使い終わったら土に還る、地球にやさしい生分解性サンダル
 近年、世界各国でさまざまな分野におけるSDGsな取り組みが進んでおり、ファッション業界も、持続可能な素材を使用した商品の開発に力を入れている。

 イスラエルとイタリアに本拠を置く材料科学会社の Balena(バレーナ) は、履き終わったら土に還すことができる、3D プリント製の生分解性サンダルを開発した。


 初回販売分は思った以上に注目を集め、すぐに完売したという。

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Balena. Designed for Circularity.靴のリサイクル・アップサイクリングを促進する企業の取り組み 耐久性のある靴でも、使用を続けていればいつかは傷み、破損する。その後、靴は捨てられ、焼却されない場合は、何世紀にもわたって埋め立て地に沈む廃棄物となる。

 繊維廃棄物は、年間約9200 万トン発生するという。そこからリサイクルされるのは12% だけだそうだ。衣類同様、靴の廃棄物が引き起こす環境問題も深刻だ。

 だからこそ、各企業はこぞって循環型経済を推進するための取り組みを実施している。

 Balenaが開発したスライドサンダルもその1つだ。

 スライドサンダルは、足を滑らせるようスッと簡単に履け、快適で実用的なのだが、シンプルなデザインゆえに、室内履きやトイレ用といったイメージが強い。

 最近では外履きとしても使えるおしゃれなスライドサンダルが各メーカーで発売しているが、「Balena」はさらに革新的技術による付加価値を付けた。[画像を見る] 使い終わったら土に戻る、生分解性素材を使用したサンダル Balenaは、使い終わったら土に還すことができる、生分解性素材を使用したスライドサンダルを開発した。

 「Bio Cir」と呼ばれる世界初の 100% 生分解性エラストマーで作られたこの素材は、サンダルに含まれる有毒な化石燃料ベースのプラスチックとは異なり、持続可能で、柔軟性を持ち、滑らかで耐久性があるという。
[画像を見る]  Balenaのサンダルが他社より優れているとする点は、次の3つだ。
・BioCir は 60% がバイオベースで、熱可塑性設計のおかげで完全に堆肥化できる。

・天然の生分解性ポリマーにより、3D 処理で使用して排出量をさらに削減することができる。

・顧客がサンダルを使用後、返送してもらい、施設の1つで堆肥化するという「バイオサイクリング」と呼ばれる完全循環型システムを導入。
 3つ目においては、「各顧客に堆肥化を依頼する他の企業とは異なり、サンダルが正しく完全に廃棄されるようにする責任を自社が負っている」とBelenaは説いている。[画像を見る]  去年夏、同社はシナモンの香りのユニセックス・スライドサンダルを自社ウェブサイトで発売したが、すぐに完売したそうだ。[画像を見る]  Balena の創設者兼CEO(最高経営責任者)は、次のように述べている。
世界のファッション業界は、世界最大の汚染源の 1 つです。Balena の目標は、これを好転させることです。

実行可能な独自の生分解性プラスチックの代替品展開と、世界中で簡単に真似できる完全循環システムの作成が広がること、つまり私たちの BioCir フットウェアが、真の代替手段となるのを世界に示せることを願っています。

それができれば、ファッションは素晴らしく、機能的で、かつ地球に優しいものになり得るということです。

ファッションブランドがより循環的な未来に足を踏み入れるための扉を開く会社であることを誇りに思います。
 今後、 Balena は世界中の消費者がより循環的で持続可能な未来のビジョンを継続することができるよう、主要なグローバルブランドと提携して、革新的な素材の開発を行っていくということだ。

References:Biodegradable Slides Turn Back Into Soil Once You’re Done With Them/ written by Scarlet / edited by parumo

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