かつて、戦いに着用されてきた甲冑は、強度はもちろんのことデザインも繊細で美しく、時代を経た今でも、鎧ファンや甲冑コレクターが存在する。
カナダに、世界で唯一の動物鎧職人と呼ばれる彫刻家がいる。
これまで仕上げた小さな甲冑は500点以上。そのどれもが、高度な技術を用いて作られていて、非常に精巧な出来栄えだ。
すべてはネズミから始まった カナダ・アルバータ州カルガリーを拠点にする彫刻家ジェフ・デ・ボーアさんは、5歳の時に初めて甲冑を見て、その美しさに心を奪われた。
甲冑がどのように作られているのか、非常に興味を抱いたボーアさんは、甲冑への情熱を持ち続けて父親の金属加工工場で工作を始めた。
そして高校在学時に、初めて人間の甲冑を自作した。その後、学校でジュエリー制作を専攻したボーアさんは、中世の甲冑と宝石を組み合わせた、より創造的な鎧を作りたいと思うようになった。
そこで思いついたのが、「ねずみの鎧を作る」ことだった。[画像を見る]
ウォルト・ディズニーの名言にもあるように、「すべてはネズミから始まった」のです。
私は、日本のサムライからイスラムの鎖かたびらまで、甲冑づくりにさまざまな歴史的スタイルの影響を受けていたので、最初のねずみの鎧作りは思っていた以上にいい出来になりました。
ですが、時が経つにつれて、鎧をかぶったネズミには、人々の想像力をかき立てる敵対者が必要だということに気付きました。
それが、猫の鎧を作り始めたきっかけです。(ボーアさん)
[動画を見る]
世界で唯一の動物鎧職人として知られるように ボーアさんは、誰も手がけたことのない動物の小さな鎧作りに熱中した。
[動画を見る]
これまで、彼が完成されたねずみと猫の鎧は500着以上。彼は世界で唯一の動物鎧職人として、その名が知られるようになった。
[動画を見る]
[画像を見る] 実際に着用させるわけではなく、あくまでも観賞用 これらの精巧で繊細な作品は、実際の動物が着用することは意図していないという。
過去に1度だけ、生きた猫用の鎧を作ってくると依頼され、作ってみましたが、うまくいきませんでした。[画像を見る] ボーアさんの作品に魅せられる顧客のほとんどは、歴史と芸術に深い関心を持っていて、ローマのグラディエーター、ポーランドのユサール、オスマン帝国、日本の武士など、さまざまな歴史的な鎧のスタイルの要素を鎧作りに取り入れることを明確に要求してくるという。
日本のゲームショーのプロデューサーが、服を着るのに慣れているからと「スタントキャット」を連れてきたのですが、最終的には小さな鎧を着せるには猫が大きすぎたのです。
[動画を見る]
全て自作のため、小さな鎧作りは細かい手作業で、相当の時間がかかる。[画像を見る] まず、それぞれの甲冑の様式を徹底的に研究し、型作りに入るが、甲冑1作品当たり、300~500個ほどの金属部品が必要だ。
ニッケル、鋼、真鍮から作られる甲冑に必要な各専用の道具や装飾も含めると、完成するまでにおよそ100時間かかるそうだ。[画像を見る] すぐれた職人技で、歴史と時代を超えて唯一無二のモノづくりを続けるボーアさん。SNSアカウントでは、彼が精魂込めて手がけた魅力あふれる小さな芸術作品の数々がシェアされている。
References:The World’s Only Cat And Mouse Armorer Creates Tiny Metal Masterpieces/ written by Scarlet / edited by parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』











