SFやヒーローものの世界では、地球に向けて飛来する危険な小惑星は、核爆弾などで木っ端微塵に破壊して、一件落着となるのがお決まりだ。
だが『PNAS』(2023年1月23日付)に掲載された研究によるなら、それはあまり賢いやり方ではないかもしれない。
小惑星イトカワの分析で明らかになった構造 2010年6月、JAXAの一部である宇宙科学研究所が打ち上げた探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」のサンプルを携えて、無事地球に帰還した。
そのとき持ち帰ったサンプルは、岩石の微粒子でしかない。だが、これは地球の重力圏外にある小惑星のサンプル回収に成功した、世界で初めての事例だ。
オーストラリア、カーティン大学のフレッド・ジョーダン教授らが調べたのは、この微粒子である。
その結果、意外な事実が明らかになった。イトカワは想像以上に古い天体で、数十億年前にさかのぼるのだ。
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小惑星イトカワの姿イトカワに衝撃を吸収できるスポンジのような構造 イトカワはなぜこれほど長く存在することができたのだろうか? その秘密は、まるで巨大なクッションのように衝撃を吸収できる構造にある。
イトカワは、一枚岩の小惑星などではなく、ガレキがゆるく集まってできており(こうした天体を「ラブルパイル天体」という)、半分が空洞になっている。
イトカワほどの小惑星がこれほど長く存在できたのは、ガレキの山が衝撃を吸収するからだと思われます。つまり、イトカワは巨大な宇宙のクッションのようなもので、破壊はかなり難しいでしょうと、ジョーダン教授はプレスリリースで説明する。
バットを渡されて、スポンジを粉々に叩き壊せと言われてもできっこないだろう。
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危険な小惑星にどう対応するべきか? この発見は、万が一地球に巨大な小惑星が飛来してきたとき、賢明な人類ならどうするべきかを物語っている。
まず、イトカワのような岩塊が集積することによって形成された「ラブルパイル天体」が想像以上に長く存在できるということは、同じタイプのものが従来考えられていた以上にたくさんあるだろうということだ。
だとすると、接近してくる小惑星を野球のバットの如きもので叩き潰すというやり方は、あまり賢いやり方ではないかもしれない。
SFやヒーローものの世界ならば、人類を破滅させようとする小惑星は、核爆発などで消滅させるのが定番だろう。だが今回の研究によるなら、それはベストな地球防衛作戦ではなさそうだ。
わざわざ破壊する必要はない。それよりも衝撃をくわえて、小惑星のコースをそらしてやるのが得策であるようだ。
それはNASAがすでに実験している。昨年9月、探査機「DART」は小惑星の衛星「ディモルフォス」に見事命中。その軌道を変えることに成功した。
References:Don’t look up, these asteroids might be too difficult to destroy. It’s not all bad news though / written by hiroching / edited by / parumo
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