメラで映すわけにはいかないし、それどころか自分の家に監視カメラを設置することに抵抗を覚える人は大勢いるだろう。
LiDARならそうした欠点はないが、「散乱」という物理現象に弱い。
雲や霧、雨や塵のようなものが光を乱してしまうと、反射された光をうまく検出できず、環境を認識できなくなってしまう。そしてなにより高価だ。
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Wi-Fiによるセンシング技術で壁越しからも透視が可能に そこで今回のようなWi-Fiを使ったセンシング技術が試されているわけだ。
この技術なら暗いところでも物陰でも見通せるし、カメラのようにすべてが映像になってしまうわけではないのでプライバシーの問題は緩和される。
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また先進国ならほとんどの家庭にもうWi-Fiルーターが普及している点も、大きなアドバンテージの1つだ。これを使うために、わざわざ新たな機材を買い足す必要はないのだ。
今回の研究チームによると、人をモニタリングするという目的ならば、普通のカメラの「ユビキタスな(いたるところにある)代用品」になるだろうとのこと。
プライバシーの問題をそれほど気にすることなく、高齢者や病人をモニターできるようになるそうだ。
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DensePose: Dense Human Pose Estimation In The Wild (CVPR 2018 Oral)
この研究の未査読版は現在『arXiv』(2022年12月31日付)で閲覧できる。
References:DensePose / Scientists Are Getting Eerily Good at Using WiFi to 'See' People Through Walls in Detail / written by hiroching / edited by / parumo
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